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レール

時代に敷かれたレールの上を、親が用意してくれたトロッコに乗って、気が付けば大人になりました。いつからか、トロッコがガタガタ大きく揺れながら進むようになり、よく見たらレールがないことに気がつきました。

いつからなくなったのか

周りを見渡せば、同じようにトロッコに揺られてる人たちが多いことに気が付きました。レールを失ってトロッコに揺られる人たちの顔にはどこか迷いの表情があるように見えました。

どこに向かってるのだろうか
このまま行ったら、どこにぶつかるのだろうか

行き先の見えないトロッコに揺られていたある日、活版印刷で刷られた紙が飛んできました。

その紙に書かれていたのは、この世界の解説書でした。人と社会の関係を、歴史を通して解説してくれている啓蒙書でした。周りを見渡せば、同じようにトロッコに揺られてる人たちが啓蒙書を読み漁っていることに気がつきました。みんな夢中で呼んでいるようでした。

次々に飛んでくる新しい啓蒙書に目を通せば通すほど、自分の目からウロコが剥がれて、輝きが増してきていることを実感してきました。次第に、わたしは揺れるトロッコに耐え切れなくなり、とうとう乗り捨てて立ち止まり、この世界の解説書を貪るように読み漁りました。

ここからは自分の足で歩かなければならなくなりました。にもかかわらず、心は晴れやかな気持ちでした。

どこに向かえば良いか分かりませんでした。何が起こるか分かりませんでした。にもかかわらず、不安を感じるよりも、むしろ、不確定な未来に向かって自分の足で歩けることの喜びが上回っていました。

想像を超える苦しさを味わうかもしれない。思ったより何も変わらないかもしれない。どんな世界がこの先に見えてくるか分からない。にもかかわらず、同じように歩き始めた人たちの姿を見るたびに、何も怖くはありませんでした。

2021年。新しいスタートを踏み出します。

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