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TikTokが包み込んだマイノリティ

アメリカでTikTokが禁止されるかもしれない、ということで、ずっと書きたかったTikTokの話をしようと思う。

最初に目にしたのはYouTubeのCMで「うざい広告」と呼ばれているのがTikTokの広告だったと思う。YouTuberが参入し始めたくらいから、彼らが好きなわたしはちょくちょくTikTokを見ていた。

「これは…ボーッと見てしまうアプリNo.1や…!時間が溶ける…!」

と恐ろしさを感じながらも、わたしはその頃から結構TikTokが好きだった。

日本ユーザーは学生まみれだった。

教室、部室、登下校の道や自宅などを丸出しにしてみんながきゃっきゃと日常を切り取って遊んでいる。野球部が変顔をして笑っている。自宅の駐車場や田舎のあぜ道で踊っている。教室のイケメンを勝手に撮って「やめろよ〜」みたいなじゃれ合いをしている。きっと禁止になったりしたのだろう、そういう動画は今ではほとんど見かけなくなった。(よかった、よかった。)


わたしが面白いと思っていたのは、そういう風景の中でTikTokに動画をアップしている人たちの中にはどちらかというと少数派であろう人たちが多くいることでした。

同性カップル、トランス男性とシス女性のカップル、クロスドレッサー(主にはいわゆる男の娘)、発達障害のひと、体に欠損のあるひと、小人症のひと…。あとは酪農系の学校の学生さんとか!

彼らは少数派だけど、みんなとは違う部分があるけど、みんなと同じ楽曲で同じ振りを踊ってる。遊び心もあるし、日常があるよ!という当たり前なことに改めて触れられるというか。

変わっているよ、というところにクローズアップしなくていいんですよ、TikTokは。(知ってもらうために自らクローズアップしている人たちもいますしそれも良いところです!)


ただ踊る、ただイチャイチャする、ただ変顔をする、ただかっこつける。

「TikTokのなにが面白いんだ」と言われていることが、わたしからすると良いところだなあと思う部分なんですよね…。


カップルのイチャイチャ動画で、彼氏がトランス男性なだけ。

みんなで踊る振りで、友達のひとりは足が義足なだけ。

夫婦のカップルダンス動画で、妻が小人症なだけ。

ペットのかわいさ自慢動画で、動物が馬なだけ。


なんていうんでしょう、馴染んでるんですよね。すごく。

TikTokっていうアプリだったからこそだったんじゃないかなと思います。手軽さとか含めて。見る動画を選べないという特性もあって、自動的にいろんな人たちがおすすめとして流れてくる。

「この人はこういう特性がありますよ」

みたいな前置きもなく、日常やダンスが音に乗って流れてくる。

目に飛び込んできた時に自分の中に感じる気持ちはきっとすごく素直なものですよね。

「今びっくりしちゃったな、なんで?」とか「こういう人会ったことないけど自分と一緒じゃないか」とか、何かしら感じるきっかけがじゃんじゃか流れてくるのって結構すごいことだと思うんですよね。

特筆しなくても、多様な人たちを当たり前に感じる未来になってほしい。悪く言うことは勿論、過剰に飾り立てたりクローズアップしなくてはならないこともなくしていきたいですね。大学生たちと触れ合っていると、少しずつ変わってきている気はします。


今はあちこちに広がって、本当に様々なひとたちが動画をアップしています。最近は音楽もちゃんとアーティストページに飛んだりして、アーティスト自ら15秒の音源と振りを提供したりしてたり。

いろいろと問題もあるTikTokですが、TikTokをきっかけにマイノリティの日常に触れた人が多くいるんじゃないか、応援しようと思った人、考えが変わった人、いろんな人が(しかも若者を中心に!)うまれたのではないかなあと思うので、結構好きなアプリです。

最近見た中では、脇毛が生えてる海外の女性(たぶん)の動画のコメント欄が議論になってるのが(面白いと言っていいのか分かりませんが)面白かったです。本人も、「剃れってコメントが多くてそれに抗えませんでした…」みたいな出だしでカミソリを捨てて踊り出す、みたいな動画を上げていたりして。ええやんけ、脇毛はえてても。染めたりしてておしゃれでした。


アメリカ在住のドラァグクイーンやダンサーたちの動画を楽しみにしている私としては、禁止になったら残念でなりません。しくしく。

InstagramがTikTokを模したのか?って機能を早速追加していたのが「やりよるな」って感じでしたね。笑


さあて、Plastique Tiaraの新しい動画が上がってるか見に行こうかな。

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