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改革活動の時間を捻出する方法

こんにちは。企業改革コンサルタントの小野司です。

企業改革に取り組む若きリーダーさん、そしてウィズコロナなどで、企業改革に取り組まれる企業さまに、改革のヒントをお届けしています。

経営トップからの指示を受けて、あるは改革リーダーが判断して、改革活動をすることがあります。しかし、現場とお話してみますと、今は忙しくて改革活動どころではない、といわれることはよくあります。

この場合、改革リーダーはどのように取り組めばいいでしょうか。

ある企業さんの事例です。社長より、5S活動を支援してほしいというコンサル依頼がございました。5Sとは、整理、整頓、清掃、清潔、しつけのことです。
現場のリーダーとお話ししてみますと、納期遅れを挽回する時期で、それどころではないとの回答でした。改革活動に消極的でした。

改革活動の課題としては、納期遅れ対策の優先度の方が高そうです。

この場合ら社長と現場との間で、課題認識にギャップがありそうです。このような時、私は、課題の優先度付けを行い、そちらを先に取組むことを考えます。

この事例の場合は、以下のように取組みました。まずは、ワイガヤをして、現状分析し、重点課題を決めさせてほしいと、社長に提案いたしました。その後に、5Sに取組みさせてほしいとも付け加えました。
社長の了解を得た上で、ワイガヤをして、「不」の吐き出しと分析をしました。分析結果は、予想通り、納期遅れに関する「不」が、トップ3に2つ挙がりました。
さらに、予想通り、その2つの「不」は、ボトルネック工程に関するものでした。次に、ボトルネック解消のため、効果的な課題を一つに絞り、改革課題としました。この場合のボトルネック工程は、製品の充填工程でした。

この進め方に対し、現場は好意的でした。現場の「不」を聞いてもらえること、ボトルネック工程の解消に取り組むこと、それにより納期遅れが解消される方向で取組むようになったからです。

まずは、充填工程の中のボトルネックを探しました。原因は、充填機が老朽化しており、詰まりが発生しやすいことでした。そのためには、充填機のメンテ頻度を増やすことを課題にしました。
古い機器でもメンテすればまだ使えることと、会社の予算上、新しい機器を購入することは難しかったためです。
一方、その充填機のメンテは電気系統の作業もあり難しい作業でした。そのため、これをできるのは、課長と工場長だけでした。工場長は営業部長も兼ねているため、現場を不在にすることが多かったです。
そのため、課長がやることになるのですが、多くの作業を兼務しており、とても忙しい状況でした。充填機をメンテする時間を取ることも難しそうでした。生産管理上は、ボトルネック作業であるメンテ作業は最優先なのにです。
充填作業は、入社2年目の若い女性が担当でした。その女性が、充填機の不調で大変な思いをしているのは、現場のみんな知っていました。その女性を助けたいね、という声が出てきました。
さらに現場のあるメンバーからは、課長の仕事で、自分たちがやれる仕事を受け持とうという提案がありました。
具体的には、課長がやっている器具洗浄などです。この器具は課長担当の工程のものですが、洗浄であれば、他工程の人でもできるからです。
この取組みにより、課長が充填機をメンテする時間を捻出できるようになりました。その結果、充填機の不調はほとんどなくなり、納期遅れも止まりました。残業も減りました。
さらに、現場の多くが、課長の担当の器具洗浄を手伝うようになり、それが納期遅れ解消につながったことは、成功体験になりました。

一人ひとりが、自分作業時間を短縮させて、他工程の器具洗浄を手伝っただけです。その自分の作業時間短縮という小さな成功体験が、積み重なり、大きな成果になりました。

その後、5S活動は、スムーズに進みました。

若き改革リーダーのみなさま

現場の「不」を聴くこと、それを受けて課題を設定すること、そして小さな成功体験を積み上げること、が大きな成果に結びつくことのイメージはつきますでしょうか。

この小さな成功体験が、改革活動のノリになり、次の5S活動を乗り越える推進力になりました。

最初から、5Sに取り組んだとしたら、成功体験もノリもなく、さらに現場に抵抗感がありましたから、苦労したことが考えられます。

現場から、改革活動の時間がないと言われた場合、改革活動の時間を捻出するための活動を先に行うことは有効です。

多くの場合、その時間捻出のための活動は、ボトルネック解消活動になります。そして、その取組みの方が重要なこともあるのです。

さらに、現場の声を聞いて、取り組むことは、現場とのいい関係も作り上げることができるのです。

参考になりましたらありがたいです。


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