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政治講座v193「ロシアの戦争犯罪は誰が裁ける?」

今、ロシアのウクライナ侵略に対して、国際連合という組織は屁の突っ張りしかならない。こんな組織を作ったのは第二次世界大戦の勝者であり、77年間、常任理事国の拒否権発動で機能しない組織である。自業自得である。笑っちゃうね!東京裁判と言う茶番では本来国際法違反(戦争犯罪)で裁かれるべきは米国大統領ルーズベルト大統領とトルーマン大統領である。勝者による連合国の非道振りは目に余るものがあるのである。今回は、歴史を振り返りながら今般発生している戦争犯罪を論ずる。

           皇紀2682年4月5日
           さいたま市桜区
           政治研究者 田村 司

はじめに


戦争犯罪
とは、戦争における国際法に反する行為の中でも、狭義には第二次世界大戦以前より認められてきた戦時法規の違反者が敵国にとらえられた場合に処罰されるものであり、広義には第二次世界大戦後に認められた平和に対する罪人道に対する罪を狭義の戦争犯罪に加えたものである。

狭義の戦争犯罪である戦時法規の違反とは、例えば捕虜虐待、毒ガスなど国際法上禁じられた武器の使用文民による武力を用いた敵対行為スパイ行為、戦時反逆といった、軍隊構成員が行う交戦法規違反である。広義の戦争犯罪のうち平和に対する罪とは侵略戦争の実行などで、また、人道に対する罪とはジェノサイドに代表される非人道的行為である。

かつて戦争犯罪と定義されていたのは、捕虜の虐待を禁じたジュネーブ条約」や、非人道的兵器の使用を禁じた「ハーグ陸戦条約」など、戦時において守られなければならないとされる国際法(戦時国際法違反行為のみであった。

非戦闘員及び降伏者、捕獲者の保護

非戦闘員とは、軍隊に編入されていない人民全体を指し、これを攻撃することは禁止されている。また、軍隊に編入されている者といえども、降伏者、捕獲者に対しては、一定の権利が保障されており、これを無視して危害を加えることは戦争犯罪である。

  • まず降伏者及び捕獲者は、これを捕虜としてあらゆる暴力、脅迫、侮辱、好奇心から保護されて人道的に取り扱わなければならない。捕虜が質問に対して回答しなければならない事項は自らの氏名、階級、生年月日、認識番号のみである。

  • また負傷者、病者、難船者も人道的な取り扱いを受け、可能な限り速やかに医療上の措置を受ける衛生要員、宗教要員も攻撃の対象ではなく、あらゆる場合に保護を受ける

  • 文民とは交戦国領域、占領地での 敵国民、中立国の自国政府の保護が得られない者、難民、無国籍者である。全ての文民は人道的に取り扱われる権利があり、女性はあらゆる猥褻行為から保護される。文民を強制的に移送、追放することは禁止されている。

これらは、1949年のジュネーブ諸条約と1977年のジュネーブ条約追加議定書ⅠとⅡにおいて定められている。

バイデン氏、ロシアに追加制裁へ「プーチン氏は戦争犯罪人」

毎日新聞 2022/04/05 07:24

© 毎日新聞 提供 バイデン米大統領(左)とプーチン露大統領=高本耕太、大前仁撮影

 バイデン米大統領は4日、ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊のブチャなどで多くの民間人の遺体が見つかったことを受け「プーチン露大統領は戦争犯罪人だ」と述べ、プーチン氏の責任を追及する考えを示した。また、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は追加の対露制裁を週内に発表すると明かした。

 バイデン氏は「プーチン氏は残忍だ。ブチャで起きていることは言語道断で、誰もがそれを目撃している」と指摘した。一方で、人種、民族、宗教などに基づいて特定の集団を計画的に絶滅させようとする「ジェノサイド(大量殺人)」に当たるかを問われると「違う。これは戦争犯罪だ」と答えた。そのうえで、戦争犯罪として法廷で裁くために「我々は情報を集めて詳細を把握しなければならない」と強調した。ホワイトハウスで記者団に語った。

 一方、記者会見したサリバン氏はウクライナに追加の軍事支援を近く実施することも明らかにした。対露制裁の内容については「圧力を強めるために欧州の同盟国と集中的に協議している」と語った。【ワシントン鈴木一生】

ウクライナの解放された地域で恐ろしい光景=大統領報道官

BBC News 2022/04/04 12:53

© BBCニュース 提供

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の報道官、セルゲイ・ニキフォロフ氏は3日、BBCの番組に対して英語でインタビューに応じ、ロシア軍から奪還した首都キーウ周辺の地域で、複数の市民が処刑され、集団埋葬地に埋められていたことが判明したと話した。

