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コンビニで墓穴を掘った話

四連休初日。日中は仕事や買い物など、それぞれの時間を過ごした私たちだったが、夜はみんながそろった。今日の夕飯は餃子だった。

「あ!今日ビールしかなーい!」

私は未だにビールが飲めない。その代わり、休みの日や次の日に余裕がある日などは、缶チューハイを美味しくいただいている。

そんなときに聞こえた母親の声。正直飲み物は何でもいいのだが、なぜか「ない」と言われて、今日はどうしても飲みたくなってしまった。

「じゃあコンビニで買ってくるよ」と言った。母や姉が、「一人で行くの!?年齢確認されるんじゃない?」と笑った。

失敬な!
確かに私は、法事の後の食事会で制服を着ていたにも関わらずお店の店員さんにリンゴジュースを配られたことがあるし(*小学生以下はジュース、中学生以上はコーヒーが配られていた)、さらに今は亡きおじいちゃんの入院中、当時小学6年生の私の写真をみた看護師さんが「あら!お孫さん、小学2年生くらいですか?」と言った、という話を聞いたことがある。

だがしかし!今の私は成人している!
昔と今は違うのだ!この前コンビニでお酒を買ったときだって、年齢確認はされなかった!

でもちょっと心配になった私は、ロングスカートにロングカーディガンを羽織った。若干色合い的にダサい気がしなくもなかったが、さっきまで着ていたTシャツに高校の頃の短パン、よりはマシだろう。多少は大人っぽいだろう。
財布に免許証もしっかり入れて、私はコンビニに向かった。

コンビニには、私の好きな味の缶チューハイが売っていた。嬉しかった。
お酒だけじゃなんとなくアレかなと思い、お菓子も買った。

レジへ行った。落ち着いた動きと、落ち着いた声を心がけた。ピッと言う音と「△円になります」と言う店員さんの声が聞こえた。お会計は滞りなく進んだ。私は、年齢確認をされなかったのである。

ほら見なさい、我が家族よ!ちゃんと成人として見られているのだ、すごいでしょうすごいでしょう、と心の中で自慢げな気持ちだった。

その時、「~はお持ちですか?」と言う声が聞こえた。自慢げな気持ちに浸っていたためか聞き取れず、一瞬焦ってしまった。年齢確認のことだと咄嗟に思った私は、さっきまでの気持ちを引っ込め、財布の中から免許証を出して店員さんに見せた。

前言撤回。ああ、今回は私の敗北である。でもなんとなく、こうなる気も心のどこかでしていた。年齢確認よ、いつかは勝つからな。待っていなさい。

と、敗北を認めたその時だった。店員さんの声が、聞こえた。


「あ、これではなくて、ポイントカードはお持ちですか?」


なんということだ。私は自ら負けたのである。
「あ!すいません!持ってないです!!」とさっきまでの落ち着きはどこへやらという態度になってしまった。墓穴を掘ったことで動揺したのだ。

家に帰って「どうだった?」と聞かれたので、「ぜーんぜん大丈夫だったよ?」とすました顔をして言っておいた。墓穴を掘ったなんて言ったら爆笑されてしまうと思ったのだ。それはなんか悔しいじゃないか。

「墓穴ショック」から立ち直った私は、夕飯時にこの出来事をバラした。案の定の反応だった。

店員さんと笑い合えたことが唯一の救いである。でも、「レジで自ら身分証を出した女性客」である私のことを、あの店員さんがキレイさっぱり忘れることを願ってやまない。
ごめんなさい、そしてありがとう店員さん。また来ます。

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