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やさしい物理講座v27「『作用と反作用』、これが無重力の宇宙空間で移動することができる原理」

我々は日常生活に於いて、地球の重力の影響を受けている。地球の外に目を向けると「月」の万有引力の影響も受けている。「月」も「地球」の万有引力の影響を受けている。そして、太陽系で影響力の大きい恒星は「太陽」である。それ以外にも水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星(準惑星)こうなると、多数の天体が万有引力を及ぼしあう多体問題である。2体問題はケプラーの法則で導くことができるが、3体以上の問題の難しさは以前言及した。

やさしい物理講座v25「数学者も解けない物理学における三体問題と摂動の解(怪)」|tsukasa_tamura|note

今回はこれ程の難解な問題を解析しながら、正確に宇宙にロケットを打ち上げる宇宙開発技術者・研究者に浅学菲才の吾輩が敬意を払い記事とするものである。

             2021.12.8
             さいたま市桜区
             理論物理研究者 田村 司

はじめに

多数の天体が万有引力を及ぼしあう多体問題のない無重力状態の空間に置かれたらどうして、空間を移動できるであろうか。この様な、状態から目的地に移動するにはどうすればようであろうか。

思考実験


100Kgの質量の人Aさんが10Kgの質量の荷物Bを持って宇宙空間に漂っている。そこで、その10㎏の荷物を秒速10m/sで放り投げたらどの様な現象が起きるであろうか。
ここで、最初に役立つ法則は「作用反作用の法則(運動の第3法則)」の考え方である。 Aさんと荷物Bには作用・反作用で同じ力Fが働く。
Aさんに働く力を「+F」とすると、荷物Bには反対の力「ーF」が働く。方向が逆方向になる。 「+F]+「ーF」=0 運動量保存の法則(二つ以上の物体が外力を受けずに内力だけを及ぼしあうとき、それらの物体の運動量の総和は一定に保たれる)
次に考えなければいけないことは、運動の法則(運動の第2法則)である。
物体に力が働くと、力の方向に加速度を生じ、加速度の大きさは物体にはたらく力の大きさに比例し、物体の質量に反比例する。これを解説すると、物体に力(作用Fと反作用ーF)が働くと、力の方向(+ー)に加速度を生じ、加速度の大きさは物体にはたらく力の大きさ(F)に比例(今回は両者変わらず)し、物体の質量に反比例(質量の重い方のAはBの1/10となる)する。10㎏の荷物Bは秒速10m/sで離れていくが、100㎏のAさんは秒速1m/sで離れていくのである。
次に働くのが、慣性の法則(運動の第1法則)である。
外部から力がはたらかない限り荷物Bは秒速10m/s、100㎏のAさんは秒速1m/sのまま離れていく。今回のロケットの推進原理は、100㎏のAさんをロケットと見立て、荷物Bをロケット燃焼噴射と置き換えて考えると分かり易い。

ロケットの推進原理


ロケットは人工衛星や惑星探査機を積んで、宇宙空間まで運ぶ。
エンジンの中で燃料を燃やし、ガスを噴き出だす反動で飛ぶことがでる。ものが燃えるには酸素が必要ですが、宇宙には酸素がない。。そのため、エンジンに燃料と酸素を一緒に積んでいる。

作用反作用の法則(運動の第3法則)
運動の法則(運動の第2法則)
慣性の法則(運動の第1法則)

これらの法則を図解したのが次の図である。
ロケットが進む原理とは、簡単にいうと、物体(質量)を打ち出し、その反動で進むという原理である。。

http://www.jiyuken.dicis.net/petbottlerocket/howrocketsfly.html
ロケットが飛ぶ原理

惑星の重力の利用


燃料を使わず、惑星の重力を利用して加速・減速する方法として、スイングバイというものがある。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』宇宙力学

スイングバイ(日: かすめ飛行: swing-by)とは、天体の運動と万有引力(以下重力とする)を利用し、宇宙機の運動ベクトルを変更する技術。天体重力推進: gravity assist)とも呼ばれる。

天体の「固有運動」の後ろ側あるいは前側の近傍通過フライバイ)することにより、天体と宇宙機の相互のあいだで、重力によって運動量と運動エネルギーがやりとりされ、それぞれの運動ベクトルが通過前と通過後で変化する。

スラスタ(ロケットエンジン)によるロケットエンジンの推進剤の噴射による加減速と違い、推進剤の消費が無い。そのことから、内惑星や外惑星、さらには太陽系外へといった、地球軌道外の目的軌道へ宇宙探査機などを送り出すためによく使われる。



慣性の法則(運動の第1法則)とは

物体にはそのときの運動状態を保とうとする性質があると考えられている。物体は外部から力がはたらかない限りそのままの運動状態を続けるということです。動いている物体はいつまでも等速直線運動を続けるし、
静止している物体は静止したままの状態を続けるということです。これを慣性の法則、又は運動の第1法則という。この性質を「慣性」という。

運動の法則(運動の第2法則)とは

物体に力が働くと、力の方向に加速度を生じ、加速度の大きさは物体にはたらく力の大きさに比例し、物体の質量に反比例する。これを運動の法則、又は運動の第2法則という。
物体の質量を、物体にはたらく力を、生じる加速度をαとすれば
α∝F/m、 α=k・F/mと表される(kは比例定数)。

作用反作用の法則(運動の第3法則)とは

力がはたらくとき、1つの物体にはたらくのではなく、必ず2つの物体間で互いに及ぼします。2つの力の一方を作用、もう一方を反作用といいます。

一般に、物体Aから物体Bに力をはたらかせる、同時に物体Bから物体Aに、同じ作用線上で、大きさが同じで、向きが反対の、
力がはたらく
。これを「作用反作用の法則」といいます。運動の第3法則という。

My  Opinion.

