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やさしい物理講座v12「三日月が輝く晩に太陽からの光に邪魔されず、星の輝きが見える訳」

先日、三日月がきれいな晩に、三日月を見て、月を照らす太陽の方向が予想できる。

太陽から照らされた光で月が光る。光が当たらないところは暗い。それで三日月になるわけである。

同様に、太陽からの光が太陽系の惑星を照らしている。

しかし、138億光年先からの恒星の光が届き地球に届き、しかも、三日月の光にも負けず(太陽の放射に負けず)大変明るい。銀河系の織り成す天の川の光も地球に届くのである。そこで、素朴な疑問を感じた。光と光が交差したら別の光が減衰するか、消滅しないのはなぜか。?

我々には、「光」自体は見えないが、物質を照らす光で物質が認識できるのである。三日月は月の表面の物質が放射した光である。三日月の付近で輝く星(恒星)が太陽の光に邪魔されているのにかかわらず、見えるのである。

さて今回の命題は「強い太陽の放射する光に邪魔されることなく、地球の夜空を星(恒星)が照らすのはなぜか」である。そこで、何気ない日常に起きる現象を真摯に考察してみた。

                  2021.11.15

                  さいたま市桜区

                  理論物理研究者 田村 司

はじめに

光には屈折、反射、回折、干渉などの現象がある。そして、波動性と粒子性の2面性を持っている。音波でも光波(電磁波)でも,いかなる波動においても「波の独立性」が保たれると言われる。交差点において光を観測すれば干渉(2つの光の重ね合わせによる強めあい弱めあい)が起こるが,相互に通過した光波そのものは何の影響も受けずに交差する。したがって,2つの光が交差したことによって下流での光にいかなる変化も起こらないと言われている。

では、粒子性からの考察をすると、光子(X線)と電子とのコンプトン散乱が起きる。また、真空に高いエネルギーのガンマー線を照射すると電子と陽電子が対生成し、電子と陽電子が対消滅してガンマー線が現れる。太陽からと恒星からの光の交差で異変が起きていないであろうか

波動性からみた検証

波には電磁波、音波、水面の波紋がある。

音波は空気の疎密波で、進行方向と同じ向きに変位(縦波)する。

水面の波の場合、変位として水面の位置が上下にずれる。水面の各水分子が波と一緒に移動する現象ではない。あくまでも、水面の位置が上下に変化する「変位」が移動しているのである。水面の波の場合、変位が波の進行方向と垂直な面内で変化するので「横波」という。光も「横波」である。

数式を出すと頭痛がする者もいるだろうが少々辛抱頂く。波にはもちろん色々な形の波があるが、複雑な波も色々な三角関数(振動数、振幅、位相)を合成することで表現できる。今回は基本形式としての正弦波(Sin波)を考える。それは、「y=sinφ」で表せる。角速度ω(1秒間に何ラジアン回るか)として、初期角度φ₀とすると角度φは「 φ=ωt+φ₀ 」と表される。

先ほど水面の波の変位の解説のように電磁波の波として伝播するのではなく変位が時間と共に変化するのである。

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出典:正弦波のベクトル表示ー趣味のブログ

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出典:正弦波のベクトル表示ー趣味のブログ

光(電磁波)のイメージ図

この様な波(電場と磁場)は進行方向に時間と共に変化(位相)する状態を継ぎ足したのがこの図の一定時間内の全体像である。

下の図で言うとある一地点電界と磁界の矢印で表されると理解すると分かり易い。これがある一定以上のエネルギー(紫外線のような波長の短い光)を持っている場合は、これ金属の表面に当てると負荷電子を帯びた電子が飛び出す(光電効果)。これが粒子性である。

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      出典: 株式会社計測技術サービス

実験からの考察

下の図は同じ波長で、安定した振動を続ける2つの水の波(上)と光の波(下)を交差させた図である。波の干渉ができてからまた分離して交差の影響は受けていない。

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出典:『波動光学入門』実教出版 p5

粒子性から光粒子(素粒子:電磁波)考察

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出典(Didier Queloz, Astronom, Nobelpreis für Physik 2019)

光の2重性については、「光は空間を波として伝わり(伝播)、物質によって放出・吸収されるときは粒子として振舞う」と理解すると、空間を伝播するときは「電磁波」の顔であり、電子に衝突するガンマー線の場合は粒子の顔を表す(コンプトン散乱)。光粒子が宇宙空間物質と衝突のときは、コンプトン散乱のような振る舞いをする。

結論

光の2重性における「波動性」にだけに着目するなら、波の独立性からそれぞれの交差する波は交差する場面において干渉が発生するが、交差後の波には影響しないのである。

ただし、空間に物質が存在するときは、散乱や物質への吸収・放出により、交差前の光と違う波になり得ることは起こり得る(自説)

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To be continued . See  you  later !


参考文献(資料)


Didier Queloz, Astronom, Nobelpreis für Physik 2019

https://www.youtube.com/results?search_query=Didier+Queloz%2C+Astronom%2C+Nobelpreis+f%C3%BCr+Physik+2019

正弦波のベクトル表示https://suzumushi0.hatenablog.com/entry/2017/06/10/083029

電磁波レーダ概要

https://www.kgs-inc.co.jp/support/techinfo/


鷹啄寛監修 福田務・坂本篤共著 『電気磁気』オーム社 2000.8.20 第1版1刷

広瀬立成著 『ヒッグス粒子』ナツメ社 2012.8.30 初版発行

山崎耕造著 『宇宙線と素粒子の本』日刊工業新聞社 2018.1.18 初版1刷

陳 軍・山本将史 共著 『光とレーザー』オーム社 2006.12.14 第1版第1刷

円山 重直著 『光エネルギー工学』養賢堂 2004.4.30 第1刷発行

山崎 正之・若木守明・陳 軍 共著 『波動光学入門』実教出版 2004.4.20 第1刷発行

阿部龍蔵著 『物理の世界』放送大学 1994.3.20 第1刷

阿部龍蔵著 『光と電磁場』放送大学 1992.3.20 第1刷

原康夫著 『量子力学』岩波書店 1994.6.6 第1刷発行

小暮陽三著 『物理のしくみ』日本実業出版社 1994.10.15第8刷発行

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