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【SD】納涼2024年サンディエゴパドレストレードデッドライン総括

早いものでこの納涼トレード期限noteを書き始めて今年で4年目だが、毎年話のマクラに補強を象徴する画像を添付している。

先発投手と外野手が必要だったのに二塁手アダム・フレイジャー、リリーフのダニエル・ハドソン、外野控えジェイス・マリスニックとかを取ってきて、トレード期限数時間後にテキサスのベッドタウンカウボーイことクリス・パダックが鼠径部を痛めため先発不足をジェイク・アリエータビンス・ベラスケスら余りものFAで埋め合わせるも当然上手くいかず失速した2021年

目白志むらのかき氷、舌触りの軽い氷に添えられた岡山産の白桃の上品な甘みに練乳のクリーミーさがマッチしてタマランチ会長!(PARIS2024五輪時事ネタ)

フアン・ソト、ジョシュ・ヘイダー、ジョシュ・ベル、ブランドン・ドルーリー、そしてなぜかブレント・ルッカーを放出しキャム・ギャラガーを獲得する世紀の大補強を敢行しNLCSまで辿り着いた2022年

チェ・ジマンギャレット・クーパーら長打力がある一塁手/外野手、元ロイヤルズ抑えのスコット・バーロウなど小粒ながら要所を抑える補強を行うも小粒ゆえにゲームチェンジャーにはなれず9月まで勝率5割に至らずプレーオフを逃した2023年

そして2024年夏。57勝51敗、NL西地区首位ドジャースに6.5ゲーム差、ワイルドカード薄氷の2位でトレード期限を迎えたパドレスの補強を象徴する今年の一枚はこれだ。

もはや夏の風物詩でも食べ物でもない。先発補強は心もとない一方で、試合後半を任せる投手が増えた。

①レイズからジェイソン・アダムを獲得し3プロスペクト放出

レイズからパドレスへ移籍
Jason Adam(ジェイソン・アダム)

右投右打 32歳11か月
主な役割:セットアッパー
2024年成績
MLB: 47G 48.0IP/2.44ERA/3.42xERA/27.8K%/8.7BB%/88xFIP-
2024年年俸: $2.7MM
FA: 2027年

パドレスからレイズへ移籍
Dylan Lesko(ディラン・レスコ)
右投右打 20歳10ヶ月
2022年ドラフト1巡指名(全体15位)
主な守備位置:先発
2024年成績
High-A: 16G (16 Game Start) 69.2IP/6.46ERA/6.02FIP/5.35xFIP/25.0K%/16.5BB%
Baseball America 2024年Midseasonパドレスプロスペクトランク5位
BA Grade/Risk: 55/Extreme


Homer Bush Jr. (ホーマー・ブッシュ・ジュニア)
右投右打 22歳9ヶ月
2023年ドラフト4巡指名(全体128位)
主な守備位置:中堅手
2024年成績
AA: 86G .272/.362/.347/4HR/43SB 110wRC+
Baseball America 2024年Midseasonパドレスプロスペクトランク10位
BA Grade/Risk: 45/High


J. D. Gonzalez (J. D. ゴンザレス)

右投左打 18歳9ヶ月
2023年ドラフト3巡指名(全体96位)
主な守備位置:捕手
2024年成績
Low-A: 48G .205/.322/.230/0HR/0SB 61wRC+
Baseball America 2024年Midseasonパドレスプロスペクトランク7位
BA Grade/Risk: 50/Extreme


②マーリンズからタナー・スコットとブライアン・ホーイングを獲得し4プロスペクト放出

マーリンズからパドレスへ移籍
Tanner Scott(タナー・スコット)

左投右打 30歳0か月
期待される役割:セットアッパーか抑え
2024年成績
MLB: 44G (0GS) 45.2IP/1.18ERA/2.93xERA/29.1K%/14.8BB%/93xFIP-
2024年年俸: $5.7MM
FA: 2025年

Bryan Hoeing(ブライアン・ホーイング)
右投右打 27歳9か月
期待される役割:ロングリリーフ、スポット先発
2024年成績
MLB: 16G (2GS) 30.0IP/2.70ERA/5.11xERA/20.2K%/7.3BB%/86xFIP-
2024年年俸: $0.75MM
FA: 2029年(見込み)

