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ネタバレ有!『君たちはどう生きるか』を観たオタクの早口

なるべく何も知らずに見た方がいいですよ!鳥と集合体が苦手でないならば、ぜひ観てください!

まずは過去のどれよりも前向きな作品だと思った。歳を重ねて経歴を重ねた上でこの前向きさを描けるんだという人生の希望を得たような気もするし、そんな大それたものではなくてただただ面白いものを観られて興奮しているだけのような気もする。
トキメキが止まらないので、とりあえず初日に観て感じたことを興奮のままに書き殴っておくことにします。

どう生きるか、という問いは生きる意志があるからこそのものだと思った。

冒頭の火事のシーン、めらめら燃える炎に揺らめく輪郭や歪む身体、スローに見える人々のアニメーションがまず素晴らしくて感動した。
かぐや姫でとんでもないなと感じたのと、今思えば重なるものがある。そう思うとそれはそれで胸にくるな…。

「木村拓哉だ」
と思ったのも一瞬で、凛とした瞳をもちつつも、ほとんど口をきかない主人公眞人。戦争の描写と、美しすぎるお屋敷の対比に虚無感ややるせなさを増幅させられる。

美しく流れていくお屋敷の風景の中で異物感をかもしだすアオサギ。この異物感がたまらない。

ファンタジーが来る。現実に侵入してくる、そしてそれをこちらが拒否することはできない。なぜならそれは内側から溢れてくるものだから。脳裏に河合隼雄の言葉が流れていく。ワクワクが止まらなかった。くる、ファンタジーがくる!

ころころもちもちと色とりどりのおばあちゃんが出てきたのも嬉しかった。いつだって女性は強く可愛らしいものだと信じてくれている宮崎駿が好きだなと思ったし、おばあちゃんたちの与える安心感の凄さにも感動した。決して美しい女や勇敢な男には与えることのできない可愛らしさが好きだ。

無気力だった眞人がどんどん能動的になっていくのにも、徐々に姿を現す大叔父の建物とアオサギの中身に、気付けば夢中になっていたように思う。
この人にとって、そして私にとってもファンタジーを追いかけることが生きるということなんじゃないかと勝手に感じられて嬉しかったのかもしれない。と、これも今思うこと。

なにせワクワクが止まらなかった。それが何よりも嬉しかった。本当に最初から最後までワクワクしっぱなしだった。

姿を現した大叔父の建物の中は土星座の中のようで、まさに物語的な閉鎖感。はじまりますよの入り口であり完璧な劇場。

そこから展開するよくわからない島に、黄金色の門。大量のペリカン。ざわざわする描写。墓の主ってなんだったんだよう!というもどかしさを感じる前に登場するクールで強い船乗り女。一瞬で好きになる。クシャナ、ウルスラ、リン、宮崎駿作品で途中から出てくる強い女で好きじゃなかった女なんていない。
そんな女があのババア(敢えてババア)だったと分かった時はもう映画館の一番後ろからガッツポーズでやったーー!!!と叫びそうになった。

生命と星、炎とペリカン。全部が残酷で美しすぎる。パン種とたまご姫のような可愛さと、ゲテモノのような魚の臓物。これらが隣り合っている世界が凄すぎる。生命の誕生、ペリカンの死。全部が繋がっていることで、全部が隣り合いの必然。

こうやって乱雑に書き出していると、全部のシーンに興奮していた自分に気がつきますね…笑

そしてそうなんだよ!!!キリコのような女は絶対に最後まで付いてきてはくれないんだよなーー!!それも今回はラストに繋がるようになってたのが素晴らしかったけど!このアッサリ感がまた好きな部分。

アオサギと眞人が協力し駆け抜けるシーンは未来少年コナンのコナンとジムシーを思わせる。仲良しごっこじゃない、でも二人合わされば最強。どんな壁だって登れる(物理!!!)し、絶対に誰かを救える。そんなコナン、ジムシー、ラナのようだった。

「石」の描写はゲド戦記を彷彿とさせた。そう思うと主人公はある種若きハイタカのようだった気もする。魔法使いのようになった大叔父の積み木は、世界のことでもあり自分のことでもあるようで、ギリギリの均衡の中危なげに立っている。どんなに純粋で真っ白な石でも、生きていくということは悪意を積み上げることにもなる。

眞人が「これが僕の悪意です」と自分の中の影を認めた瞬間、彼は生きることを決意したのかもしれない。大叔父の作り上げた世界は滅びる。増えに増え続け結局内乱を起こすインコたちも無力なインコに戻っていく。しかもあのよくわからないけど重大そうな塊が四散したところで、元の世界は動き続けている。

そして何も変わらない。
母は生き返らない。キリコは婆さんのまま。そしてアオサギも、友だちのまま。戦争は終わるけれど、結局現代には戦争があるままだし。

ファンタジーを介して自分を見つめ、自分を認め、影を受け入れて、生きていく。

「これこそがファンタジーだ」と勉強中の若輩者ながらに思いました。人間はこんなにも素晴らしいものが作れるんだ、と最近感じられていなかったハイファンタジーの素晴らしさに触れたような気がします。

永遠にファンタジーを追いかけてやる。と、改めて覚悟を決めるきっかけになってしまいました。困ったな。

というか、この色んな要素をキュートとシリアスのバランスを取りつつひとつの物語に積み上げてるのが凄すぎますよねえ………!!!!
誰よりも積み木のうまいカリスマおじいちゃん!!!後継者なし!!!……だけど、エンドロールではスタジオカラー、地図、ポノック、様々な名前がずらりと流れてくる。積み木は一度崩れても、血は繋がっていくんだという事実も現実も感動的。ポノックの新作面白そうだったし!!!!

あーーーーーもう全然書ききれないし乱雑すぎるけれど、見た日の新鮮な興奮や直感は後から読み返すと面白いかもしれないのでこうして書き連ねておきます。恥ずかしくなる可能性もじゅうぶんにありますが。脳みそそのままなので偉そうな書き口?ですみません。興奮のままにお届けしました。笑

パンフレットが発売開始したらもう一度観に行きます。その前に我慢できずに劇場に行ってたら笑ってやってください。

以上、ただのオタクの早口でした。
本当に元気100倍になってしまいました。恐ろしい映画です。


追記

個人的に、劇団四季創立記念日である7/14にこの作品を観られたことがとても意味のあることに感じました。それも嬉しかった。
「君たちはどう生きるか」
「人生は生きるに値する」
浅利慶太先生の祈りを改めて感じて、守っていきたい。ジブリが好きで、劇団四季が好きで、たった5年半だけど劇団四季に在籍していた小さなひとりの演劇人として2023年の7月14日を大事な1日に。

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