マガジンのカバー画像

『翠』

34
純文学を基調としたストーリーに、官能シーンを織り交ぜてみました。 スーパーで正社員として働く主人公である男性(健流)と、同じ職場でパートタイマーとして勤務する冴えない女性(翠)が…
運営しているクリエイター

#暴力

『翠』 34

「はぁ!?」  思わず、そう声を漏らすと、それに反応した周囲の同僚が「なになに?」と言わ…

10

『翠』 33

 つい先日会ったばかりだというのに、というより、職場では毎週のように顔を合わせているのに…

31

『翠』 32

「あ、やっと来た! もう乾杯はじまってるよ〜!」  と、座敷に上がり込むなり、奥の上座に…

8

『翠』 31

 忘年会当日、一〇分遅れで会場の居酒屋に到着した。  当日は雨が降っており、傘など持って…

10

『翠』 30

 ひさびさに実家の母から電話があった。  若くしてわたしを生んでいる母は、今でも元気に暮…

9

『翠』 29

 翌日、忘年会の件を矢代さんに伝えようと、バックヤードで品出しの準備をしている矢代さんに…

8

『翠』 28

「なんで俺の言った通りにできないんだよ!」  そう叫んだ父の怒号が地鳴りのように家中にこだます。それと同時に、食器類の割れる甲高い音が、二階の自室にまで響き渡った。  驚いて一階に降りてみると、リビングでは父が仁王立ちで立っており、その父から身を守るようにして、ソファーの陰に身を隠している翠さんの姿があった。恐る恐るリビングのほうへと足を向けると、投げつけられた食器の破片が、そこら中の床に散らばっており、さすがに裸足で歩くのは危険すぎる。  その場でスリッパを深く履き直