終わるということ
街の本屋が潰れ長いこと景観としてそこにあったものが一瞬で更地になった
季節の移ろいのように人々は通り過ぎていくけれど僕は手を合わせて祈った
昭和の名残だなんて言葉に多少のイラつきと侘び寂びを複雑な感情を持ったまま更地になったその空白に何が生まれるのだろう
全てがうつろい続ける世界で古臭いものを古臭いと嘲笑することも重要な生の証明と尊厳を思う必要もある
機械化にうまく対応できない老人を笑う前にその皺がれた手に溢れる奇跡を、
この時代まで生を謳歌した奇跡を感じ取っても良いのではないだろうか
人はいつか老いていく、時代は置いて行く
沸点の低さは仮想世界に溢れている
満ち足りた人などいないかのように
沸いた湯を誰に注いで火傷させるのだろう
気づけば自分自身がケロイドまみれになっていたりして
膿んだ心が積み上げていくものが情緒さえ忘れさせて
本能と感情に塗れていく
加速する街 消えていく名残
気づかず僕らは老いていく
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