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ひとり時事通信<1>なくなるAMラジオと、ひとりラジオ局/2024年2月号
2024年、AMラジオがどんどんなくなっていくらしい。
27年前、友達のキタノくんが教えてくれたラジオの世界に、僕はどっぷりハマっていった。「ABCミュージックパラダイス」「オールナイトニッポン」「サイキック青年団」。笑いを取るラジオパーソナリティは、カッコいい職業ランキング第1位(オレ調べ)になり、いつしか、ひとり自分の部屋でラジオを録音するようになった。
「つじもときいちのWhat's New?」という架空ラジオ番組は、毎週土曜深夜24時からの放送だ。無論、電波には載せられないため、カセットテープに録音し、ダビング。友達に配布するひとり放送局の体をとっていた。
番組構成は、
・オープニングトーク<3分>
・1曲目
・エピソードトーク<15分>
・2曲目
・おたよりコーナー<7分>
・エンディング
収録途中に、おばぁが部屋に入ってきて、「晩御飯できたから、早ぅ食べや!」などの声が入るというひとりラジオ局ならではのアクシデントにも見舞われた。
ネタコーナーは、友人(ハガキ職人と呼んでいた)から貰ったネタを読み、「ラジオネーム・ポンポンチョースケには、ステッカー、差し上げます」と、パーソナリティを気取っていた。
ある日、片思いしていたクラスの女の子・Nさんからお便りが届いた。届いた、と言っても手渡しなのだが。
「キタノくんからカセットテープを貰って聞きました。私のことを好きだって、フリートークのコーナーで喋らないでください。気持ち悪いです」と書かれていた。
「ラジオパーソナリティたるもの、私生活を切り売りして、トークネタを見つけていくものだ!」と考えていたが、クラスの誰ひとり、僕をラジオパーソナリティとは思っていなかった。毎週、ダビングしたカセットテープを手渡ししてくるだいぶ変な人、と捉えられていたようだ。
このお便りをもって、番組は最終回を迎えた。そして、「ひとりラジオ局ではなく、世の中にあるホンモノのラジオ局でパーソナリティをやりたい!」と思うに至り、放送業界を目指したのであった。
あれから27年。AMラジオ局がどんどんなくなっていると聞く。さみしい限りだ。
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