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ヒト・モノ・カネ・時間を使わず、精神論も持ち出さず改革する方法

こんにちは。企業改革コンサルタントの小野司です。

企業改革に取り組む若きリーダーさん、そしてウィズコロナなどで、企業改革に取り組まれる企業さまに、改革のヒントをお届けしています。

改革活動ではいろいろな場面でアイディア出しを行います。この時、私は、以下を、基本方針にしてもらっています。

①ヒト、モノ、カネを使わず
②時間(残業、休日出勤等)を使わず
③精神論を持ち出さず
というものです。

この基本方針の理由は以下です。

①ヒト・モノ・カネを使う解決策は思考が停止する

ヒトを増やしましょう、最先端の設備を入れましょう、納期短縮のために特急対応の業者に変えましょう、という場合、現場は、それ以上、アイディアを考えなくなることが多いです。

さらに、ヒトやモノを増やしても、それが本格稼働するまでには、多くの準備時間を要するからです。

②時間を使う解決も思考停止になり、集中力も低下する

私が最も尊敬する先生に、田口玄一先生という方がいらっしゃいます。品質工学の生みの親です。先生の生前、私は、追っかけのように先生の講演や社内の指導会には参加しておりました。
その先生の言われた言葉で印象に残っているのが、「残業したら罰金である。効率の悪い仕事をしているのだから、残業代を支払うのではなく罰金である」と言われていました。

その意味は“残業できると思うから(ヒトは)考えなくなる“ということです。言葉はきつく聞こえますが、先生独特の言い方で、なつかしく思います。

③精神論は、長く続かない。

前職時代、私のケアレスミス対し、上司から注意を受けました。その時、「次回から気をつけます」と回答しましたところ、「それではダメだ。人間はミスする動物だ。気をつけますだけでは、また起こる」と言われました。
さらに「ミスしない仕組みを考えなさい。自動化とかミスしたらすぐわかる方法とかを考えなさい。そうでなければ、指差呼称でもいい。指差呼称の時は、どのタイミングで、どこを指して呼称するか考えなさい」とのことでした。

コンサル現場では、「絶対に間に合うようがんばります」、「一生懸命頑張ります。」「ものを取りに行く時、小走りで移動します」という回答も多いです。これらも長くは続かないように思います。

精神力は、締め切り効果のために取っておくものです。

結論としては、「知恵」を使います。

中小企業の場合は、特に、ヒト・モノ・カネは限られています。また、思考停止になることを避けるためです。

ある現場で上記の基本方針の3つを伝えますと、「では、どうすればいいのですか」「できるわけありません」とよく言われます。中には、顔を真っ赤にしたリーダーから、厳しくお叱りを受けたこともあります。

では、すぐに知恵を出せるのでしょうか。

多くの現場は、考えることのトレーニング不足です。ですから、最初のテーマ設定が大切になります。

トレーニングを積めば、知恵はたくさん生まれるようになります。
特に、家事・育児などに忙しい子育て世代の主婦の方からは、いいアイディアがたくさん生まれます。忙しい方ほど、日常生活でもたくさんの工夫をされているのだと思います。
普段から工夫されている方は、改革活動にとって、なくてはならない存在です。

私は、現場から知恵が出にくいと判断した時、「ムダとり」を始めてもらいます。

ムダとりを提案した場合、メンバーのほとんどは賛成します。現状維持バイアスがかからないから入りやすいのです。

さらに、抵抗も少ないので知恵も生まれやすいです。最初の考えるトレーニングには最適なのです。

ムダとりといいましても、範囲が広いのですが、私の場合では
「もれ・抜け、ダブり、やり直しのムダ」
「運搬のムダ」
「迷いのムダ(考えるムダ)」
に取り組んでもらいます。
効果が高いからです。ムダとりの方法は後日紹介いたします。

ムダとりにより、最初の小さな成功体験を作ります。そして、改革活動のノリを作ります。そのノリを活用し、次のアイディアが生み出します。考えるトレーニングの効果も倍増してきます。

ヒト・モノ・カネを投入するのは、この段階からでいいと思います。時間と精神論や根性論は改革活動では使いません。

若き改革リーダーのみなさま

改革活動は、全員の知恵が成否を分けます。エース数人の知恵による改革活動は息切れしますのでお勧めしていません。1,2回で終わるからです。

全員がいい知恵を出せるようにするには、仕掛けが大事です。

現場の多くは、考えることのトレーニング不足なだけです。トレーニングメニューを考え、一つ一つ積み上げれば、いい結果(知恵)が生まれるようになります。

そのトレーニングメニューの一つとして、ムダとりを取り入れます。現場維持バイアスが働きにくく、抵抗も少ないのです。

改革活動は、大ナタを振るうものばかりではありません。強力なリーダーシップを発揮して、力ずくで引っ張るものばかりではありません。(リストラなどの構造改革等は、大ナタを振るった方がいいとは思います)

考えることは、取り組みやすくかつ比較的効果の大きいものから始めます。それを積み上げます。その結果が大きな改革につながります。

コツコツ積み上げた改革活動は、継続します。習慣化しやすいです。その中でもっとも重要なのが全員の知恵です。

参考になればありがたいです。

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