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【SD】2023年サンディエゴ・パドレス開幕戦力分析

♪ハァー ダルが居ねえ ジョー(・マスグローブ)も居ねえ
先発それほど揃って無え
ボイトも無え 胸毛も無え ホズマー打ってたゴーロゴロ

昨年に続く今年も吉幾三「おら東京さ行ぐだ」の替え歌が聴こえてきたら、つかみ男印のサンディエゴ・パドレス開幕戦力分析の季節である。今年は筆の走りが良いので早速始めよう。

Q: 2023年のサンディエゴパドレスの予測は?

A: パドレスは、MLB(メジャーリーグベースボール)のチームであり、2023年のシーズンに向けて多くの期待が寄せられています。以下に、2023年のサンディエゴ・パドレスに関する予測をいくつか挙げます。

  1. オフシーズンの補強により、投手陣が強化される パドレスは、2022年のシーズン中に、エース格の投手であるブレイク・スネルをトレードで獲得しました。また、オフシーズンには、投手のマックス・シャーザーやクレイ・バッチャーを獲得するなど、投手陣を強化する取り組みを行いました。これにより、2023年のシーズ

ダメだ。4泊5日の中四国家族旅行で執筆時間が無かったからこっそりChatGPTに書かせてみたがダメだ。スネル獲得は2021年だしシャーザーは獲得してないし、ひいてはクレイ・バッチャーという実在しない選手が現れたので使い物にならない。なので球団創設55年目で最も期待が高まっているサンディエゴパドレスについて今年もわたくしめが人力で執筆することにする。


先発投手

以下成績はFangraphsのZiPS DC2023年予測。☆は今季新加入。

ダルビッシュ有(右)12勝10敗, 3.83ERA,180IP, 9.05K/9
ブレイク・スネル
(左)12勝9敗, 3.61ERA, 152IP, 11.40K/9
ニック・マルティネス
(右) 6勝5敗, 3.80ERA,143IP, 8.39K/9
マイケル・ワカ(右) 7勝7敗, 4.29ERA,150IP, 7.94K/9
セス・ルーゴ(右) 6勝6敗, 3.68ERA,116IP, 9.75K/9
ライアン・ウェザース(左) 2勝3敗, 4.70ERA,55IP, 6.09K/9

怪我人リスト入り先発投手
15日IL
ジョー・マスグローブ(右) 10勝8敗, 3.18ERA,177IP, 8.81K/9 (左足親指骨折)

いきなりだが、ワールドチャンピオンを狙うための生命線はこの先発投手だ。ダルビッシュ、スネル、マスグローブまでの3番手までは手堅い。しかし先日6年延長契約を交わし開幕投手と見込まれていたダルビッシュは、WBCでの登板不足で調整が遅れ6試合目に登板。WBC決勝のリリーフで18球を投げるも球速がさほどでもなく空振りもゼロだったので、本調子を取り戻すのは4月中旬-下旬か。

そしてマスグローブは親不知を4本一気に抜いた翌日にウェイトトレーニングに使うやかん型の重りケトルベルを左足親指に落とすというそこまで実家の家業コーヒー屋になぞらえなくてもという怪我で復帰は4月半ば以降。

代わりに開幕投手の白羽の矢が立ったのはスネル。2019年タンパベイ・レイズ以来2度目の大役だ。スネルというと前半戦の通算防御率が後半戦に比べて1.3近く高い(前半4.01 vs. 後半2.74)という典型的なスロースターターなため不安もよぎるが、5.1イニングで7失点しその肩を痛め先発が2016年唯一の登板となってしまったタイロン・ロスに比べればどうということはない。

問題は4番手以降。マルティネスは昨年前半戦先発での数字はパッとせず4.30ERA/5.16FIPと振るわずリリーフに回った。ルーゴが最後に8試合以上先発登板したシーズンは18先発の2017年のみ、キャリアシーズン最多イニングは同年と2018年の101.1と些か心許ない。

ワカは昨年レッドソックスで3.32ERAと一見大活躍だがFIPは4.14。またイニングが127.1とさほど多くなく、直近で150イニング以上を投げたシーズンは2017年の165.2イニングだ。

マスグローブの代わりにウェザースが開幕5試合目に登板する。球威と制球を狂わせていたと目されたテンポ改善の為ワインドアップにフォームを変え、4シームの球速が最速98mphまで上昇した。