ロシア軍後退後のキーウ近郊ブチャなどに入った複数の西側報道陣は、路上に多数の遺体が点在する光景を目にしている。遺体の中には、手首を縛られた人もいたという。

一方のロシア政府は、ブチャの住民殺害について自分たちのしたことではないと、全否定する声明を出している。

ロシア軍「ジェノサイド」確実 耳切り取り歯を抜かれ…子供にも拷問か 西側諸国による制裁長期化 「ロシアはICCで裁かれる」識者

2022/04/04 11:00

ウクライナ国防省は、首都のあるキーウ(キエフ)州全域を奪還したと発表した。ただ、ウラジーミル・プーチン大統領率いるロシア軍による攻撃は、一般市民までも巻き込んだ大虐殺と化しており、血の気が引くような殺害が繰り返されている。「ジェノサイド(民族大量虐殺)」は確実といえ、西側諸国によるロシアへの制裁が長期化するものとみられる。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は3日放送の米CBSテレビで、キーウ周辺の被害を「ジェノサイドだ」と非難した。拷問にあった子供もいるとみられロシア軍が地雷を設置していることから住民にはすぐに帰宅しないよう呼び掛けている。

犠牲になった一般市民の遺体は至る所で放置されている状況だ。

英紙サンデー・タイムズによると、領土防衛隊としてキーウ近郊の警備に当たる庭師のトロビクさん(53)が、別荘地の地下室で18人の遺体を目にしたと証言した。「(ロシア軍は)拷問していたんだ。一部は耳が切り取られ、ほかは歯が抜かれていた。14歳くらいの子供の遺体もあった」という。

これらの蛮行に対し、英国のボリス・ジョンソン首相は3日の声明で、「ロシアのプーチン大統領や軍が戦争犯罪を重ねていることのさらなる証拠だ」と非難した。英国は国際刑事裁判所(ICC)が進める捜査を全面的に支持するとの立場を示した。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長も、自身のツイッターで調査の必要性を訴え、「ウクライナのブチャで殺害された民間人の画像に深いショックを受けた」と投稿した。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領や、米国のアントニー・ブリンケン国務長官らも、ロシアの責任を追及する構えを見せた。

米情報当局は、ロシア側が5月初めまでにウクライナ東部での勝利宣言をする可能性があるとも伝えるが、「戦争犯罪」から免れるはずもない

福井県立大学の島田洋一教授は「ロシアの行為はICCで裁かれることになる。プーチン政権である以上、ロシアにはさらなる制裁強化も予想される。露骨な蜜月ぶりを披露してきた中国が賢明であるならば、積極的には動きづらい状況である。今後、勝利宣言に向けて戦火が広がれば、戦争犯罪も増えることが予想される」と指摘した。


独仏、ロ外交官の追放決定 「ブチャ虐殺」に反発拡大

共同通信社 2022/04/05 08:38

© KYODONEWS 3日、ウクライナ・ブチャで、破壊されたロシア軍の
戦車などの間を歩く女性(AP=共同)

 【ベルリン、パリ共同】ドイツとフランスの外務省は4日、自国に駐在する多数のロシア外交官らの追放を決めたと発表した。ウクライナ首都キーウ(キエフ)近郊ブチャでの多数の民間人殺害に反発が拡大する中、ドイツは声明で「ロシア指導部による信じられない残虐性」を示すものだと批判し、追放の要因に挙げた。関与を否定するロシアのザハロワ外務省情報局長は4日、インタファクス通信に「対抗措置を取る」と表明した。

 バイデン米大統領は4日記者団に、プーチン大統領の戦争犯罪を裁くために「証拠を集めなければならない」と強調。欧州各国と協議し今週中にも追加制裁を打ち出す方針も示した。


ロシア軍撤退後の無残な状況に欧州から非難集まる

TBS NEWS 2022/04/04 05:34

© TBS NEWS 写真: TBS系(JNN)

ロシア軍が撤退した首都キーウで多数の市民の遺体が見つかったことについてヨーロッパの首脳から非難が相次いでいます。 ロシア国防省は3日、ウクライナ南部オデーサ近郊の石油製油所燃料貯蔵庫をミサイルで破壊したほか、ミコライウ州などの燃料貯蔵庫を攻撃したと発表、ロシア軍は南部や東部への攻撃を続けています。 一方、首都キーウ近郊に迫っていたロシア軍が撤退後、多数の市民の遺体が残されていたことについてヨーロッパの首脳から非難が相次いでいます。 ドイツのショルツ首相は、「加害者とそれを託した者は、説明責任を負わなければならない」「ひどく無意味で不当な戦争だ」と即時停戦を改めて求めました。 また、フランスのマクロン大統領は「ロシア当局は罪の報いを受けなければならないだろう」と非難しています。 (04日04:40)

