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よしなしごと

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日常に思う「由無し事」だったり働き方を考える「善しな仕事」だったり、諸々のよしなしごとを綴ります。 (マガジン「雑記帳」より改題)
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#読書感想文

VUCA×サービス化の時代のマネジメント「人が増えても速くならない ~変化を抱擁せよ~」

「ソフトウェア産業の生んだ知見をふんだんに活かしたマネジメント術」。本書の内容を簡単に言えば、そんな感じになるだろう。 多くの企業は、まずソフトウェア開発を手掛け、最適な開発方法を模索して、アジャイルを取り入れる。でも逆の筋道を辿った人もいる。本書の著者、倉貫さんは、アジャイルというソフトウェア開発手法にふれ、それを実践するチームを模索し、それがいつのまにか会社として独立し自身が経営するに至った人だ。その倉貫さんが、12年のソフトウェア開発に学び、12年の経営で磨いた独自の

自己犠牲の相対化、百田尚樹「フォルトゥナの瞳」

「人間は朝起きてから寝るまでの間に九千回も選択をしている」。そんな話を倉貫義人の新刊「ザッソウ」で読んで、ソースを知りたくて検索していたら、長く積ん読にしていた百田直樹「フォルトゥナの瞳」に行き当たった。 Googleで検索すると、この本が出版された2015年12月以降には多数言及されているこの数字が、それ以前にはわずかしか見つからなかった。どこかに一次情報があるのだろうが、広まったのはこの本を二次情報としての孫引きとしてなのかなと思う。英語圏情報を引っ掛けるために「dec

再読の楽しみ、川端裕人「リスクテイカー」

もう何度目か分からないけど、川端裕人の「リスクテイカー」を再読了した。ファンドの隣接業界に転職したいまだとなにか勉強になるかもと思ったけど、その意味では前に学んだことの再確認しかなかった。でもそれとは別に、新しく気づいたディテールが二つあった。 読んだ人にしか分からない程度に書くと、今回気づいたディテールの一つは、ケンジ達3人の最後の買い物。若くして頂点に至った3人を日常に帰還させ、かつある種の痛快さを演出するエピソードぐらいの理解でいた。今回、これはフライ・トゥ・