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もやもやしていたことの答えがあった@李禹煥展
※昨年(2022)の書きかけ記事 第一弾※
『国立新美術館開館15周年記念 李禹煥』(2022.8.10. - 11.7. 国立新美術館)
李禹煥(リ・ウファン)展、本当におもしろかったです。哲学や文学を学ばれていた李氏の世界の見方やものの考え方から学ぶことがたくさんありました。
今回は、ここ数年わたしの中にあったモヤモヤが解けた出来事について書いてみたいと思います。
気づきの瞬間
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ぽってりとした筆跡の作品<応答>三点が飾られている部屋。呼吸はできるのに空気がないような、地に足はついているのに無重力のような、なんとも不思議な空間でした。ここで、李氏ご本人の作品解説(音声ガイド)を聞きました。
(…)見る人はこの部屋で何かを見るというよりも何か響き合いや波紋のようなものを感じると思います これは絵画が描いた対象を見せるのではなく、そこに開く空間を五感で受け止める経験の場であることを示しています。(…)
この李氏の言葉を聞いて、ハッとしたというより、あぁぁぁ…これだ… … ぐわんぐわんぐわんぐわん… と、柔らかい衝撃が体を突き抜けていったような気づきの感覚がありました。
モヤモヤとは
そのモヤモヤとは、
なぜこんなに美術館に実際に赴いて作品を見たいのか
なぜ展示風景、展示室の空間が好きなのか
ということです。
好きな作品を画集で見るのも好きです。
それでも頻繁に美術館を訪れてしまうのは、「そこに開く空間を五感で受け止める経験」をしたいからだったのだと胸に落ちました。
そしてもう一点、2022年のわたしにはモヤモヤしていたことがありました。それは、
好きな作品をどんなにじっくり鑑賞しても目に焼き付けることが叶わない
ということです。
李氏の「絵画が描いた対象を見せるのではなく」という一言によって、そこに何が描かれていたのかを覚えておくよりも、それを見て自分がどう感じたのかを考える方が重要なのだと、気づくことができました。
忘れてもいい
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忘れてもいい、という気づきがあった作品がもう一点あります。<関係項ーアーチ>です。この作品の発想の原点について、ご本人の解説がありました。
(…)雨上がりの田舎道を歩いていると、道を挟んで向こうに小ぶりの虹がかかった とても幻想的でドキドキしました こんな作品が作れたらなあ!と思った(…)
ところが李氏はこの出来事をすっかり忘れてしまい、それから三十数年後、ベルサイユの寒い丘を歩いているうちふと思い出して、この作品が制作されたそうです。
忘れるのは失うことではなく、必要があれば必要なとき、こんな風にふっと戻ってきてくれるのかもしれません。様々なことを覚えていたいと必死になってしまいがちなわたしですが、この作品を通して少し気持ちが楽になりました。
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別日にもう一度訪れてしまった
まとめ
(…)単体としての作品より空間との関係で息吹のある場が開くことを目指します(…)会場が変われば作品も違って見えるのでぜひみてほしい
と李氏はおっしゃっています。
この展覧会は兵庫県立美術館(2022.12.13. - 2023.2.12.)でも開催されるので、ぜひそちらにも行ってみたい!と思っています。
おまけ
李氏について、非常にわかりやすく面白くまとめられたイラスト「李禹煥鑑賞ガイド」が美術館で配布されていました。作家さんについて、こういうガイドが毎回あったらいいのになあ、と思います。
李氏の歴史についてわかるだけでなく、李氏の作品をより楽しめるようになっています。李氏の創作中の気づき(心の声)の台詞などに、思わずふふふと微笑んでしまいました。
微笑んでしまったことでもうひとつ…。
<関係項ー彼と彼女>という作品では、鉄板が石と向き合っています。石に応答するように鉄板がちょこっと歪んでいるのですが、その歪み具合がなんとも可愛らしく、もしかするとは李氏チャーミングな方なのではないかと勝手に想像しています。
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以上です。
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