ロシア追加制裁を緊急議論=民間人の殺害非難―EU声明

2022/04/04 20:52
【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(外相)は4日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊でロシア軍に殺害されたとみられる民間人の遺体が多く見つかったことを受け、非難声明を出した。併せて「EUはロシアに対するさらなる制裁の作業を緊急で進める」と表明した。

 声明は、民間人殺害を「虐殺」と見なし、「可能な限り強い言葉で非難する」と強調。「戦争犯罪の犯人は責任を問われる」と指摘し、戦争犯罪や人道に対する罪を追及する国際刑事裁判所(ICC)検察官らの取り組みを全面的に支援する姿勢を示した。

ロシアの「集団殺害」追及=捜査へ特別機構創設―民間人犠牲でウクライナ

2022/04/04 20:09

© 時事通信 提供 3日、キーウ(キエフ)で演説するゼレンスキー大統領
=ウクライナ大統領府提供(EPA時事)

【イスタンブール時事】ロシア軍が地上部隊を撤収させたウクライナの首都キーウ(キエフ)郊外で民間人とみられる遺体が多数見つかったことを受け、ウクライナのゼレンスキー政権はロシア軍による「ジェノサイド(集団殺害)」と断じ、司法当局が4日、捜査を本格化させた。欧米も戦争犯罪としてロシアの責任を追及する構えを強めた。

 ゼレンスキー大統領は3日夜の声明で、ロシア軍によるあらゆる犯罪を捜査し裁くために司法の特別機構の創設を承認したと発表。内外の司法専門家が共同作業を行うといい、「この恐ろしい戦争とウクライナ国民に対する犯罪を引き起こし、何らかの形で参加した者を、ウクライナと世界が裁くのに役立つだろう」と説明した。

 ゼレンスキー氏は、ウクライナ側が奪還したキーウ郊外のブチャなどでロシア軍によって「数百人もの人々が殺された。民間人が拷問され、処刑された」と糾弾。「地球上でこのような悪の出現を最後とするため、あらゆる手段を尽くすべき時だ」と強調した。ウクライナ司法当局は3日、キーウ周辺で民間人計410人の遺体が発見されたと発表した。 

【解説】ロシア軍“引き際”の残虐行為…停戦協議はできる?ロシアの狙いは?

テレ朝news 2022/04/04 17:53

 国際社会に衝撃が広がっています。ロシア軍が撤退した首都キーウ近郊の「ブチャ」で多くの市民が死亡しているのが見つかりました。
ウクライナ当局の発表では、ブチャなどキーウ周辺の地域で民間人410人遺体が発見されたということです。
これに関してウクライナのゼレンスキー大統領はロシア軍「殺人者」と呼び、厳しく非難しています。
 一方のロシア軍は、ロシア国防省の公式声明で「仕組まれたパフォーマンスだ」と関与を否定しています。


「頭を撃たれ、切り刻まれ…」ロシア軍撤退の町で路上に遺体 家族を殺害された住民らが証言

日テレNEWS 2022/04/04 17:02
ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ近郊の町では民間人とみられる多くの遺体が路上などに残されていて、家族を殺害された住民らが当時の状況を証言しています。ロシア軍が撤退し被害の状況が徐々に明らかになっているキーウ近郊のブチャでは、民間人とみられる多数の遺体が路上に残されていました。住民はロシア軍が理由なしに民間人を殺害したと証言しています。ブチャの住民「知人が枝を拾いに行ったとき、突然彼ら(ロシア兵)が現れて撃った。そのあと(胸の)あたりを撃ちまくった。1発はこめかみの少し下に当たった。狙い撃ちだった」ある女性は、夫とともに暮らしていたアパートにロシア軍が司令部を設置し、数日間拘束されたということです。夫はその後、殺害されました。夫を殺害された女性「地下の遺体を見たとき、靴やズボンをみて夫だと分かった。顔は切り刻まれ、体は冷たかった。夫は頭を撃たれ、切り刻まれ、拷問を受けていた

