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makeネイティブの時代

Mine Kafonという地雷除去のアイデアの話をfeely.jpで読んだ。風で転がる玉を地雷原に放し、地雷を爆発させるというアイデアで、その風景は「西部劇に出てきた転がる草の玉(タンブルウィード)」というとイメージできるかもしれない。竹などで組まれたアレが、風におされて地雷原を転がり、微塵になるまでに二、三個の地雷を踏んでいく。

もっともこの球状のものは改善が必要ということで、だからこそ2012年のKickStarterで姿を見せたらしい。そこでのクラウドファンディングの成功を受けて、その後のMine Kafon 2014は同じ足を筒状につけた、もう少しまっすぐ走りそうな姿になったみたいだ。

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以前に海洋を漂うプラスチックゴミを、ただ腕を広げて海流で運ばれてくるのを持つという回収アイデアをirorio.jp等で読んだ。現在、THE OCEAN CLEANUPプロジェクトとなったこれは、フェーズIIとしてプロトタイプ段階にあるようだ。確実性ではなく蓋然性で練られ、化石エネルギーや原子力エネルギーではなく自然の力で作動し、とにかく低コストで「一部地域の全部」ではなく「広い地域のできるだけ多数」を処理してしまうという点は、コンセプトの似た共通するところかもしれない。

「makeの時代」というのは、ソフトウェアでのオープンソースの時代のように、採算ラインに乗らないアイデアが次々に試されていく時代になってきているようだ。採算が合わない代わりに必要な投資やコストが圧倒的に小さく、個人や小規模団体が海洋のゴミ除去や地雷撤去にもチャレンジする。多くのアイデアが実地で試され、一足飛びと一工夫の繰返しで現実の問題解決を飛躍させる。

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OCEAN CLEANUPの発案者が17歳の高校生と聞けば、教育用カードゲームElementoを開発して起業した、NHKが「デジタルネイティブ」で紹介した13歳を思い出す。デジタルネイティブの登場と、デジタルイミグラントの時代と重なって共存している「デジタルネイティブの時代」。

そしてデジタルとソーシャルに加え、クラウドファンディングやfab、そしてTEDのようなアイデア・プレゼンテーションの場などを当たり前のものと考えられる「makeの時代」ネイティブの登場。でもmakeネイティブの時代も、デジタルネイティブの時代と同様に、非makeネイティブの時代(makeイミグラントの時代)と重なって現れて、その重ね合わせの上に次の社会ができていくんだろう。

例えばmakeネイティブの時代に地雷は8割の地雷がMine Kafonで取り除かれたとして、それを10割にして安全な地にするには、従来通りのマインスイーパーを走らせることになるのだろう。それでもマインスイーパーの損耗をはるかに抑えてずっと広い地雷原がただの平原に戻れるかもしれない。それはオープンソースとエンタープライズの幸福なマリアージュにも似た、makeとナショナルプロジェクトの幸福なマリアージュだ。

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...Mine Kafonの記事を読んだところから、思いつくまま思いの向くまま、あまり確認もせずにここまで勢いだけで書いてきた。2015年の初めということで明るい話を取り上げたかった。今年が誰にとってもよい年になりますように。

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写真はKristina D.C. Hoeppnerによる「Deminer」。ライセンスはCreative Commonsのby-sa。もし「Creative Commonsって何?」と思ってもらえたなら、こちらのノートをお勧めします。

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