長傘

朝起きると、私は日課としてその日の天気をスマホで調べる。
今日の予報は曇りのち雨だった。
雨は夕方頃から降る様だった。
家を出る直前にその予報のことを思い出し、私は折り畳み傘と長傘のどちらを持っていくか瞬時に考え、選ばれたのは長傘だった。
しかし、私が家を出た時間帯、外は今夜雨が降るなんて大嘘かの様な日差しが差していた。
辺りを見渡しても傘を持っている人など一切いない。
あれ、もしかして間違えた?と内心思ったが、
いや、そんなことはない。きっと急に天候が変わり、夜は雨が降るのだろう。そう言い聞かせた。
しかし、私の予想というのかもはや期待とは裏腹に、その日は全く雨が降らなかった。
そして帰り道でも私みたいに長傘を持って歩いている人には遭遇しなかった。
そんな状況に若干の恥ずかしさを覚えながら、私はなぜ今朝瞬時に折り畳み傘ではなく、長傘をもつ選択をとったのか考えてみた。

その理由としては、週末にスコールの様な唐突な雨に出くわす場面があり、その際に折り畳み傘を持っていたことで、多くの人が雨宿りしていた中、私は雨に行動を制限されず自由に移動できたことが挙げられる。このエピソードにより、私は傘を持っていると便利だと強く思った。
しかし、このエピソードだけなら折り畳み傘で事足りる。実はこの時、雨が大変強く大粒だったこともあり、折り畳み傘を持っていたのは良かったが、その傘の面積の小ささと棒の短さに、私は心もとなさも同時に強く感じていたのだ。これにより、私は折り畳み傘より長傘を持ってくれば良かったと思ったのであった。

だからこそ、刻一刻を争う朝の時間に私は長傘を選択したのだった。
そう考えると、飛躍しすぎかもしれないが、人は自分の直前の成功体験を基にして行動しがちな単純な生き物だと感じた。
反対に今度は、雨が全く降らなかった日に長傘を持ち歩いた恥ずかしい想いから、長傘を持っていくべき悪天候の日に私は傘を持っていかない選択をとるかもしれないなどと思ってしまった。

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