【日記】7月31日 眠くなると思い出す
昨日今日と22時過ぎまで仕事をしていたので、何だか体がぐったりしている。気を抜くとそのまま睡魔にやられそう。
眠たくなると、最近よく大学生の頃のことを思い出す。
あの頃は友達とよくお茶をしていた。当たり前だけれど東京にはカフェが至るところにあって、私たちには何の生産性もない話をしつづけられるだけの時間と友情があった。
「一番安いからベローチェにしよ」と言った時もあったし、とにかくお洒落でセンスの良いとされる喫茶店にうきうきしながら入った時もあった。
吉祥寺に、お気に入りの喫茶店があった。イルカッフェ、という名前の小さくて可愛らしいお店で、ショートカットがよく似合う華奢な女性の店長さんはいつもにこやかで、スコーンがとても美味しかった。
一人で空いている時間帯にそのカフェに行って、ソファー席でぼおっとするのも好きだったけれど、やっぱり友達と二人、テーブルを挟んで何でもないことをあれこれ話す時間が一番好きだったように思う。
面白かった授業の話。
好きな先生、苦手な先生。
サークル内の恋愛。
かっこいい先輩。
ゼミをどこに選ぶか、教養科目は何を選ぶか。
涙したことや、怒りを覚えたこと。
バイトでのエピソード。
私たちには「大学生」という同じ枠組みの連帯感があった。私は寮に住んでいたので、色んな大学の子と話したけれど、皆何となく同じような世界で生きていて、同じような経験をしながら、少しずつそれぞれ選択の上に積み重なった進路を歩んでいった。
皆どうしてるだろう、懐かしいなあ、と思うと同時に、あの時の会話はもう二度とできないんだろうなあ、とも思う。
私たちは言葉を選ぶことも覚えたし、それぞれの立場を慮ることもわきまえた。大人にはなりきれていない、青くて痛々しい感情で誰かを傷つけることも、その反対に傷つけられることも随分と減った。
あのときに戻りたいか、という問いには少し悩んでしまう。今の方がずっと幸せで生きやすいから。
ただ、あの夜を徹して語ったり、喫茶店で何度も紅茶をお代わりしては、げらげら笑っていたあの時の自分の時間の過ごし方を、いつまで覚えていたい。
そんな時間の過ごし方を、これから先もできたらいいなと思う。ちょっと難易度が高くなっているかもしれないけれど。
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