正確な軌道計算で地球に帰還させる技術力には改めて感心している次第である。宇宙開発技術者・研究者には改めて敬意を表します。
さいたま市青少年宇宙科学館 (city.saitama.jp)に以前、孫と一緒に見学に行った。機会があったら、皆様にも、見学をお勧めします。

参考文献・参考資料


やさしい物理講座v9「日常生活に見る慣性力(見かけの力)と転向力(コリオリ力)が作り出す台風の渦巻き」|tsukasa_tamura|note

・『量子コンピューター』 ニュートンプレス2018.5.7発行 
p30~31引用「 量子ビットの例
 1、光子の偏光、2、超電導回路、3、イオンのエネルギー状態(準位)、4、電子のスピン(量子ドット) 5、原子核のスピン、6物質の「トポロジー」の性質利用」

・宮崎 誠一著 『電子回路が良くわかる本』秀和システム 2011.1.1 第1版第1刷
p32文章引用「 電波も光と同じ電磁波ですから速度も同じです。しかしこれは波(波動)として伝わるのであって、電子自体が移動する速さではありません。・・・パイプに水が詰まっているとき、その一端から水を押し込むとパイプの他端から直ちに水が飛び出します。この飛び出した水はもともとパイプに入った水が押し出されたものであって、一端から入った水が移動して他端に到着したものではありません。電気もこれと同じことです。」p198「電磁誘導とは、コイルに電流を流すと、コイルに電流が流れている間、電磁石となり逆にコイルに磁石を近づけるとコイルに電流が流れるという現象」、

・相良岩男著 『電波の本』日刊工業新聞社 2016.2.22 第二版1刷
p30文章引用「1834年レンツは何らかの原因で誘導電流が流れると、誘導電流を妨げる方向に誘起機電力を生じるという「レンツの法則」を発表した。」
p32「・・・まず空間に磁界電界を発生させ(これが誘導電界)この電界によってループ状の変位電流が発生する。次に変位電流を打ち消す方向に新しい電界ループ状に発生していくといことが連鎖的に起こりながら伝播していく。

・円山重直著 『光エネルギー工学』養賢堂 2004.4.30 第1刷発行 p9

・竹内薫著 『量子力学』講談社 2003.6.1 第五刷発行
p29円偏光、偏光フィルターの説明  p154~166
p165 スピーン測定器 p167「情報が伝わっているわけではなく、絡み合った状態というのは、そもそも、空間を超えて絡み合っているわけで、左の電子から右の電子に情報が伝わったわけではない。ある意味で、量子力学というのは最初から共時性を含んだ理論とみることができる。

・コリン・ブルース著 和田純夫訳『量子力学の解釈問題』講談社 2008.5.20 第1刷発行


・根本香絵・池谷瑠絵著 『ようこそ量子』 丸善 2006.12.15 発行
 p176文章抜粋「最大にエンタングルした状態にある2量子ビットについて、・一方の量子ビットが測定されると他方はそれに応じた状態に変化している。・一方の量子ビットの状態は、他方の量子ビットの状態と無関係に変化することはない。・情報が高速を超えて移動することはなく、相対論に抵触しない。

・阿部龍蔵著 『 光と電磁場』放送大学 1992.3.20 第1刷 p37 レーザー、干渉性(コヒーレント)

・阿部龍蔵著 『物理の世界』 放送大学 1994.3.20 第1刷

・阿部龍蔵・川村 清 著 『量子力学』放送大学 1997.3.20 改訂版1刷

・桑原守二・三木茂監修 『電気・電子のしくみ』 ナツメ社 1997.7.20

・小暮陽三著 『物理のしくみ』日本実業出版 1994.10.15 8刷発行
p116~117、電気と磁気のからみあい 
p118~119 マックスウェルの方程式
p120~121 ヘルツの実験

・吉弘芳郎著 『分子の見方・考え方』オーム社 1974.5.20 第1版1刷 p57

・原康夫著 『量子力学』岩波書店 1994.6.6 第1刷発行 p4~5

・小沼通二著 『現代物理学』 放送大学 1997.3.20 改訂版1刷  
p107 くりこみ理論

・竹内薫著 『超ひも理論』 講談社 2007.12.1 第1刷発行

・竹内了著 『時間とはなにか』 講談社 2008.10.30 第2刷発行 p104 ミュー粒子

・山崎耕造著 『宇宙線と素粒子の本』 日刊工業新聞社 2018.1.18 初版一刷発行 p84~85 サイクロン運動 p146 タキオン(光の速度より速い粒子)p148超ひも理論と幕宇宙 p150~151 暗黒物質 p151 暗黒エネルギー

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