AP通信は集団墓地に多くの遺体が埋葬され、一部は遺体袋に入れられていない状態で埋められていると報じています。また、路上に残された遺体の中には後ろ手に縛られ、頭を撃たれた人の姿もありました。ロイター通信によると、ウクライナの検察当局はキーウ近郊で410人の遺体を発見したということです。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領「殺され、拷問され、撃たれた民間人は何百人も確認された。遺体が散乱し地雷が埋められ、遺体にも地雷が仕掛けられている。全ての地域で略奪の影響も出ている」また、ウクライナの副首相は3日、国内各地の11人の首長がロシア軍に拘束され、キーウ近郊のモティジン村の村長夫妻は拘束中に殺害されたと明らかにしました。

「戦争犯罪として捜査を」トラス英外相が非難声明

2022/04/03 22:44
【ロンドン=板東和正】ウクライナ首都キーウ(キエフ)近郊で多数の市民の犠牲が伝えられていることを受け、英国のトラス外相は3日に発表した声明で「罪のない市民に対する(露軍の)無差別攻撃は戦争犯罪として捜査されなければならない」と指摘した。英国は国際刑事裁判所(ICC)が進める捜査を全面的に支持するとの立場を示した。

トラス氏は声明で、露軍によるウクライナ侵攻を「違法かつ不当」と非難した上で「侵略軍が行った恐ろしい行為の証拠が次々と明らかになっている」と指摘。「ロシアが、残虐行為への自らの関与を偽情報の発信によって隠蔽することを許してはならない。ロシアの行動の実態が明るみに出るようにする」と強調した。また、「プーチン(露大統領)の資金源を断つ」として、対露制裁の強化の必要性を改めて強調。国際社会がウクライナへの軍事支援や人道支援を継続することも不可欠と訴えた。
ロイター通信などによると、フランスのルドリアン外相も3日、ロシア軍の行為を「戦争犯罪に該当する」と指摘責任者が裁かれ、処罰されるよう取り組むとした。

誰がプーチン大統領を裁けるのか?戦争犯罪とは 国際刑事裁判所(ICC)の役割とは…

2022年4月4日 06時00
ロシア軍によるウクライナ侵攻により、米欧諸国を中心にプーチン大統領の「戦争責任」を追及する声が強まっています。ロシア軍が支配した地域では民間人の遺体が多数見つかり「ジェノサイド(集団殺害)だ」との批判も出ています。そもそも戦争責任とは何か。プーチン氏を裁くことは可能なのか国際刑事裁判所(ICC)の役割とともに、萬歳寛之・早稲田大学法学学術院教授(国際法)に聞きました。(聞き手・岩田仲弘)

萬歳教授のポイント
プーチン氏の行為は「侵略犯罪」に問われ得るが、実際に逮捕・訴追するのは難しい。
・これまでICCの活動に後ろ向きだった米国の姿勢の変化は注目に値する。
ICCの役割にも自ずと限界がある。今回のICCの捜査で重視すべきは、ウクライナで何が起きたかを明らかにすることだ。
ウクライナ侵攻の経緯と実態を知った結果ロシアの国民がどのような選択をするかによって、民主主義の価値が試される
今こそICCなど国際機関の存在意義が問われている。

Q 戦争犯罪とは具体的にどんな行為を指すのでしょうか。
A 戦争で個人一人一人が負う刑事責任を指します。国家の指導者が違法な武力行使の決定に関与した場合、あるいは兵士らが武力紛争時に違法なかたちで損害を発生させる場合、それらが国際社会全体の関心事である「最も重大な犯罪」に当てはまると判断されれば、刑事責任を追及されます。

戦争犯罪、ICCの役割などについて解説する萬歳寛之・早大教授

Q 「最も重大な犯罪」とは。
A ICCはその管轄権が及ぶ対象犯罪として
①集団殺害犯罪(ジェノサイド):集団の全部または一部を破壊する意図をもった殺害など
②人道に対する犯罪:広範囲または組織的な住民の殺害や奴隷化、強制移送、拷問、強姦など
③戦争犯罪:殺人・捕虜の違法な待遇などや、民間人や病院、学校など軍事目標でない民間施設を故意に攻撃することなど
④侵略犯罪:国の政治あるいは軍事指導者らによる侵略行為の計画・準備・開始または実行
の4つを挙げています。
 
Q ウクライナ侵攻では具体的にどんな行為が戦争犯罪になり得るのでしょうか。
A ICCのカーン主任検察官は、戦争犯罪や人道に対する犯罪について捜査を始めたと発表しています。米国のブリンケン国務長官は具体的に、ロシア軍がアパートや学校、病院、ショッピングセンターなど、民間人が使っていると明らかに分かる場所を攻撃していると指摘。特にウクライナ南東部マリウポリで産科小児科病院や多くの市民が避難していた劇場が爆撃されたことを重く見て「米政府はロシア軍の構成員がウクライナで戦争犯罪を行っていると評価する」と表明しています。

