中国は宇・露戦争の「ピースメーカー」になれるか?
王毅の訪露、今日出すと予告している「ポジションペーパー」について、日本ではあまり関心がないか、さもなくば「中露の結束を誇示したいんだろう」的に先入観で見る向きがあるけれど、フィナンシャルタイムスはこの一両日、中国の意図に強い関心を持って、識者に手当たり次第に当たって、「中国が和平仲介に乗り出す」という見方をしきりに伝えている。主たる動機は「中・欧関係を改善したい」ということだとも。同紙だけでなく欧州全体が注目しているのだろう。
一方で、この記事は識者コメントを引用しながら、仲介は容易なことではなく、中国が和平を希求する「ポーズ」以上に実のある介入をするのは困難だろうとも述べている。カーネギーのガブエフ(Gabuev)研究員の以下のコメントはそこらへんをよく伝えている(この人のコメントが聴きたかったw)。
和平と言わず停戦の暫定合意ですら妥結が簡単でないのは、ガブエフが言うプーチンのオブセッションだけでなく、ウクライナにとっても、ロシアと妥協することが極めて難しい決断になるからだろう。
侵攻が始まったばかりの1年前には、ウクライナ側にも中国の仲介を期待する動きがあった。米欧は半ば「紛争当事国」だし、誰かがプーチンを心変わりさせられるとしたら習近平を措いてない、とウクライナは見ているからだろう。
しかし、その後戦禍が深刻化するなかで、ウクライナ国民の対露敵愾心、復仇心は激上がりしたようで、ゼレンスキーも下手に妥協する姿勢を見せたら、一挙に国民の信任を失いかねない。
だから、中国がピースメーカーになるのは簡単ではない、というのが結論なのだが、一方で、それじゃ今の戦争と戦禍がずるずると何年も続くのを拱手傍観してよいのか、西側も軍事援助をずっと続けられるのかというジレンマにいちばん痛切に直面しているのが欧州だ。だから、「簡単じゃないよ」と分かりつつも、中国の動きに強い関心を寄せているのだろう。
日本ももう少し切実にこういう成行を見守る必要があるんじゃないか?
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