パドレスからマーリンズへ移籍
Robby Snelling(ロビー・スネリング)
左投右打 20歳7ヶ月
2022年 ドラフト戦力均衡ラウンドA(全体39位)
期待される役割: 先発
2024年成績
AA: 16G (16GS) 73.1IP/6.01ERA/5.56FIP/4.39xFIP/20.1K%/10.0BB%
Baseball America 2024年Midseasonパドレスプロスペクトランク3位
BA Grade/Risk: 55/High


Adam Mazur(アダム・メイザー)
右投右打 23歳3ヶ月
2022年ドラフト2巡指名(全体53位)
期待される役割:先発
2024年成績
AA: 6G (6GS) 32.1IP/1.95ERA/2.36FIP/3.21xFIP/26.7K%/4.2BB%
AAA: 5G (5GS) 23.0IP/7.83ERA/5.00FIP/4.84xFIP/22.2K%/6.1BB%
MLB: 8G (8GS) 33.2IP/7.49ERA/5.49xERA/13.9K%/13.3BB%/152xFIP-
Baseball America 2024年Midseasonパドレスプロスペクトランク4位
BA Grade/Risk: 50/High


Graham Pauley (グラハム・ポーリー)

右投左打 23歳10ヶ月
2022年ドラフト13巡指名(全体390位)
主な守備位置:三塁、二塁
2024年成績
AAA: 70G .228/.342/.390/8HR/2SB 83wRC+
MLB: 13G .125/.125/.313/2HR/0SB 18wRC+
Baseball America 2024年Midseasonパドレスプロスペクトランク6位
BA Grade/Risk: 50/High

Jay Beshears (ジェイ・ベシアーズ)
右投左打 22歳2ヶ月
2023年ドラフト6巡指名(全体191位)
主な守備位置:三塁、遊撃
2024年成績
Low-A: 28G .320/.489/.454/2HR/1SB 164wRC+
High-A: 57G .235/.308/.343/4HR/0SB 87wRC+
Baseball America 2024年Midseasonパドレスプロスペクトランク23位
BA Grade/Risk: 40/High


③ヤンキースにエンジェル・デロサントスとLow-A投手を放出しAAA外野手獲得

ヤンキースからパドレスへ移籍
右投右打 27歳4ヶ月
2018年ドラフト5巡指名(全体157位)
主な守備位置:中堅
2024年成績
AAA: 72G .295/.405/.382/0HR/34SB 114wRC+
Baseball America 2024年Midseasonヤンキースプロスペクトランク外

パドレスからヤンキースへ移籍
Enyel De Los Santos(エンジェル・デロサントス)

右投右打 28歳7か月
期待される役割:中継ぎ
2024年成績
MLB: 44G (0GS) 40.1IP/4.46ERA/3.87xERA/28.2K%/7.6BB%/96xFIP-
2024年年俸: $1.16MM
FA: 2027年

Thomas Balboni Jr.(トーマス・バルボーニ・ジュニア)
右投左打 24歳0か月
2022年ドラフト22巡指名(全体450位)
期待される役割:リリーフ
2024年成績
Low-A: 30G (0GS) 34.1IP/4.46ERA/3.08FIP/3.45xFIP/38.2K%/12.7BB%
Baseball America 2024年Midseasonパドレスプロスペクトランク外


④パイレーツからマーティン・ペレスと$2.5MMを獲得しドミニカ夏季リーグ左腕を放出

パイレーツからパドレスへ移籍
Martín Pérez(マーティン・ペレス)

左投左打 33歳3か月
期待される役割:スポット先発
2024年成績
MLB: 16G (16GS) 83.0IP/5.20ERA/5.71xERA/16.9K%/8.6BB%/115xFIP-
2024年年俸: $8.0MM
FA: 2025年

パドレスからパイレーツへ移籍
Ronaldys Jimenez(ロナルディス・ヒメネス)

左投左打 18歳8か月
期待される役割:先発
2024年成績
DOSL: 3G (3GS) 6.0IP/1.50ERA/3.28FIP/3.87xFIP/33.3K%/8.3BB%
Baseball America 2024年Midseasonパドレスプロスペクトランク外

