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図書館学

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図書館学に関する記事を纏めています。
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【批評】宮内庁書陵部所蔵資料目録・画像公開システム

はじめに  宮内庁は、皇室関係の事務を担当する内閣府所管の行政機関です。また、日本を文化財・文化遺産管理機関としての側面もあり、文化財専門部局である書陵部が設置されています。COVID19の影響により、書陵部が運営する宮内公文書館及び図書寮文庫は令和2年3月より臨時休館していましたが、令和3年10月より制限つきでの開館を再開しました。 この間、書陵部所蔵資料目録・画像公開システムの内容が大幅に充実されたことは朗報です。このシステムは、OPAC・デジタルアーカイブ・オンライ

【批評】『天皇皇族實錄』ジャパンナレッジ版

はじめに  令和4年9月、『天皇皇族實錄』電子版の一部公開が始まりました。令和6年夏には、全巻が公開される予定です(有料)。  『天皇皇族實錄』・『四親王家實錄』は、皇室についての史料集です。初代神武天皇から第121代孝明天皇迄の歴代天皇(北朝の天皇5代を含む)及び皇族方に関する文献史料類が掲載されています。  昭和11年に宮内省図書寮により編纂された『天皇皇族實錄』は、計3050名の歴代天皇及び皇族方が収録されています。 一方、『四親王家實錄』は宮内庁書陵部が昭和59年に

日本の文化財行政とMLA連携: 博物館附属図書館の分類

博物館図書館と「MLA連携」 近年、博物館(Museum)・図書館(Library)・文書館(Archives)間の相互連携「MLA連携」の重要性が認識されつつあります。いずれの施設も、文化財・美術品・書物等といった文化的情報資源(資料)を収集・蓄積・提供する非営利機関であるという共通点を持ち、デジタルアーカイブ化等の課題も共有しています。人類共通の財産である文化的情報資源を最大限活用し、学問の発展を目指す上で、博物館学・図書館学・アーカイブズ学というそれぞれの分野の視点より