Q カーン氏は英国やフランス、ドイツなど、ICCの設立条約である「ローマ規程」締約国の付託を受けて捜査開始を発表しましたが、そもそもウクライナ、ロシアは締約国ではありません。それでも捜査はできるのですか。
A ローマ規程上、犯罪が行われた国が非締約国であってもICCの管轄権を受諾した場合は捜査ができることになります。ウクライナはクリミア半島がロシアに併合された後の14年4月と15年9月の宣言によってICCの管轄権を受諾しているので捜査は可能です。特に15年の宣言では、ウクライナで行われたロシア高官らによる人道に対する犯罪戦争犯罪などについてICCの管轄権を認めています。

Q プーチン氏の罪が問われるとすると、どんな罪が想定されるのですか。
A ウクライナ侵攻を決断、命じた国家の最高指導者なので、戦争の決定にかかわったとして「侵略犯罪」に問われる可能性はあります。

国際刑事裁判所(ICC)とは

国際刑事裁判所(ICC) 1998年7月、ローマで開かれた国連外交会議で120カ国が賛成し、設立条約のローマ規程を採択。2002年7月に発効し、ICCが発足した。裁判官で構成する「裁判所長会議」「裁判部」と「検察局」「書記局」の4部門で構成。死刑はない。加盟国・地域数は123(21年11月現在)で、日本は07年10月に加盟。米国、中国、ロシアなどは非加盟

Q ICCの検察官がロシアに乗り込んで、プーチン氏を逮捕することはできるのでしょうか。
A ロシアは締約国ではありません。プーチン氏はもとより、ロシア軍の高官や兵士は、彼らが権力の座国家機関の地位にとどまり、かつロシア国内にとどまる限り、実際に逮捕・訴追するのは難しいです。

 一方、世界120カ国以上の締約国には、捜査に協力する必要があり、自国に被疑者が入国したら逮捕、引き渡しなどの協力義務が生じます。そうするとプーチン氏をはじめ、ロシアの高官が外交交渉のために外国に行けなくなる、といった効果は発生します。

 また、プーチン氏を裁くということは、ロシアの体制転換につながりかねず、国際機関がそのようなことにまで踏み込むのが適切か、ということも政策判断としてあるでしょう。旧ユーゴスラビア内戦について人道に対する犯罪を問われたミロシェビッチ元大統領は、選挙に敗れた後で旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所に引き渡され訴追されました。これに対して、ICCの非締約国であるスーダンのアル・バシール大統領(当時)をICCが訴追対象とした際、アフリカ諸国の反発が大きかったことは記憶に新しいところです。プーチン氏に関わる犯罪の審理を行うことは相当に重い決断になります。

Q ICCが実際にウクライナに逮捕や引渡しを請求する人はどんな人が想定されるのでしょうか。
A ウクライナ軍に捕虜になっているロシア軍兵士らが想定されます。

Q 現場の指揮官や兵士の刑事責任を捜査・訴追するにも長い時間がかかると聞きます。ICCの捜査にはどんな意義があるのでしょうか。
A 今まさに現地で行われている殺りくは止められないため、読者の方々からは「そんな先のことまで知らない」と言われてしまうかもしれません。しかし、本来、武力紛争において現に行われている殺りくに迅速に対応すべきは、ICCではなく、国連安全保障理事会など国連の政治的機関です。安保理はロシアの拒否権機能不全に陥っています。

 1人1人の刑事責任を立証する過程で、ロシア軍が現地で実際にどんな犯罪行為を行ったのか、その過程でプーチン氏の指示命令がどういうものだったかを明らかにすることがICCの役割です。それは、ロシアがウクライナ侵攻の理由に挙げた「ウクライナによるロシア系住民に対するジェノサイド等の行為」が事実だったかどうかも明確にするからです。

 不当な侵略で亡くなった方々のためにも真実を明らかにすることは大切です。処罰できないから意味がない、と考えるのではなく、何を行っていたかを明らかにすることも大事なのです。

Q ロシアやウクライナだけでなく、米国もICCには非加盟です。
A 今回、注目されるのは米国の対応です。米国はICC非加盟国で、ICCがアフガニスタンやパレスチナ米軍やイスラエル軍による戦争犯罪容疑の捜査を認めないなど、ICCに批判的でした。

