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鉛筆画は冷たくなかった@鉛筆画展 心の灯り

『土田圭介 鉛筆画展 心の灯り』(武蔵野市立吉祥寺美術館 2022.1.8.〜2.27)

絵画の展覧会などで鉛筆による習作などは目にしたことがあったのですが、鉛筆画というものを今回、初めてきちんとみた気がします。

この展覧会を訪れる前、鉛筆画にはなんとなく冷たいイメージを抱いていました。おそらく、鉛筆独特のモノクロ感や、鉛筆の芯が物理的にひんやりしていることから、勝手に作品自体にも冷たさを感じていたのだと思います。

土田圭介さんの鉛筆画をみて、そのイメージは払拭されました。そしてその理由を考えてみました。

たとえば、<行方>という大きな作品。

行方 2021

近づいてよくみてみると、

行方   2021(真ん中の辺のアップ)

なんだか可愛らしい生きものたちが…!

そのまま視線をおろしていくと、

行方  2021(下の辺りのアップ)

飛行船だ…!

ちなみに、<行方>の下書きも展示されていて、上の2つの発見をみてみると…

行方 2021 下書き
あの可愛らしい生きものたちは…まだ棒人間みたい!(左)
飛行船も雰囲気が全然違う!(右)

つづいて、<明けの竜>という作品。

明けの竜 2012

龍の手(足かも)をみてみると…

明けの竜 2012 (手足のアップ)

指がまんまるでやさしい

<ココロノツルギ>という作品。

ココロノツルギ 2020

よくみると…

ココロノツルギ 2020 アップ

(中略)そばにいてくれるものたちがいてくれたら救いになると「リンゴの妖精」たちに登場してもらいました

土田圭介 鉛筆画展 心の灯り 出品リスト 作家による作品解説より

こんな風にじっくりみていくと、心がふわっと温かくなる小さな発見が全ての作品にありました。

これは<包む>という作品についての、土田さんの解説です。

包む 2020 

救いや癒すものを心に込めて描きたいという思いから出来た作品ですが突き放すような超絶としたものにはしたくなかったので癒すものも実は傷ついていてアシンメトリー(左右非対称)にしたりして描きました

土田圭介 鉛筆画展 心の灯り 出品リスト 作家による作品解説より

10Hから10Bまでの鉛筆を使い分けて描く技術だけでなく、土田さんの慈しみのある工夫によって、作品に温かさが生まれているのだと感じました。

最後に…

この展覧会の帰り、<一日の終わりに>という作品に描かれていた虹のような雲が空にかかっていました。こういう偶然ってうれしいです。

一日の終わりに 2015

以上です。

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