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中国不動産問題、「新段階」へ(ヤバい)

中国不動産デベロッパーの資金繰り悪化で、売約済みマンションが途中で建設ストップ、不安を感じた購入者たちが住宅ローンの支払いをストップする抗議運動が全国に拡がっている。
中国では竣工前、躯体が立ち上がったあたりで8~9割の代金を前払いする慣行で、住宅ローンもそれまでに組む。「カネを払ったのに、物件の引き渡しを受けられそうにない」となれば、購入者達が「どうしてローンの支払いを続けなくちゃいけないんだ!💢」となるのは無理もない。そうやって抗議の輪を広げて、「政府、何とかしろ❗」とやっているんだろう。

興味深いのは、中国で盛んなオープンソース・アプリの開発・補修の舞台としてよく使われるgithub上に「この問題の情報を集めたサイトを作ろうぜ」という運動を始めた連中がいて、「いかにもデジタルで日本より先を行く『当代中国』だなぁ」と感じてみていた。そうしたら、やっぱり「敏感」な中身がご当局の禁忌に触れたらしく、

「数据来源统计以及发起人: 已被封禁」という仕儀に。

きっと、中国内では(少なくともこの頁には)アクセスできなくなっているのだと思うが、githubサーバーは海外にあるらしく、外からは今でも見ることができる(3日前にupdateされたときは、全国319のマンション物件で集団不払運動が確認されている、とされていた。いまはもっと増えているんだろう。うち1/4くらいは例の最大手、恒大集団の物件。)

全国分布図

省別の物件リスト

こういう騒ぎが拡がると、マンションを買いたい人々も不安を覚えてますます買い控えに走り、銀行の住宅ローンも不良債権化しかねない。
工事ストップといった事態にならないように、デベロッパーの銀行口座はエスクロー管理して工事続行を最優先させるようになっていたはずだが、業界が深刻な不況に陥ってはや1年、そんな小手先では収拾がつかなくなりつつあると見える。

金融当局は既に銀行を召集して対策会議を開いたらしいが、無い袖は振れない、ないカネは払えないのだから、銀行に「何とかしろ」って言ったって、どうにもなりゃせん。このまま無為無策でいると、不動産市場に更なる動揺が拡がり、銀行不良債権の増加を招いてしまう。

考えられる手立ては、各地方政府が所轄の物件の工事完成のために、ブリッジローンを提供して、デベロッパーの企業再生(又は破産)手続の中で、既往の金融債権に優先する弁済を受けられるようにする(上手く行けば、時間はかかっても、ある程度回収できるローンになるはず)ことしかないように思う。

けれど、地方政府も過剰債務や減税、ゼロコロナ対策経費などなどの出費によって、公務員給与の大幅カットを余儀なくされるくらいカネ詰まりに陥っているらしいので(連合早報6月27日記事)、中央がブリッジローンの裏打ちをするくらいの覚悟で早急に乗り出さないと、火はどんどん延焼して「今年の経済成長5.5%成長未達に終わる」なんてハナシでは済まなくなるぜ? ┐('д')┌

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