 しかしブリンケン国務長官は3月23日、ロシア軍がウクライナで戦争犯罪を行ったと評価した声明で「特定の事例における刑事責任を決定する最終的な責任を負っているのは、戦争犯罪に対する管轄権をもつ司法裁判所(a court of law)である」と述べています。ICCに非加盟なので固有名詞は使っていませんが、米政府がICCも想定しながら、米国が収集した証拠や情報を国際機関と共有するとしている点は注目に値します。

Q 国際機関の限界が指摘されています。ICCに期待することは。
A ウクライナがICCに非加盟であっても、その管轄権を認めているという事実を重く見るべきです。本当に意味がないなら捜査の開始を受け入れないでしょう。きちんと客観的な証拠を積み上げ、裁判を通じて真実を明らかにし、プーチン氏の主張の真偽や、ロシアが行ったことの背信性を白日の下にさらす、ということが一番意義深いと考えます。

 その上で、ICCはもともと国内裁判所の責任を補完する裁判所であったことを思い出す必要があります。つまり、国際社会は、国際法廷に全権を与えているわけではないのです。こうした現状を考えると、プーチン氏を中心とする現在のロシアの政権について、国際社会が処断するのか、最後はロシアの国民を信頼してその適切な対応に期待するのか、私たちは難しい課題に直面するかもしれません。

 民主主義をどこまで信頼できるのか。ウクライナは、クリミア併合後は、以前と異なり、国家・国民としての一体性が徐々に強化され様々な問題を指摘されつつも、民主主義の下で反腐敗を掲げる現政権が誕生しました。私たちは、ウクライナから強大な軍事力に抵抗する民主主義の力強さを学んでいます。ロシアの国民も命がけで民主主義を獲得することになるのか。いずれにしても、ICCでの審理のプロセスを通じて明らかにされていく真実がロシア国民の一部にでも伝わっていくことによって、ロシア国民が今後、国家体制をもう一度整えていく契機としてしていくべきことも忘れてはなりません。そうしたことが中長期的にみた場合の地域の安全保障にもつながると思います。

 国連をはじめ国際機関は限界を露呈しながらも、やらなければいけないことを自分たちで考え、各国もそれを支援して、存在意義をかけて、このウクライナ問題に立ち向かう覚悟を持たないといけないと考えます。

ばんざい・ひろゆき 1971年東京生まれ。早稲田大学法学部卒業。同大学院法学研究科修士課程修了・博士後期課程中退。博士(法学)(早稲田大学)。駿河台大学助教授、早稲田大学准教授などを経て2011年から現職

