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一番商品を徹底して売る

一番売りたい商品、売れる商品をまずは徹底して売る。この大原則は全ての業種に当てはまるもので、通販ビジネスでも常に意識しておく必要があります。一番商品の販売に注力することで経営資源を集中することができると共に、会社としての売りも明確になります。


N社は健康食品通販会社で年商3億円前後の規模でここ数年伸び悩んでいました。商品数は600品目以上と多く、その中でも目立って売れている商品もない状態でした。売上を作るために自社商品だけでなく仕入れ商品も数多く販売しており、収益構造も必ずしも良いとは言えない状態でした。

そこで、方向性として、商品数の削減と一番商品の育成を掲げました。まずは仕入れ商品の数を大胆に減らしていくことを決定しました。そして、一番商品は現状で一番伸びている商品を候補として育成していくことにし、その商品に経営資源を集中し、新規獲得→定期コース誘導という施策を愚直に実行し、リピート顧客増加を目指していきました。現場を巻き込んだ試行錯誤は1年以上かかりましたが、商品数は100品目近くまで減り、一番商品の売上アップを実現できたことで、会社全体の売上も2倍近くアップすることができました。


その過程で単に商品数を削減するだけでなく、自社のオリジナル商品の開発を積極的に行い、売上の底上げにも成功しました。短期的に売上の上がる魔法のような手法は残念ながらありませんが、現場社員が掲げた方向性を信じて施策を実行したおかげで、成果につなげることができました。


一方で、ある食品通販会社では経営者の好奇心が旺盛で、様々な商品を見つけてきては広告やDMで案内をしていました。目新しさがあるのは良いのですが、社員の商品理解が浅いままの販売が続き、結果としてお客様に上手に案内できませんでした。このような状態ではなかなか主力品が育たず、売上も安定しません。まずは1品、主力となる商品を徹底して伸ばすことが重要です。


一番商品に集中した方が売る方も商品やその周辺の知識を多く深く知ることができますし、お客様もお店のコンセプトがわかりやすいのです。


あるワインの通販会社では、スペインワインに特化し商品を販売しています。産地を絞ることで深い情報発信ができることや販売者自身も商品に詳しくなれるのがポイントです。商品ページやメールマガジンでも詳細な産地や生産者の情報を紹介しています。お客様も店主の商品選定への信頼がベースにあり、商品に満足したお客様のリピート購入につながっています。


品揃えについても、売上アップを目的として闇雲に品数を増やすのはお勧めいたしません。しっかりとした考え方を持ち、販売者として自信を持てる商品を揃えることが大切です。そうしないと、在庫リスクを抱え、結果として利益が減ることにもつながります。また、不思議と売れない商品ほど熱心なお客様がついてしまう場合があり、終売の際に苦労することになります。


卸売り主体のメーカーが通販を始める場合に売上アップのために商品数を安易に増やす傾向があります。卸売りの場合は新商品を開発して問屋に卸せば売上が立ちますが、通販の場合は広告等の販促を行う必要があり単に品数を増やしただけでは売上は上がりません。卸売り発想を通販ビジネスには持ち込まず、まずはしっかり主力品を育てる意識を持つことが大切です。 


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