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コンテンツ「パクり」を考える二つの前提

コンテンツの全文転載、いわゆる「パクり」については、繰り返しネット上で議論になっています。議論自体は歓迎しますが、二つだけ前提として忘れないで欲しいことがあります。

■著作権法を軽んじない

「法律違反だからいけない」という意見があるとすれば、それは幼稚な意見ではなく、大人の意見です。第一に、著作憲法が軽視されれば、著作権者はとても弱い立場になり不幸になります。第二に、著作権法を軽視してあなたがアクションをしたなら、あなたが著作権の下で裁かれます。

著作権がどんなだといいか、どうなって欲しいか、という議論はとてもよいと思います。「法律違反だからいけない」が思考停止に思えたら、まず「法律はなぜそれを禁じてるのかな」からスタートしてみてください。

■著作権者が複製を歓迎しているのか考える

しばしば出てくる肯定理由が「著作権者の利益になることもある」です。しかし「なることもある」であって「ならないこともある」のです。そしてそれを歓迎するか否か、著作権者一人ひとりの意思は、著作物一つ一つにコピーライトとして表示されています。

複製を歓迎するものは、そのようなライセンスが表示されています。例えば、出版物でもクリエイティブ・コモンズ下で公開されているものすらあります。それ以外のコピーライトを掲げた著作物の複製は、「宣伝になる」などの理由を掲げても、よく言って善意の押し売りになります。「ためになるはず」という不確かな足場から始めるより、著作権者の意思を汲むか、著作物利用者の立場で考えるか、どちらかから開始したほうがよほど確かな議論ができると思います。

■さいごに

では、もしあなたが「著作権者自身」だったら?あなたが自分の著作物の複製を歓迎するなら、まずそのようなコピーライトを表示してください。そのうえで、自身の経験や実効を語ってもらえれば、私は得がたい意見として傾聴します。きっと私だけでなく、みんなそうするでしょう。

複製を禁止する旨をコピーライト表示しながら、「私は複製歓迎だよ」と言うのは、多くの人を混乱させるし、それで著作権違反する人、訴えられる人を生む行為に思われます。

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ヘッダー画像はHoria Varlanによる「Large copyright graffiti sign on cream colored wall」。ライセンスはCreative Commonsのby。もし「Creative Commonsって何?」と思ってもらえたなら、こちらのノートをお勧めします。

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