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図説 日本戦陣作法事典【85】

日本の合戦におけるお作法がたっぷり

 ドラマや映画で観るだけでは知り得ない、合戦におけるお作法や役割分担、装束や武器について、図解入りで詳しく書かれています。いつ見ても何度見ても飽きないです(笑)

軍陣の役職【忍者】

 私が特に気になったのは、忍者しのびのものの項目です。
 時代劇につきものの忍者。殿様の側近が天井に向かって呼びかけると、天井の片隅がスッと開いて忍者が顔を出す・・・お決まりのシーンですね(笑)
 『軍侍用集』には忍びの活用について何巻にもわたり詳しく記載があるそう。おもしろいのは、そんなに重要視されている忍者の特殊な道具や技術を武士が使用しない理由です。つまり、正々堂々と戦うのが武士の心得で、陰湿な手段を用いる忍法は嫌がられ、卑怯と見なされていたから使えないというわけです。でも、勝つためには卑怯な手段も必要。だから忍術を専業とする忍者を利用する(笑)  本音と建て前?この矛盾におもしろさを感じました。
 それから、忍者は常にハットリくんみたいな格好をしているのではないそうで、昼間は町人や農民の格好をして周囲に溶け込んでいるそうです(あたりまえですよね!)あの装束は、夜の闇に紛れるときのみ着用するそうですよ。

首実検

 自軍の武将が獲ってきた首を確認するための行為を「首実検」と言います。その作法がまた、細かい!!「何々?誰それの首じゃと?フムフム・・・」と、なめるように見るんじゃないんですよ!

 まず立ち上がり左手で弓を地面に突き立て、右手は刀に手をかけた状態で、左の目尻で見る。
 (割愛しましたが、首の見せ方にも当然、厳格な決まりがあります)
 検分が終わり首を退去させたら、弓を右手に持ち替えて左手で軍扇を開き、鬨の音頭を取る。

 首を横目で見る・・・これは、敵とはいえ死者に対する礼儀なんですね。決して死体を汚すようなことはしないんです。それが日本人というもの。
 獲った首は、当然「首供養」といって、丁重に供養されます(そういえば私の母校はお城跡に建てられていたので、中庭に「首塚」がありました!)
 さらにおもしろいのは、獲った首がどんな形相をしているかで吉凶を占ったという記述です。占いができるほどデータを取っていたということなんでしょうねぇ・・・

陣形

 私が知っているのは「鶴翼の陣」「魚鱗の陣」「車懸り」くらいのもんですが、全部で30の陣形が書かれていました。それぞれにかっこいい名前がついていて、これ考えるのは楽しいだろうけど、覚えるのは苦労しただろうなぁ・・・記録してた人偉いなぁ・・・などど、しょうもないことを考えてしまいました(笑)