『蝶々と灰色のやらかい悪魔』 6
その日の夕方、予報通り雨になり、ゲリラ豪雨のような夕立に打たれた。カッパなど最早役には立たず、ずぶ濡れになりながら出勤すると、店長がわたしの顔を見るなり、
「ちょ、ちょっとぉ〜、ななこちゃん!」と、とつぜん呼び止めてきた。
とつぜん呼び止められ、「へ?」と、玄関先にあるタイムカードを押しながら、気の抜けた返事をすると、ずぶ濡れのまま突っ立っているわたしを見て、「って……、あんた、ず、ずぶ濡れじゃない!」と、店長が絵に描いたような、ドン引きの仕方をする。
「あぁ、まあ