上記いずれかの先発が欠場した場合、第一に代わりを務める事になりそうなAAAの投手はジェイ・グルーム。昨夏レッドソックスからエリック・ホズマーと$44Mとマイナー2選手(コーリー・ロージアとマックス・ファーガソン)との交換トレードで獲得と書くと物凄いプロスペクトを想像しそうだが、$44Mは過去5年fWARが1.0を上回ることのなかったホズマーの契約残額$45.2Mを補うための押し込み金であり、グルーム自身は実際は45FV程度の有望株。かつてパドレスも指名を考えた大型左腕だが、トミージョン手術後は速球が90mph後半から前半に減速した分、打たせて取るピッチングスタイルに変貌した。グルームに続くAAA投手はリース・クニーアフリオ・テヘランあたりか。

先発投手は決して弱点ではないが、頭数の割にローテ後半のリスクは高い。というよりリスクの高さを頭数で補った感がある。夏場の戦況と健康状態によっては補強が行われるかもしれない。

ただ一方で楽観視もされている。The Athleticのイーノ・サリスによると、パドレスのppERA (pitching plus ERA) はリーグトップと大胆な予測。ppERAの算出方法の説明は割愛するが、K%-BB%という古典的な予測モデルとは異なり、球速、投球の動き、ロケーションから導き出した指標であり、近年投手にコントロールできないと定説化されていたインプレイ打率の制御も考慮されている。


リリーフ投手

ジョシュ・ヘイダー(左)66Game, 2.76ERA, 1Hold, 32Save, 67IP, 14.26K/9
ルイス・ガルシア(右)64G, 3.78ERA, 12Hld, 0Sv, 9.54K/9
ティム・ヒル
(左)61G, 4.13ERA, 12Hld, 0Sv, 6.19K/9
スティーブン・ウィルソン(右)62G, 3.83ERA, 14Hld, 0Sv, 10.62K/9
ナビル・クリスマット(右)68G, 3.83ERA, 13Hld, 0Sv, 8.64K/9
ブレント・ハニーウェル・ジュニア(右)68G, 4.42ERA, 6Hld, 0Sv, 8.64K/9

怪我人リスト入り見込み
15日IL
ロベルト・スアレス(右)54G, 3.42ERA, 9Hld, 1Sv, 9.91K/9(肘関節不具合)
エイドリアン・モレホン(左)23G, 4.12ERA, 1Hld, 0Sv, 9.06K/9(肘炎症)
ドリュー・ポメランツ(左)48G, 3.76ERA, 0Hld, 1Sv, 11.28K/9(肘炎症)

先発に6+1人居るためリリーフは6人。昨夏獲得した時には不調の極みも終盤に調子を取り戻したヘイダーが抑えを務める。今年は契約最終年。

本来ならセットアッパーを務める予定だったスアレス不在の間は昨年チーム最多66試合登板のガルシアが8回を投げるだろう。ヒルは長いエクステンションで低い位置から放る4シームに代わってシンカーを織り交ぜたおかげで空振り率が低下。これはおそらく高低の差をつけるための球種だろう。

一方昨年デビューのウィルソンはシーズン途中で落差のあるスライダーを横滑りするスウィーパーに切り替えた。WBC決勝戦で大谷翔平がマイク・トラウトから3ストライク目の空振りを奪った球種だ。

ロングリリーフ役が期待されるクリスマットとハニーウェル、前者はコロンビアからのアマチュア入団、後者は故障に泣かされ続けてきた元レイズトップ投手プロスペクトと対照的な二人だが、ともにマイナーオプション切れ。故障者が戻って来た時に何らかの決断を迫られるかもしれない。

故障者にポメランツとモレホンというガラスの左腕二人。ポメランツは48イニング登板の予測だが、諸々の故障により過去3年で44.1イニングしか投げていないレアキャラなので多くは期待が出来ない。モレホンも過去4年で66イニング止まりだ。

AAAに控えるリリーフはミチェル・バエズ、また故障上がりのホゼ・カスティーヨあたりか。

捕手

オースティン・ノラ(右)78G, .260AVG, 5HR, .712OPS, 2Stolen Base, 107wRC+
ルイス・キャンプサーノ(右)71G, .239AVG, 8HR, .682OPS, 1SB, 96wRC+

昨年5度のサヨナラ打を放ちそれ以外はスライダーにかすりもしなかったカルトヒーロー、ホルヘ・アルファーロが去り、ベテランと若手の二人体制に。

ノラはスプリングトレーニング戦で鼻に死球を受け骨折。そして復帰戦でファウルチップを投げ手に受け退場と踏んだり蹴ったりの春を過ごした。打力よりも投手からの信頼が厚いため、打撃が売りのキャンプサーノが大ブレイクしない限り正捕手だろう。

