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しないことを決める

 売上アップのための施策や商品開発のアイデアを考えるとき広い視野で物事を考えることは大切ですが、考える範囲があまりにも広すぎるとアイデアの発想や行動の弊害になることもあります。そこで、「しないこと」を決めることで、限られた条件の中から出来ることを考えだし、実行に移すことに役立てることができます。


 例えば、キャンペーンDMの施策一つをとっても、売上を上げることだけを目的にすると、多くの会社は値引きをして、購入のハードルを下げることで反応率、売上を上げようと考えます。しかし、「値引きをしない」というルールを作ることで、値引き以外の方法を使っていかにすれば反応を上げることができるかを考えるようになります。


 健康食品通販会社A社には、ツール制作において「他社の真似をしない」というルールがあり、独自性のあるユニークなツールを制作しています。通販業界は他業界と比べると他社情報が手に入りやすいため、安易に真似もしやすく、自社独自の新しい発想を生み出す弊害になります。A社のように「他社の真似をしない」と予めルールを作ることで、日々の生活の中からヒントを見つけるアンテナを立てる習慣ができ、結果、他社にはないユニークなツール作りを可能にしています。


 化粧品通販会社B社には、「むやみに商品を増やさない」というルールがあります。売上が伸び悩むと商品を増やせば売り上げアップに繋がると考えがちです。しかし、単品リピート型通販事業においては必ずしもそうとは限りません。経営資源を分散することで事業成長の妨げになることもあります。そこで、B社は通販事業立ち上げ当初から、集客のための広告予算や労力を1商品に絞ることで、事業を軌道に乗せることができました。


 化粧品通販会社C社には、「提案された広告をむやみに実施しない」という考えがあります。これは、自社なりの判断基準を持たずに、「○○という媒体の反応が良い」という話だけを鵜呑みにした結果、自社の商品と相性がよくないような広告や、現状にはそぐわない広告予算を投じた苦い経験があるためです。


 このように、「○○をしない」ということを具体的に決めることは、決して考えを狭めるのではなく、発想や行動の枠を広げることに繋がるのです。もし、最近画一的な考えが多くなったと感じていたら、自社なりの「しないこと」を決めてみてはいかがでしょうか?



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