笑いのニューウェーブ

私はお笑い芸人の中では、昔から一貫して陣内智則が好きだ。

陣内氏の芸風といえば、ボケとなる映像や音声に対して自らツッコミを入れていくコントが特徴である。
ピン芸人ながらもまるでコンビのようなやりとりをするそのスタイルは、他の芸人さんと比べてもかなり独特な印象を持っていると思う。

一昔前に放送された「エンタの神様」を観ていた時は、毎回声に出して爆笑していたものだった。「羊が一匹」や「ゾンビゲーム」などと、面白かったネタを一つずつ挙げていったら本当にキリがないくらいに。

二人以上で織りなすようなコントや漫才とは異なり、どのネタを観てもとにかく面白いの一言以外に思いつく言葉が出てこない。

終盤で、ある意味大噴火を起こしたかのごとくナビゲーターが狂った「クッキングナビ」のコントでは、声を張るどころか腹の底から笑わずにはいられない。

最近になってYouTubeで続々とコント動画がアップされてきているのは、それこそ「エンタの神様」のようなお笑い番組が放送されなくなってきている中、一ファンとしては嬉しい悲鳴である。

他にも現代に合わせてブラッシュアップされたネタもあるが、その中でも「映画予告」は、当時放送されたネタと今時にまつわる要素がミックスされていてとても新鮮であった。

ただ例のネタをこの時代でもぶっこんできたかと、思わず拍手喝采してしまった。

ちなみに私の一番のお気に入りは「運転シミュレーター」である。昔から自分の中では何回も観ていたネタであり、一個一個説明するのに時間を要してしまいそうになるくらい、とにかくボケのオンパレードになっていたと思う。

そしてこのご時世で「セルフレジ」のコントをアップしてくるのはかなり衝撃的だった。新ネタも文句なしに面白いし、これも腹を抱えて笑わずにはいられない。

ありふれた日常ものをここまで可笑しくしてしまうのは、もはや天才としか言いようがない。

こうして見ていると機械相手だったり画面を見ながら、おそらく人では再現が難しいボケに的確なツッコミを入れる陣内氏のコントは、新旧関係なく本当に面白いものである。

しかも最近ではYouTube上のコメント欄に、視聴者からいろんなネタを募集して一つのコントに仕上げているのだから、時代のニーズに合わせて作るのが本当に上手いと思う。

今回はひたすら陣内氏のネタについて語るものとなってしまったが、やはり他の芸人さんにはない魅力が昔も今も変わらず詰まっているものだと、私自身も改めて認識しなおしたのであった。