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技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座17 デジタイゼーション(デジタル化)の実践-電子カルテが簡単に作れるローコードツール-

 前回、無料ツールであるGoogleフォームを使ったデイリーチェックシートの作成例をご紹介しました。今回はもう少し本格的な電子カルテアプリを開発する方法として、ローコードツールを取り上げてみたいと思います。

 ローコードツールは時間をかけずに本格的なアプリを開発できるツールとして、DXに取り組む企業に注目されています。DXを推進する企業として有名な星野リゾートでは、スタッフ全員がITの力を活用できるようにすることを目指す「全スタッフIT人材化」に取り組んでいます。そのために導入されているのが、ローコードの「kintone」です。

 ローコードツールでは、ゼロからコーディングを行うよりも少ないプログラムコードで開発ができます。全くプログラムコードを書く必要のないものをノーコードツールといい、ローコードツールの多くがシンプルなアプリであればノーコードで開発できることから、ローコード・ノーコードツールとも呼ばれます。(この講座ではノーコードツールも含めてローコードツールと呼んでいます。)

 また、ローコードツールでは豊富なテンプレートが初めから用意されています。
たとえばKintoneでは、
  顧客リスト 案件管理 問合せ管理 議事録管理 クレーム管理 
  備品在庫管理 資産管理 図面管理 作業依頼申請 物品購入申請
  社内申請管理
などが提供されています。その他、工程管理や品質管理といった製造業向けテンプレートなどもサポートベンダーから無料提供されています。

 以下の画面は、前回私がGoogleフォームで作ったデイリーチェックシートをGoogle のローコードツールであるAppSheetを使って同じように開発したものです。

 最後に、ローコードツールを使う場合の留意点について述べておきたいと思います。ローコードツールが簡単だとはいえ、ITリテラシーの低い人にはそれでも敷居の高いものになってしまいます。その結果、社内でITに強い若い社員に押しつけてしまうようなケースが既に出てきています。これでは、ExcelマクロやAccessデータベースで作られた属人的なシステムと変わりありません。

 本来、ローコードツールは開発に手間がかからないため、業務に精通した現場の人が中心となって、取り組むべきものです。星野リゾートの「全スタッフIT人材化」はまさにローコードツールの理にかなったコンセプトと言えるでしょう。

 業務に精通する現場の社員や経営幹部、そしてITに強い社員が集まって、プロジェクターで投影したローコードツールの画面をいっしょに見ながら、業務改革に取り組むべきなのです。


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