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2023/02/06の日記 ニコニコ・ユーモア・コミュニティ

ニコニコ動画と小学生の頃に出会って、それからというもの私の趣味や好きなカルチャーのすぐそばにはいつもニコニコ動画があった。

昔は音楽再生機器をウォークマンしか持っておらず、TSUTAYAで借りたボカロ曲のCDを父親に持って行って焼いてくれ(今ってこの言葉伝わるのかな?)と言ったらいつも嫌そうな顔をされた。
なので、父親のiPadをこっそり拝借し、それに入っているニコ動のアプリから好きな曲を再生したのをiPhoneのボイスメモで録音して聞いていた。
やっかいな手順を踏んで、やっとこさ音楽を聴いていた。雑音まみれの最悪な音質だったけど、いつでも好きな曲が聴けるのは嬉しかった。

ちなみに椎名もたの「Q」とナブナの「夜明けと蛍」とYASUHIROの「がらくたのマーチ」とかいりきベアの「セイデンキニンゲン」とツユの「アサガオの散る頃に」とナナホシ管弦楽団の「初体験」が特に好きだった。思えば音楽の趣味が今とあまり変わっていない。2015年は私にとってボカロ黄金時代だ。

ニコ動のリンクを貼ったら何故か全部英語になってしまった。何故……

再生するサイトはYouTubeでも良かっただろうに(好きな曲全部がYouTubeでも投稿されていたかは別として)、わざわざニコニコ動画で再生していたところにも今と変わらない面倒臭さを感じる。ボカロを聴くならニコ動がいいし、どうせならYouTubeよりもニコ動の再生回数を増やしたい。

なぜ、と問われると少し困る。自分でもよくわからない。そっちの方がいいな、と思うのだ。

ニコ動の特徴といえばやはりコメント機能だろう。右から左に流れる特徴的なコメント機能には、ニコニコの空気を物語る異質さがあると思う。


ここからは少し「ニコ動あるある」の話になる。

ニコ動を見始めてから1年弱、私は何もコメントできなかった。怖くて。
当時のニコ動のメインユーザーは20代〜30代前半の男性で、対する私は12歳の女性だった。女性というか、メインユーザーからすればただのクソガキだ。

ニコ動にコメントする人々は自分とは違うユーモアセンスを持っていた。どうしたらそんなに面白いことを思いつけるんだ、というツッコミを的確なタイミングで流す、一種の様式美さえ感じられた。
ただの「www」でさえ、タイミングを誤ったらこの完成された美しいユーモアコミュニティをクソガキの分際でぶち壊してしまう……そう思ったらもう何も書き込めなくなってしまって、ひたすら流れるコメントを眺めていた。

2年目にして、ようやく「うぽつ」「88888888」「とりあえずなんか書いとけ」「お前らの愛で見えねぇ」「wwwww」「ああああああ」のような、テンプレ化されたコメントを書き込めるようになった。皆同じことをコメントしているのにひどく緊張しながら震える手で投稿ボタンを押す。「ワロタ」の一言でさえ気軽に投稿なんてできなかった。

コメントを送信して、私が書いたコメントが黄色い四角に縁取られて流れるのを見ていると、やってしまった、誰にも怒られませんようにという恐怖とやってやったぞ、このユーモアコミュニティに参加してやったぞという達成感で胸がいっぱいになる。
そうして一歩ずつ、少しずつ、休み休み、ニコ動のコミュニティの内部に入り込んでいった。


しかし恐る恐るニコ動の魅力を知っていった中学時代の頃、とある事件が起こる。

2014年 3DS、ニコニコ動画配信開始

これである。あ〜〜……となった人は同世代かもしれませんね。

ちょうど私が3DSへの興味がパソコンやiPadに移行した頃のことだった。私はまさかニコ動が3DSで見れるとはつゆ知らず、パソコンやiPadでニコニコ動画を見まくっていた。

大人たちによって完成された世界。学校では知りえないユーモア。不可侵の面白ワールド。それを堪能していたのだけれど、何やら最近変なコメントが目立つ。

「小4でこの曲聴いてる奴おる?w」
「小5いっきまーす!」
「(投稿年)10年前!?生まれてない……」
「ミクちゃん尊い( ゚∀゚)・;’.、グハッ!」
「カゲプロのパクリじゃね?」

なにこれ!?

え!?

クソおもんな!!!!!!!!

上記のコメントに心当たりがある人はすみません。

3DSのニコニコ参入によって、小学生ユーザーが大量に流入してきたのである。マナーも空気も読まない子供たちはコメント欄を我が物顔で荒らしまくり(あくまで彼らに悪気はない)、大人たちは目に見えて辟易していた。

「キッズは黙ろうね」
「3DS勢荒らしやめて」
「ガキは黙ってろ」

ひ〜!!!! 怖すぎる!!

何故って私もガキなのだ。ガキだけど、ガキなりに色々と空気を読んでマナーを守ってみんなで楽しくニコニコできるようにニコ動を楽しんできたのだ。半年ROMるどころか一年ROMったのだ。
それなのに、もっとガキなユーザーが出てきて私の好きなユーモア世界をめちゃくちゃにしてしまった。

あ〜あ。
終わった。

私もその直前まで3DSを必死になってプレイしていた身だったので、謎の連帯責任のようなものを感じて落ち込んでしまった。

まあ私もガキだし……大人たちに混ざって一端のニコニコユーザーを気取っていたけどクソガキなことに変わりはない……。

そう思うと、もう何も書き込めなくなってしまった。「www」だけでも、やっぱりガキの私がコミュニティを壊してしまう恐ろしさには抗えない。しかし他の3DSキッズたちは「小3でっす☆」と謎の自己紹介をしている。大人たちはキレている。ああもう本当にやめてくれ……!


そんなこんなで月日は流れ、私もとうとうあの時の「メインユーザー」と同じくらいの年齢になった。ユーザー歴もそこそこ長い。

けれどやっぱり私はまだクソガキで、私の「wwww」が全てを壊してしまうのではないかという恐怖は消えない。

もう何年も、ニコニコ動画にコメントを残していないのだ。自分でもそれに気付いてびっくりしてしまった。
私はきっといまだにニコニコキッズなのだ。
21のキッズがいてたまるか!!


ちなみに3DS版ニコ動は今年の3月末でサービス終了するらしいです。
あの時のキッズたち、成仏してくれ。

最後に私の大好きなニコ動音MADを貼って終わります。

いつもコメント、マイリス、ありがとうございます!

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