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聾《デフ》【70】

超人見知りの背中を押した「ろう文化」

   幼い頃『名もなく貧しく美しく』をテレビで観て、手話に興味を持ちました。「結婚してください」が、最初に覚えた手話です笑   幼いながらに『素敵だなぁ…』と思ったのを覚えています。
   そして、今でも忘れられないのは、ヒロインが通行人に何かを尋ねようとするシーン。彼女は口話ができるので話しかけることはできるのですが、返答は聞こえないので「書いてください」とメモ用紙とペンを渡そうとするんです。でも、通行人の男性は紙とペンを見たとたん面倒臭そうにプイッと行ってしまいます…  もう、最高にムカつきました! そして『もし聞こえない人に「書いてください」って言われたら、私は絶対に書く!』と、心に決めました。『手話を覚えよう』とも……
   それから約半世紀ほど経って、ようやく手話を勉強し、拙いながらもろう者とコミユニケーションが取れるようになりました。

   なぜ行動を起こすのに半世紀もかかったか?
   ……私が極度の人見知りだからです笑

   そして、そんなヘタレな私の背中を押したのが、あるろう女性との出会いと『ろう文化』に書かれていた「ろう文化宣言」でした。

ろう文化宣言
「ろう者とは、日本手話という、日本語とは異なる言語を話す、
言語的少数者である」
『ろう文化』

  「 聞こえないことは、障碍ではない
   この強いメッセージに心を打たれました。そして「ろう文化を知りたい」「ろう者と話がしたい」と、手話の世界へ足を踏み出す決心をしました。


お互いの文化を知ることが優しい社会をつくる第一歩

   『デフ』は、ろう者である作者の体験を基に描かれた漫画です。彼らが日頃どんな風に生活していて、どんな風に考えているのか?聴者との溝がどんなキッカケで生まれるのか?などがよく分かって興味深いです。ドラマの描写よりもずっと踏み込んだ内容は、一般の聴者よりは知っていると自負している私でも知らないことだらけ… 「ろう文化」を学ぶにはまさに最高の教科書といえます。

   可愛らしい絵とは裏腹に内容は深く、自分の無知が分かった時には少なからずショックを受けます。それでも絵のタッチや時代背景が懐かしくて(作者とは同年代)、読むことをやめられません。

   主人公の赤井竜一くんは「ろう文化」に誇りを持って生きるろう者です。彼の言葉は重く、深く突き刺さります。

   彼らと分かり合うにはどうすればいいのか…? 

   私には何ができるのだろうか…? 

   そんなことを考えながら丁寧に読み進めています。
   学校の図書室にぜひ置いて欲しい、超オススメの本です。

   せっかくこうして発信してくれているのだから、それを受け止めない手はないですよね。彼らを知り、こちらを知ってもらうことで、お互いに優しくなれると信じています。
 優しい社会を構築するために、手話学習者以外のあなたも、ぜひ。
   現在7巻まで発売中。

#読書記録  #自分軸読書 #ろう文化 #松谷琢也