イタリア代表としてWBCに出場したブレット・サリバンやPED規約違反で80試合出場停止明けのペドロ・セベリーノがAAAで控える。

毎年テコ入れが必要と目され、かつ大物獲得の噂が流れるも手つかずに終わるポジションだ。

内野手

一塁
ジェイク・クローネンワース
(左)134G, .255AVG, 17HR, .763OPS, 4SB, 119wRC+
二塁
キム・ハソン(右)118G, .239AVG, 12HR, .699OPS, 10SB, 102wRC+
三塁
マニー・マチャド(右)156G, .266AVG, 30HR, .806OPS, 9SB, 127wRC+
遊撃
ザンダー・ボガーツ(右)149G, .269AVG, 20HR, .775OPS, 6SB, 123wRC+

今オフ補強の目玉だったボガーツが遊撃に入る。レッドソックスからのFAを11年$280Mで獲得し、隣の三塁を守るマニー・マチャドの11年$350M契約延長と合わせると計$630Mの新契約だ。奇しくも共に30歳だがZiPS予測による11年の適正契約額はボガーツ$261Mマチャド$181Mとボガーツが大差をつけて逆転する。

https://blogs.fangraphs.com/the-red-sox-will-miss-bogaerts-soon-and-for-the-rest-of-their-lives/
https://blogs.fangraphs.com/san-diego-strikes-again-with-11-year-extension-for-manny-machado/

この逓減の差は遊撃手と三塁手の運動能力の差だろう。5-6年後彼らがどの様な成績をどこのポジションで残すかはまだ知る由もないが、ここ1-2年の期待に留めるなら恐るべき戦力だ。

そしてそのボガーツに追いやられる形でキムは遊撃から二塁へ、クローネンワースが二塁から一塁へコンバートした。打撃は若干迫力に欠けるが、ゴールドグラブ賞候補の二人がシフト制限により昨年よりも守備レンジが重要視される一二塁を守る点は心強い。

キムはシーズンオフにウェイトトレーニングに励んでいた。また昨年.722OPSと振るわなかったクローネンワースは報じられていなかったが故障を抱えていたようだ。走り方がおかしかったので気にはなっていた。

控えはルーグネッド・オドーアか。キャンプ中WBC参加によるマチャド、キム、ボガーツの留守中に穴埋めとしてキャンプに参加し、レンジャース時代のプレラーとのコネを活かしショーケース向けにロースターの間借りをしているのかと思いきやまだ残っている。まだ29歳なので他所の非コンテンダー球団でレギュラー枠は狙えなかったのかという考えも過ぎったが、過去4年の最高打率が.207では難しいか。

外野手 指名打者

左翼
フアン・ソト
(左)149G, .272AVG, 28HR, .924OPS, 9SB, 164wRC+
中堅
トレント・グリシャム
(左)125G, .222AVG, 18HR, .712OPS, 4SB, 106wRC+
右翼
フェルナンド・タティス・ジュニア
(右)123G, .266AVG, 38HR, .916OPS, 24SB, 156wRC+
指名打者
マット・カーペンター(左)94G, .213AVG, 15HR, .730OPS, 3SB, 112wRC+
ネルソン・クルーズ(右)83G, .245AVG, 14HR, .740OPS, 1SB, 111wRC+

外野はソトがキャリアワーストシーズンから、グリシャムは打率一割台から、タティスは手術やPED違反からそれぞれの復活が求められる。

昨年キャリア平均から100pts.ほど低いOPSとはいえ.853OPS、145wRC+でシルバースラッガー賞を受賞しているので決して足手まといではないが、ゴア、エイブラムス、ウッズ、ハッセル、スサナらトッププロスペクトを一斉放出して獲得した若き伝説的選手の数字としては若干物足りない。

一方で好要因もある。今年から始まるシフト制限ルールの恩恵を最も受けるのは、左打者で引っ張る速いゴロが多いソトだろう。キャンプ中に痛めた鼠径部は問題なさそうで開幕出場の見込み。

ソトは振らない低めを突かれて調子を落としたが、グリシャムは振らない高めを突かれて打率が.185。四球率は10.5%と高いが見逃し三振が多く28.6%。ゴールドグラブ賞を獲得した守備同様に積極性が求められる。

タティスが昨年受けた左肩サブラクセーションの手術は90%の確率で成功し、80%が元のパフォーマンスレベルに戻れる類とのこと。ロックダウン中のバイク事故でひびが入った手首の骨(舟状骨)は二度の手術を受けた。

そしてPED使用による80試合の出場停止となり2022年は出場無し。かつてメジャーリーグの若き顔と期待されていたが、そのステータスは地に堕ちた。

さすがに非難のコメントを残すチームメイトも出る中、ソウルメイトのジュリクソン・プロファーはタティスをこう庇った。

この友情に涙したファンも居ただろうことだろう。しかし、

案の定オプトアウトし、

同地区内なら州外でもタティスの傍に居るとギリギリ言えなくもないか、標高差1,600mだけれど。マラソンを北海道で行っていた東京オリンピックを思い出させる。ちなみに開幕のロッキーズ戦でプロファーはリードオフを任されそうなので、2023年パドレスの初対戦打者と相成りそうだ。