総評

まとめると今年低迷したトッププロスペクト群を一斉放出する代わりに2年2カ月と2カ月保有可能なベテランエリートリリーフ2人とそれなりのロングリリーフを獲り(①と②)、ロースターとチーム年俸に余裕を持たせるため四球と大差ないペースで本塁打を献上する中継ぎを処分(③)し、最大の懸念事項である先発ローテの心許なさは解消されないのでタダ同然な斜陽のベテランスターターに手を出した(④)というのが今年のトレード期限前の全体的な動きである。

放出したプロスペクト評価については今回、MLB Pipelineの代わりにシーズン中のアップデートが行われているBaseball Americaを参照した。

①と②のトレードはパドレスの払い過ぎという評価を多く見かける。実際その通りだろう。Baseball Trade Valueでもパドレス側が放出した選手が良すぎて評価モデルが却下するという判定を下していた。パドレス側がもらい過ぎて却下されるトレードが多かったので珍しいことである。

ただシーズン途中の評価でMLBトップ100プロスペクトに挙げられた選手は放出していない。そもそもパドレスに限らずどの球団もトップ100は放出していない。現在どの媒体でもValueが50を超える選手はレスコのみだろう。

レスコは4シームの速球のコントロールが全く覚束ないまま得意のチェンジアップに次ぐブレーキングボール習得を試しているためか一向に制球が改善しない。だがレスコは元々制球が悪い投手ではなかった。ドラフト2か月前の2022年4月にトミージョン手術を受けており、実質的に今年がフルシーズン1年目である。TJ手術を受けてから取り戻すまでもっとも時間を要するものは球速や変化球のキレよりコマンドだという話は経験者からよく聞かれる。上手くいけばフォームの調整などを用いずとも来年以降改善する可能性がある。

スネリングは評者により意見が大きく分かれる投手で、フォームのぎこちなさとカーブ以外の変化球の乏しさがしばしば指摘される。Low-AからAAで1.82ERAと見事な成績でBA最優秀マイナー投手と称された昨年から4シームの球速が95mphから90-92mph程度と大きく落ち込んでいる。かつてのパドレス投手プロスペクトだったマッケンジー・ゴアも似た様な不調に苦しんだ時期があったが、プロ入りから年月が浅い高卒投手には珍しくない。レイズとマーリンズはそれぞれを底値で買い素質に賭けたというところだろうか。なおブレイク・スネル移籍後にX上で出番が少なくなっていたスネママがスネリングの昇格で復活する可能性もあったが夢で終わってしまったザマス。

残りのプロスペクトのうちメイザーとポーリーは台所事情により今年メジャーデビューを果たしているが、共に時期尚早だったようでパッとした成績を残せてはおらず、降格後のAAAでも苦しんでいた。メイザーは左打者に投げる球種を開発できれば先発ローテの後方に残ることができるかもしれない。ポーリーはメジャーレベルのブレーキングボールに全く手が出ない事が早々に露呈してしまっている。三塁だけでなく一塁、二塁、左翼などにも挑戦しているが、特別守備が上手くはないのでレギュラーの座獲得には打力上昇が必須だろう。

ブッシュJr.とポーリーと同じデューク大学出身のべシアーズの見立ては控え野手が濃厚だ。逆にヤンキースから獲得したロックリッジはブッシュJr.2年後といった具合か。ブッシュは親子二代でパドレスにドラフトされながらも共にサンディエゴでのメジャーデビューが叶わなかった親子というSarah Langsに調べてほしいレア記録を残した。ちなみにホーマー・ブッシュ父がメジャーデビューを果たした地はニューヨーク・ヤンキース。1998年パドレスが獲得した伊良部秀輝がヤンキースじゃないと嫌だとゴネたとばっちりで発生したトレードで放出された選手の一員だった。

ゴンザレスのLow-Aデビューは早過ぎに映り、今年はコロナ禍以前まで存在していたショートシーズンシングルAが丁度良かっただろう。バルボーニやましてヒメネスはスクラッチくじといったところだろう。

