発車ベルは、いつもより長い。

ジリリリリリリ、今日のベルは長い

世間では今日、新元号発表、新学期、エイプリルフールなどと話題になっている。2019年4月1日、私にとってそんなイベントはどうでも良かった。大切な人が香川を離れる日。これが一番大きなイベントだった。

尊敬も信頼もしている後輩の1人。彼女は1年間大学を離れ、世界一周に行く。今日が旅立ちの日でもあり、新しい世界への一歩を踏み出した日でもある。

彼女は彼女らしく、出発ギリギリの列車に走って向かった。

「バイバイ！！！！！」

走りながら手を振り、元気よく笑顔でそう言った。あの声と表情は鮮明に覚えている。発車ベルがいつもより長かったのは、彼女が乗り込むのを待ってくれていたから。ピンク色のバックパックを背負い、大きなキャリーケースを持って実家に帰っていったのだ。

今すぐ世界に飛び立つわけではないし、まだ日本にいる。なんとなくまた出国前に会える気がして、離れていく実感がなかった。よくよく考えればまだ出会って1年も経っていない。こんな親密な関係になったのは一緒に活動を頑張ってきたから。でもきっとそれだけではなくて、お互いが尊敬し合っていたから。何よりも居心地も良かった。人の話を聞くのもうまい、文章を書かせたら鳥肌が立つレベル。私は彼女の文章が好きだ。

約1ヶ月間、同居していたから余計に身近な存在になっていた。彼女から見た私はどう映っているのだろう。どんな人からも愛されている彼女が大好きだ。何度あなたの笑顔と笑い声に助けられたか。

今年は留学もして、一人で世界一周に行く。ワクワクとドキドキだけではない感情がたくさんあるだろう。仲の良い友達と卒業が遅れること、見えない未来に不安を抱えているかもしれない。それでも大丈夫。

焦らなくて、大丈夫。
あなたは、あなたらしく、あなたのペースで。
いつか出会うその時まで。

また1年後、会えるのを楽しみにしています。

2019年4月1日、新たな旅の始まりだ。