ボガーツ獲得と先の怪我再発を避ける意図もあり、タティスは遊撃にコンバートされた。当初ボガーツはマチャドの後釜として三塁を守るのかと目されたがマチャドが契約延長したため、キムかクローネンワースが移籍しない限り当分内野には戻ってこなさそうだ。まだ守備は危ういが、出場停止明けの4/20までAAAエルパソで打撃と共に実戦経験を積める若干の余裕がある。

ZiPSは高齢者に厳しい傾向があるので37歳と42歳のDHの予測はさえない。だが元チームメイトのマット・ホリデイやスイングトレーナーらのサポートを得て36歳でプルヒッターに自己魔改造を遂げたカーペンターと、過去1年半不振の元とされた目の手術を受けたクルーズは年齢の壁を越え続けるかもしれない。なおカーペンターはタティス不在の4/19までにタティス同様危うい右翼守備に、右投手相手の際に一塁に入る可能性もある。

外野控えは好守ホゼ・アゾカーが当確。タティスが4月20日まで出場停止のため元ロッキーズのデビッド・ダールが食い込む可能性もある。またハムストリング痛で開幕ILの好守俊足打撃はそうでもないアダム・エンゲルも控えている。

2023年展望

ここまで見てきた各ポジションのfWAR予測は以下の通りだ。

https://www.fangraphs.com/depthcharts.aspx?position=Team

なんとナショナルリーグでトップである。1969年創設以降14回しか勝ち越したことが無いパドレスが、NL最強戦力と予想されたシーズンはかつてない。

ポジション別ランキングは以下の通り。投手も良いが打者主導のチームだ。11位の捕手以外のポジションは全て6位以上だ。

各ポジションの☆印新戦力からも察せられるが、A.J.プレラーGMの補強傾向は、守備位置が既存戦力と被ろうがなんだろうがその瞬間で獲得が見込めるベストな選手を獲得し、後ほどコンバートで調整するというものだ。FA市場が過熱した今オフは特にその傾向が強かった。そしてそれを可能にしたのが遊撃手の多さである。

ボガーツ、タティス、マチャド、キム、クローネンワースとレギュラー野手8人中実に5人がプロ入り後に遊撃を主なポジションとしてプレーした経験がある。遊撃を守れる守備範囲と肩の強さがあればどこでも守れるという考えに基づいているのだろう。

投手は先発経験のあるリリーフ投手のマルティネスやルーゴでローテーション後方を比較的安価で固めた。

投打ともに中心選手とその他の差が激しいトップヘビーな戦力配分だ。よくスター不在でまんべんなく戦力配分が行われた編成が好まれるが、その様な戦力構成は意外に難しい。プロスペクトを搔き集め即戦力と交換した後、いびつを重ねつつもリーグ3位の年俸を捻出するオーナーの資金力を武器に総出力を増すという方策をパドレスは選んだ。補強は全てFAもしくは契約延長。メジャーレベルトレード皆無なシーズンオフは少なくとも近年類を見ない。球団は-$53Mの営業損失を出しているのではとForbesが報じていたがどこ吹く風だ。20年前の2003年クアルコムスタジアムで観戦したゲイリー・ベネットやルーサー・ハックマンといった開幕戦の面々とは雲泥の差である。

FanGraphsの勝ち星予測は90勝72敗。昨年より1勝のみの上積みだが、NLでは92勝予測のブレーブスに次ぐ2位、NL西地区の優勝最有力候補だ。

しかし世代交代を敢行しつつもドジャースは87勝と目されている。Baseball Prospectusでは0.1勝差ながらドジャースが地区首位に挙げられている。またいざシーズンが始まると92勝ではワイルドカードすら危うい可能性があるので、ここは1998年に記録したパドレス史上シーズン最多98勝を超える為に必要なXファクターを並べておく。

  • タティス、ソトの完全復活

  • 先発三本柱が大きな故障なくシーズンを投げ通す

  • グリシャム打率.250

  • 夏場にコービン・バーンズ級の先発獲得(ブリュワーズとの調停で気分を害されたバーンズ本人でも可)

  • キャンプサーノの開花

  • クレイ・バッチャーの活躍

なお今年も主力選手の選手名鑑ツイートを綴ったのでご覧いただきたい。

それでは皆さん、パドレス創設55年目のワールドチャンピオン獲得に向けてご起立の上ご唱和ください。

Let’s Fuckin’ Go San Diego!

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