暗黙の了解

こうあるべきだということを信じ続け

線引きで仕切ったその先をこえることに怯え

くすぶっていたこれまでのこと


こえられないことに自己嫌悪し

心で触れ合うことすらできず終わっていった恋人

正しいの暴力で傷つけた友人

自分の気持ちに目を背け続けてきた日々


そのひとつひとつの選択は

自分でしてきたはずなのに

まるで他人に呪いをかけられているような感覚

規律を破る背徳感

それらに苛まれることを拒んだ

臆病者の私は呪いに甘え守られてきたのだろう

結局のところ それにばかりとらわれて

何も変えることができずにいた


傷つくことを恐れているままでは感じられない

胸を焦がすほどの痛い喜びなんて無関係で無関心で

手に触れるだけで愛おしいだなんてことすら知らずに

このまま優しく抱き締められていたいとも望まなかった


誰かが

あなたが

そばにいてほしいと願ったとき

きまりを破ることは確定で

暗黙の了解的に許される

そんな簡単なことに気づけずに

世間知らずの私はたくさんの思いを手放してきたけれど


手を伸ばして届きそうで届かない

掴んでも向こうへいってしまいそうな大切なものを抱き締めたい

そんなありのままの感情を

受け入れてみたい

そう ようやく切に願えたの


暗黙の了解的に線のその先へ

そっと片足を踏み入れて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?