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現場の欲求に合わせて課題を設定する

こんにちは。企業改革コンサルタントの小野司です。

企業改革に取り組む若きリーダーさん、そしてウィズコロナなどで、企業改革に取り組まれる企業さまに、改革のヒントをお届けしています。

今日は、改革活動の課題設定の方法についてお話しいたします。

まず、現場の「不」を解消する課題を設定します。「不」の解消は、現場の欲求を満たすものでもあります。ですから、多くの現場の方は、やる気になってくれます。

そして、課題設定する「不」は、原則、ワイガヤで最も出「不」の数が多かったものを選びます。より多くのメンバーの欲求を満たせるからです。

次に、この課題を検証します。「不」の解消課題がボトルネック解消課題と一致しているかを検証します。

ボトルネックとは、これを解消すると、会社全体の生産性が高まるものです(正確には会計上の付加価値が高まるものです)。改革活動の課題は、ボトルネック解消につながるものにしたいからです。

改革課題は、原則、経営効果につながるものにすべきだからです。

では、検証の結果、「不」の解消課題とボトルネック解消課題が一致しない場合はどちらを優先すべきでしょうか。

基本的には、私は、ボトルネック解消課題を優先すべきと考えます。経営効果が小さいものに取り組むことは、経営効率を下げることになるからです。

ムダが大きいからです。一部現場メンバーの徒労感にもつながります。

しかし、これまで、多くの改革活動を支援してきて、そのほとんどは、「不」の解消課題とボトルネック解消課題は同じでした。

なぜなら、。ボトルネックは、メンバーにとっても「不」になることが多いからです。

例えば、ある工場では、手作業である、皮むき工程がボトルネックでした。皮むき工程の前には、いつも仕掛品がヤマのように積み上がっていました。そして、皮むき工程の作業者はいつも大変な思いをしていました。
他の工程の作業者からは、皮むき工程はなぜいつも遅いの、という「不」が出ていました。作業に工夫が足りないのでは、作業のやり方自体にムダが多いのでは、という「不」も多くありました。
一方、皮むき工程の作業者からも、自身の皮むき作業に関する「不」が多く出されていました。

つまり、ボトルネック工程には、「不」が多く集まる傾向にあるのです。少なくとも「不」の数のトップ3には必ずといっていいほど、ボトルネック工程が入ってきます。

改革課題の決め方についてお話しいたします。決め方は、トップダウンとボトムアップ(またはミドルアップ)の大きく2つの進め方があります。

一般的にはトップダウンで決めることが多いと思います。なぜなら、ボトムアップで課題を決めると、現場が取り組みやすいものにすることが多いからではないでしょうか。

つまり、ボトルネック工程を課題にするといいましても、本質に深く切り込んだ重い課題もあれば、取り組みやすい軽めの課題もあるからです。

重い課題は、皮むき工程を例に取れば、まず、作業分解して、タイム計測して、作業分析します。次に、作業器具の開発、または高価な皮むき機を導入するというものが浮かびます。半年から1年くらいの取り組みです。
取り組みやすい軽めの課題としては、みんなで話して、ナイフの持ち方を変えてみましょうとか、皮むきナイフを入れる順番を変えてみましょうというものなどが浮かびます。数日の取り組みです。

改革活動の場合、ノリが重要になります。現場の方にとって「不」の解消になる課題を、“自ら決めた”ものの方がノリが生まれやすいです。

また、最初は数日で結果が出た方が、ノリが生まれやすいです。

改革活動で上手くいっている会社は、小さな成果を短期間に積み上げてゆきます。その中でノリも生まれてきます。ノリが生まれてきますと、大きな課題にも取り組む自信や意欲が生まれてきます。

ボトルネック解消の重い課題に取り組むのは、ノリが大きくなった時の方が効果的です。

もちろん、諸事情ですぐに取り組まなければならない場合もあると思います。顧客トラブルなどをかかえ待ったなしの場合はそうです。この場合は、臨機応変になると思います。

若き改革リーダーのみなさま

「不」を集めて、その解消課題に取り組む。それが、ボトルネックの解消につながるのであれば、現場主導で課題設定させる。

現場主導だと取り組みやすい課題になりがちですが、まずは、小さな成果を出すことを優先させる。そしてやらせてみる。小さな成果が出れば、現場にノリが生まれる。

次からは少しずつ大きな課題にしていく。それを達成できるとさらにノリも大きくなる。

例え失敗しても、ノリがあるからリカバリーできる。リカバリー出来たことが、また自信になる。そしてノリにもなる。

この繰り返しで、気がついたら、比較的短期間で大きな成果に結びついている。

これが、上手く改革している企業の典型例です。

最初は、現場の欲求(「不」の解消欲求)に合わせて課題設定することは、勇気がいると思います。最初は、ガマンも必要と思います。

でも、そのガマンを乗り越えて、成果が出始めますと大きな達成感になって戻ってきます。

ノリをつくることを第一に取り組んでみませんか。

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