【解説】 戦争犯罪とは? プーチン大統領を裁くことは可能なのか

3/15(火) 19:48配信
ドミニク・カシアーニ司法担当編集委員、BBCニュース イギリス政府は28日、ロシアによる戦争犯罪の捜査においてウクライナ政府を支援するため、国際刑事裁判所(ICC)のサー・ハワード・モリソン元判事を担当に任命した。 ウクライナを軍事侵攻して攻撃を続けるロシアは、数々の国際法を侵害したと国際社会から非難されている。
■戦争犯罪とは何か
意外かもしれないが、赤十字国際委員会(ICRC)がウェブサイトで説明するように、「戦争にもルールがある」。 ジュネーヴ諸条約をはじめとするさまざまな国際条約や合意によって、戦争のルールは定められている。 戦時に関する国際法では、市民や市民生活の要となるインフラは故意に攻撃してはいけないとされている。 また、無差別攻撃を目的とした兵器や、悲惨な被害を及ぼす兵器は使用が禁止されている化学兵器や生物兵器、対人地雷などがこれに当たる。 病人や負傷者は(負傷兵も含めて)、手当てを受ける権利がある。負傷兵にはさらに、捕虜としての権利が与えられる。 他にも拷問や、特定の集団を破壊しようとするジェノサイド(集団虐殺)も、様々な条約などによって禁じられている。 戦時中の殺人や強姦、集団処刑など深刻な犯罪は、「人道に対する罪」と呼ばれる。 ■ウクライナではどんな戦争犯罪疑惑があるのか アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は23日、ロシア軍が「集合住宅、学校、病院、市民生活に不可欠なインフラ、民間車両、ショッピングセンター、救急車を破壊した」と指摘し、「現在得ている情報からアメリカ政府は本日、ロシア軍の要員がウクライナにおいて戦争犯罪を犯したと判断していることを発表できる」とした。 イギリス政府も、ロシアは「野蛮で無差別」な戦術を行使していると指摘している。 ロシア軍は南東部の港湾都市マリウポリを包囲し、激しい攻撃を展開する中で、多数の民間人が避難していた劇場を空爆した。劇場の外にはロシア語で「子供たち」と大書されていた。 ロシアはこの攻撃を否定しているが、ウクライナ側はロシアによる戦争犯罪だと非難している。 ウクライナ政府は、ロシア軍によるマリウポリの産科・小児科病院の空爆も戦争犯罪に当たると主張している。この空爆では子供を含む3人がその場で亡くなり、職員や患者17人が負傷した産科病院爆撃ではさらに14日、救出された妊娠中の女性1人が死亡し、赤ちゃんも死産が確認された。 また、ロシア軍が紛争地帯から避難する市民を攻撃しているという報告も相次いでいる。 ウクライナ第2の都市ハルキウ(ハリコフ)では、民間地区にクラスター爆弾が投下された証拠が次々と出てきている。 ロシアもウクライナも、クラスター爆弾の使用を禁止する条約には署名していない。それでも、その使用が戦争犯罪に数えられる可能性はある。 イギリス国防省は、ロシアが気化爆弾(サーモバリック爆弾)を使用したと発表。気化爆弾は禁止されていないが、爆発の威力と衝撃波が極めて強いため市民の近くで使用すれば確実に戦時国際法に違反することになる。 さらに、今回のウクライナ侵攻自体が、侵略戦争という概念から戦争犯罪に当たると指摘する専門家も大勢いる。 ■戦争犯罪の容疑者はどのように追跡されるのか 各国政府は、戦争犯罪容疑について捜査する義務を負っている。 他の国と比べて、戦争犯罪捜査を多く行う国もある。 イギリスは、ウクライナで戦争犯罪が行われた可能性についての証拠集めに、警察幹部が支援を表明している。 ■戦争犯罪の容疑者はどのように裁かれるのか 第2次世界大戦以来、特定事案に管轄を限定した国際法廷が、たびたび設置されてきた。旧ユーゴスラヴィア国際戦犯法廷などがこれに当たる。 1994年にルワンダで起きたジェノサイドについても、責任者を追及するルワンダ国際戦犯法廷が開かれた。このジェノサイドでは、フツ人の過激派100日間で80万人を殺害したとされている。 現在は、国際刑事裁判所(ICC)と国際司法裁判所(ICJ)が、戦時国際法を支える役割を担っている。 ■国際司法裁判所(ICJ)とは ICJは国家間の紛争を取り扱うが、個人を提訴することはできない。ウクライナは侵攻をめぐり、ロシア政府をICJに提訴する方針で動いている。 ICJがロシアの法的責任を認めた場合、その判決内容の執行は国連安全保障理事会が担う。 しかし、ロシアは安保理常任理事国であるため、自国へのあらゆる制裁案に拒否権を発動できる。 ■国際刑事裁判所(ICC)とは ICCは、ICJが管轄する国家同士の紛争とは別に、戦争犯罪を行った個人を捜査・起訴する。 1945年にナチス・ドイツの指導者を裁いたニュルンベルク国際軍事裁判を、現代化・常態化させたものといえる。 国際法を守るための特別な裁判所を、各国の合意のもとに設置できるとする原則は、このニュルンベルク国際軍事裁判で確立された。 ■ICCはウクライナでの犯罪を裁けるか ICC検察局のカリム・カーン検察官(イギリス)は、ウクライナで戦争犯罪が行われていると「信じるに十分な根拠」があると述べており、39カ国がカーン氏の捜査に合意している。 捜査当局は、ロシアがウクライナのクリミア半島を実効支配する以前の2013年までさかのぼり、現在や過去の疑惑を調べることになるという。 捜査を通じて個人の犯罪行為の証拠が得られた場合、検察官はICC判事に、容疑者召喚のための逮捕状を要請する。ICCの裁判所はハーグにある。 しかしここで、ICCの実務的な権限の限界が明らかになる。 ICCは独自の警察機関を持たない。そのため、容疑者の逮捕は各国に委ねられている。 ロシアは2016年にICC締約国から脱退しているため、ウラジーミル・プーチン大統領は、容疑者の身柄を引き渡さないだろう。アメリカも、ICCには参加していない。 もし容疑者が他国に移動していればそこで逮捕も可能だが、その可能性は非常に低い。 ■プーチン大統領などの指導者は裁かれるのか 戦争犯罪を命令した指導者より、戦争犯罪行為を実行した兵士の法的責任を追及する方が、はるかに簡単だ。 しかしICCは、「侵略戦争を引き起こした」罪でも起訴することができる。 これは、正当化できない侵略や紛争、正当化できる自衛の範囲を超えた軍事行動などに適用される。 こうした行為が犯罪と見なされるのも、やはりニュルンベルク国際軍事裁判が発端だ。当時のソヴィエト連邦政府が派遣した判事が連合国に対し、ナチスの指導者を「平和に対する罪」で裁判にかけるべきだと説得したのがきっかけだった。 しかし、ここにも問題がある。英ユニヴァーシティ・コレッジ・ロンドンのフィリップ・サンズ教授(国際法)によると、ロシアはICCの締約国ではないため、その指導者を平和に対する罪では裁けないという。 理論的には、国連安保理が平和に対する罪についてICCにで捜査を依頼することもできる。しかし常任理事国のひとつとして、ロシアはこれにもやはり拒否権を発動するだろう。 ■他に個人を裁く方法はあるのか ICCや国際法が現実でどのような効力を発揮するのかは、条約そのものだけでなく、政治や外交にも左右される。 サンズ教授をはじめとする専門家らは、今回のロシアのウクライナ侵攻の処理はニュルンベルク裁判のように、外交と国際的な合意に委ねられるとみている。 サンズ教授は各国首脳に対し、ウクライナ侵攻における犯罪を裁く特別法廷を設けるよう働きかけている。

