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「怖い」が、好き!【44】

【怖い本】2冊目。

著者は、いわゆる「見える人」なんだそうです……

【感想・行動】
   児童書をナメてはいけません!! めちゃめちゃ学びの多い内容でした。もう、全文ノートに書き写しておきたいくらいです笑
   この考え方は、異なる文化背景を持つ人との付き合い方の基本だし、人以外の生き物との付き合い方にも応用できる(生き物以外もOK)
   実は、昔から日本人は異文化コミュニケーションの達人だったのではないか?と思いました。
   
   最後の『大祓』についての説明は、すべての人が知るべきではないでしょうか? この本は2010年初版発行ですが、今まさに起こっていることについて考えるのにちょうどいい。目に見えないモノに怯えて、滅菌・除菌、排除、根絶…しようとするのではなく、「そこにあるもの」と認めて、不都合なものは、せいぜい「祓う」に留めておくのが適切なんだよね、と。
    人ならぬものとも、適切な距離を保って共に生きる。「自然」に生かされていると知る。それができるのが、本来の日本人なのではないでしょうか。

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「怖い」とは

「怖い」は、4つに分類できる。

  • 「ある」ものがなくなる怖さ。

  • 「ある」ものが知らないものに変わってしまう怖さ。

  • 「ない」ものがある怖さ。

  •    わからない怖さ。

「境目」

「たそがれどき」と「かわたれどき」

 黄昏時の「たそがれ」の音は、「誰そ彼」から。逆に明け方は「彼は誰」という。夕方や明け方は、影も光もはっきりせず、人の姿が見極めづらいことから。
 夜はお化けと神様の時間。夜に明かりを消すのも、重要な神事が真夜中に行われるのも、このことから。また、人の時間とお化けの時間の境界があいまいな夕方には、人が攫われるといわれる。

裂け目にいるもの…

   境界とはどちらにも属さない、あいまいな隙間。そこにはお化けや神様がいると思われていて、昔から恐れられていた。村と村の境界に道祖神やお地蔵様をおくのも、そのため。村境の川に架かる橋には、怪談話が多く語り継がれる。
   畳の縁や敷居を踏むと叱られたのも、裂け目にいる神様やお化けを怒らせないためだという。

「わからないこと」をわかる

   お化けは、ままならない存在。でも、そこにいる。
   自分がいるから、そこに怪が存在する。

   お化けとは理解し合うのは無理だから「わからない」と、わきまえることが大切。

慮ること、尊ぶこと

【十七条憲法 第十条】(現代語訳)
十にいう。心の中の憤りをなくし、憤りを表に出さないようにして、他人が自分と異なったことをしても怒ってはならない。人にはそれぞれ考えがあり、各々、自分がこれだと思うことがある。相手が良いと言っても自分は良くないと思うだろうし、自分がこれこそと思っても
相手は良くないと言うを自分は聖人ではないし、相手が愚かだというわけでもない。みなともに凡人なのだ。是と非の道理をいったい誰が定められるのか。お互い賢くもあり、愚かでもある。その差はイヤリングの端が欠けた程度の些細なものだ。だから、相手が憤っていたら、むしろ自分に間違いがあるのではないかと疑いなさい。自分はわかっていると思っていても、みんなの意見に従って行動しなさい。

〖自分たち人間と同じ理屈で、この世のすべての理が解けるだなんて、傲慢な思い込みでしかありません。〗

〖だけど、この広い宇宙の中で、人は隣人の感情すら的確に把握できない。だから、勉強しなくちゃならないし、(中略)それでも追いつかないことは、想像して、相手のことを慮ることが大事になります。〗

〖古いから尊い。ほかと違うから尊い。わからないから、また尊い。日本人はそうやって、人以外のものたちと適度な、ほど好い距離を保って生きてきたのです。〗

­­〖全部をわかろうとして、全部を自分の手中に収めようとするから、人は苦しくなって怖くなります。怖いあまりに、怒ったり、攻撃的なったりする人が出てきます。
「そういうこともあるかもね」
  この言葉を上手く使えるように、理解できないものに対しても、謙虚な心を抱き、距離を保って視野を広く持つことが、怖いものとうまくつきあっていく秘訣でもあるのです。〗

捨てずに散らすという精神

『大祓』は神社が一番大事にしている、古い古い祝詞です。でも、そこに記されたお祓い方法は、災いを細かくするだけで、完全な「無」にはしないものです。
   祓うといっても、ようは吹き溜まった埃が、風でどこかにとばされて、なくなったように見えるだけ
(中略)
  日本人はこのように、災いにも、また災いに通じるお化けにも、生き延びる余地、逃げ道を与えてきたのです。
   いつからか、私たちは潔癖になりすぎて、お祓いといえば、完全に除菌・滅菌したような状態になることを望み、健康といえば、精密検査でなにも引っかからないことを良しとします。
  けど、本来の日本人の考え方はちがいます。災いも世界の一部なのです。

  #読書記録 #自分軸読書 #恐怖との付き合い方