誘う側と誘われる側
誘う側が居るから、誘われる側が存在する。
そして私は常に誘う側である。
待てど暮らせど誰も誘ってくれない。
だから私は誘う側なのである。
一時期自分から誘ってばかりで、誰も誘ってくれない事実に気が付き、ひどく落ち込んだことがある。
きっと誰も私と会いたいと思ってくれていない、そう思ったからだ。
悲観的になり、しばらく誰も誘わずに一人で過ごしてみた。
でもその間も、誰も私を誘ってくれない。
元々誰かと過ごすことが好きな私は、寂しさに耐えられず、結局誘う人間に戻った。
「久しぶり~ご飯行かない~?」とLINEを送る。
そして私は開き直った。
別に誘われなくたっていい。
だって「行きたい!〇日、〇日なら空いてる!」などの返信が来て、
皆会ってくれるからだ。嫌われてはいない様だ。
そこから深く考えなくなった。
そんな私も月日が経ち社会人になり、
驚くことに誘われる機会が増えてきた。
学生の頃は誘う専門家だったのに。
初めて誘われた時は驚いた。
もはや違和感を覚えた。
自分がいかに誘われ慣れていないかがよく分かった。
人を誘えず、誘われる側に徹する人から
「断られるのが怖くて誘えない」という意見を聞いたことがある。
私はこれに全く共感できない。
お互い知っている仲であるなら、断られたとしてもタイミングが合わなかっただけだと思え、ゼロダメージだからだ。
「分かったー!また誘うね!」で終わりである。
そんな誘う専門家でも3回断られたらさすがに身を引く。
会いたくないんだろうなと察するからだ。
話を戻すと、最近念願の誘われる側になりつつあり、
嬉しいはずがあまり嬉しくないのだ。
どうやら私は誘う側として長く生き過ぎた様で、
自分が好きなタイミングで誘い、自分がしたいことや行きたいところを提案し、そこに付き合ってくれるような関係を好んでしまう様だ。
だから、最近せっかく誘って貰えるようになったのに、内心
「なんか気分じゃないな~」と思ってしまうことがある。
最低だ。そして大変わがままなのも重々承知している。
もちろんお誘いは断らないが、
自分が会いたいと思い、この人とここに行きたいと思って誘う方が当日までずっと楽しみだし、ずっと乗り気でいられる。
そんな自分の一面を知り、私は生粋の誘う側なんだという結論にたどり着いた。
誘われる側に憧れた時代もあったが、私は誘う側である方が居心地が良い。
だからこそ誘われる側に徹してくれ、私が誘った時に必ず来てくれる友達にはとても感謝だ。みんなありがとう。
そしてこれからも誘うから、誘われるのを待っててね。