安保理、緊急会合開催へ キーウ近郊の民間人遺体発見

2022年4月5日 4:36 (2022年4月5日 8:02更新)

【ニューヨーク=吉田圭織、白岩ひおな】国連の安全保障理事会は5日、ロシア軍による民間人の虐殺が起きた疑いがあるウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊のブチャなどの状況について緊急会合を開く。4月の安保理議長国を務める英国のウッドワード国連大使がツイッターで明らかにした。

緊急会合では、ウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで演説する。ロシアによるウクライナ侵攻以来、安保理での演説は初めてとなる。ゼレンスキー氏はブチャで少なくとも300人の民間人が殺害され、ボロディアンカなど他の地域では犠牲者の数はさらに多い可能性があると指摘している。

英国のウッドワード国連大使は5日、ウクライナについて緊急の安保理会合を開くと表明した

ウッドワード氏はニューヨークの国連本部で開いた記者会見で、会合について「戦争犯罪やジェノサイド(集団虐殺)だと指摘されるブチャから出てきた画像について話し合う最初の機会となる」と話し、「ロシアに軍を撤退させ、違法な戦争を止めさせるための圧力にもなる」とも述べた。

米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は訪問先のルーマニアで「ロシアは戦争犯罪を行った責任を取らなければいけない」と強調。安保理会合では「ロシアに対抗し、孤立させる用意はできている」と訴えた。

一方、ロシアのポリャンスキー国連次席大使はブチャで民間人の遺体が発見された状況について、ウクライナの過激派による挑発だと主張している。

My  Opinion.

今の世界では誰も裁けない。ロシアが民主主義の国なら国民が選挙で地位を奪い、国民の裁きの前に委ねる他、方法がないのである。

参考文献・参考資料

安保理、緊急会合開催へ キーウ近郊の民間人遺体発見で: 日本経済新聞 (nikkei.com)

「戦争犯罪として捜査を」トラス英外相が非難声明 (msn.com)

戦争犯罪 - Wikipedia

誰がプーチン大統領を裁けるのか?戦争犯罪とは 国際刑事裁判所(ICC)の役割とは…:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

「頭を撃たれ、切り刻まれ…」ロシア軍撤退の町で路上に遺体 家族を殺害された住民らが証言 (msn.com)

ロシア軍撤退後の無残な状況に欧州から非難集まる (msn.com)

【解説】ロシア軍“引き際”の残虐行為…停戦協議はできる?ロシアの狙いは? (msn.com)

ロシア追加制裁を緊急議論=民間人の殺害非難―EU声明 (msn.com)

ロシアの「集団殺害」追及=捜査へ特別機構創設―民間人犠牲でウクライナ (msn.com)

ウクライナの解放された地域で恐ろしい光景=大統領報道官 (msn.com)

独仏、ロ外交官の追放決定 「ブチャ虐殺」に反発拡大 (msn.com)

ロシア軍「ジェノサイド」確実 耳切り取り歯を抜かれ…子供にも拷問か 西側諸国による制裁長期化 「ロシアはICCで裁かれる」識者 (msn.com)

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