デロサントスは2.45HR/9こそ多いがK%もBB%も良かった。フライボールがフィールド内に留まるかフェンスを越えるかという結果に対して、投手は影響力を持たないとされている。今季MLBのフライボールのうちHRになった打球の割合HR/FBは11.6%だが、今季デロサントスは19.6%と非常に高い。だが2022年は6.5%、2023年は5.9%とリーグ平均を下回っていたので今年は単に運がなかったようにも映る。ただFB%は50%を超えていてキャリアハイだった。これは4シームが例年より真ん中に集まりすぎたことが影響している可能性が考えられる。また獲得時点での懸念通り左打者への与四球(12.3BB%)が目立った。

パドレスの新戦力

A.J.プレラーGMのコメントによると、当初は先発投手の補強を模索していたが話がまとまらなかったのでリリーフに舵を切ったとのことである。今年のトレードデッドラインでは即戦力投手の価値が高騰したので当然その煽りも受けたが、想定したより手持ちのプロスペクトは市場で高く評価されなかったということだろう。もしレスコやスネリングが前年の見通し通り育成が順調に進んでいたならば名の知れた先発投手が獲得できていたかもしれない。

今年のパドレスのリリーフ投手成績は総じて芳しくないとのことだが、Fangraphs WARはナショナルリーグ15球団中6位とギリギリとはいえワイルドカード圏内でそこまで悪くもない。

Source: Fangraphs (7/30時点)

だがその中身を覗いてみるとロベルト・スアレス、ジェレマイア・エストラーダ、アドリアン・モレホンらが名を連ねるカンバシーズエンジェル・デロサントスワンディ・ペラルタらが属するカンバシクナイーズの差が大きかった。

Source: Fangraphs (7/30時点)リリーフ5イニング以上

マイク・シルト監督は勝ち試合になるとエリートリリーフを多用する。この点はカーディナルス監督時代からも指摘はされていた。9回4点リードでもスアレスがマウンドに上がることはザラだ。逆に負け試合での調整目的の登板はほぼない。登板間隔が開かないからだ。なぜこの様な偏重した起用を行うかシルト監督本人の意図は確認できていないが、少なくともパドレスにおいては多少疲れていてもカンバシーズの方が健康なカンバシクナイーズよりも信頼を置けるという思惑だろう。

そんな状況下でのカンバシーズ筆頭候補のアダム獲得である。実はアダムがパドレスに所属するのは今回が二度目で、2017年にルーキーリーグで7試合、AAで1試合だけ登板している。相次ぐ故障で2シーズンを棒に振った後のリハビリ的な意味合いだったようで、メジャーデビューは翌年ロイヤルズで、遅れながら才能が開花したシーズンはレイズ初年度の2022年だろう。95mphの4シームにチェンジアップ、スライダー、スイーパーと動きが大きい球種に富み、左打者も苦手にしていない。

マーリンズで抑えだったスコットの球種は高回転の97mph4シームとスライダーのみだが、アダムと同じく対左右打者の成績に大きな差はない。ただ制球は良くなく、BB%は松井祐樹より高い。2022年夏に移籍してきた同じく左の抑えジョシュ・ヘイダーが制球に苦しんでいたことを思い出さなくもないが、今年は今のところ33.2%という圧倒的な空振り率(MLB平均24.8%)で抑えているのでニエブラ投手コーチのてこ入れが無くても済みそうだ。またパドレスのリリーフ投手対左打者fWARはNL15球団中9位(対右4位)だったので弱点の克服にもつながる。ただ今季終了後FAになるので2-3か月のみの所属になる可能性が高い。

ホーイングは94mphのシンカー、スライダー、そして昨年チェンジアップから切り替えたスプリットが主で、低目で勝負する点はスコットと相似している。ロングリリーフだけでなくスポット先発も経験があるが、上半身を前方に放り出す様な投球フォームなので5回を投げ切る前にスタミナが切れそうな印象を受ける。だが序盤にジョニー・ブリトーや担っていた様な役割を任せるにしては十分以上な投手だ。

またパドレス先発投手の試合辺り投球イニング数はNLで5番目に長い。これはシルト監督は先発を引っ張りすぎるというよりは序盤に打ち込まれる試合でもある程度球数を投げさせる方針が影響しているだろう。残り2カ月先発に疲労が生じた場合、ホーイングの様なロングリリーフの仕事場は増えるだろう。

埋まらない空白と広げた空白

今年のパドレストレード期限で気になるのは補強したポジション以上に補強しなかったポジションである。

ひとつ目は右翼を守れる外野手だ。フェルナンド・タティス・ジュニアが大腿骨のストレスリアクションで戦列を離れた6/22以降から7/30まで、デビッド・ペラルタブライス・ジョンソンが代役を務めるパドレス右翼の打撃成績は.206/.250/.294と低迷。wRC+は57でNL中14位と明らかなウィークポイントになっている。AAAで.325/.393/.539/128wRC+と好成績を上げているティルソ・オルネラスを昇格させるにも彼がメジャーでまともに守れそうなポジションは左翼だけだ。タティスは当初の見通しよりも回復が順調で今シーズン中の復帰が見込まれているが、まだ本格的なランニングを伴う練習は行っていないので8月中に戻ってくればラッキーで、おそらく9月初旬だろう。そのためあとひと月はリプレイスメントレベル以下の右翼戦力で戦うことになる。

ふたつ目はやはり先発投手である。ディラン・シース、マイケル・キング、マット・ウォルドロンの3人は安定しているが、昨年後半から先発転向したキングとMLBフルシーズン1年目のウォルドロンは150イニング以上をマイナーでも投げた年がなく疲労が蓄積している可能性がある。現在の先発4番手ランディ・バスケスも同様でかつ6つの球種を操るもチェンジアップなどはコースと落差ともに甘く左打者に有効な球がない。家庭の事情で制限リストに入っているダルビッシュ有の復帰時期は未定で、右ひじ骨棘で負傷者リスト入りしている8月中旬の復帰が見込まれるジョー・マスグローブも今季の成績は5.66ERA/4.30xFIPと冴えなかったのでどの様な調子で戻ってくるかは実戦まで分からない。AAAで先発転向の調整を行っているブリトーも怪我と不調で捗ってはいない。

今回獲得した唯一の先発投手ペレスは16歳の時に当時レンジャースのスカウトだったプレラーが獲得し、ドミニカ共和国ではプレラー自身がトレーニング施設への運転手も務めた旧知の仲だ。ダルビッシュともTEXでチームメイトだった。ちなみにプレラーが2005年から始まるスカウトキャリアで獲得に関わったとされる国際FAのうちキャリア通算9.0fWAR以上を残した選手は2人のみでひとりはペレス、そしてもうひとりは昨年獲得したルーグネッド・オドーアである。

ただパイレーツから夏に獲得した球速が出ないベテランカーブ左腕というと昨年8月に相手打者にとってのボーナスタイムミートボーラーと化していたリッチ・ヒルの記憶がフラッシュバックしてしまう。ただロッキーズ相手のパドレスデビュー登板ではシンカーを減らし6回1失点7奪三振と好投していたのでどうにかこのままごまかしごまかし投げてもらえれば幸運だ。

ギャレット・クロシェブレイク・スネルという一線級とまではいかなくても、ロッキーズの元パドレス投手カル・クアントリルあたりを獲得しても良かったのではないかとは思った。

ちなみに今回の補強を経ても贅沢税計算上のチーム年俸AAV見込みは227MMで、第一閾値の$237Mを下回っている。このままなら来季のドラフトピック降格、追加税率、国際FAボーナスプールなどのペナルティは回避できそうだ。

Source: Fangraphs

球団トッププロスペクトのイーサン・サラスレオダリス・デブリース以外の高位プロスペクトは安値のままほぼ全員放出した。潤沢な予算を前オーナーから得ながら9シーズンのうち2回しかプレーオフ出場を成し遂げていない(うち一度は2020年短縮シーズン)プレラーが保身の為にファームを焼き畑にして戦力を前倒ししたのではないかという見立てもある。ただタティスと新人ジャクソン・メリルを除き主力選手の殆どが30代に差し掛かり勝負期のウィンドウが年々狭くなる中で、来年まで中心戦力にまで成長する可能性が低いプロスペクトを温存する理由はない。シースとルイス・アラエズ補強から数え、現在パドレスのファームランキングはリーグ最下位かそれに近いほど枯渇した。ただそのファームの選手層を最も早く再充填できるGMを任せるには、皮肉にもおそらくA.J.プレラーが適任だろう。


そういえば先発候補がまだ居た。❤️を押すと飛び出すのでご確認いただきたい。




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