Rainy Night in Georgia 歌詞と対訳

楽曲について

Rainy Night in Georgia / written by Tony Joe White
R&Bシンガーとして、またナット・キング・コールなどに楽曲を提供する作家として’50年代から活躍していたブルック・ベントンですが、’60年代以降はやや落ち目に。そんな中、エルビス・プレスリーの「Polk Salad Annie」を手がけたルイジアナ出身の白人ソングライター、トニー・ジョー・ホワイトのこの曲に注目してカヴァーしたことで、以降の復活の糸口を掴みました。
渋いバリトンのボーカルに、Gu.コーネル・デュプリーの転がるようなダブル・ストップとトゥーツ・シールマンスの物悲しいハーモニカが絡むブルックのバージョンが一番有名ですが、作者トニー自身もブルックより先に録音している他、レイ・チャールズやボズ・スキャッグス、ロッド・スチュワート、女性のランディ・クロフォードなど好カヴァーが多数存在します。

曲を聴く前にイメージしたいこと

恋人と別れ、雨の中を当てもなく彷徨う主人公。ある程度ソウル・ミュージックに造詣が深い人にとっては「雨」といえばこの曲ではないでしょうか。
ダイナミックに歌い上げるブルックのバージョンに対して、作者トニーは抑揚もなく淡々と歌うのですが、筆者としては後者の方が各ヴァースの秀逸なライミングが引き立つ気がします。
というのも、筆者は幸運にも晩年のトニーのライブをアメリカで観れたのですが、ストラトを小脇に抱えて椅子に座り微動だにせず、グラサンで表情を隠し、バックはドラマーのみ(しかも8ビート一辺倒でフィルイン一切無し)、キーが全曲E、MC無しでひたすらボソボソと歌い続ける姿はまるで読経。なんだこの危ない爺さんはとその時は思いましたが、今振り返るとそれはサウンドよりも歌詞にフォーカスした究極のアプローチのような気がします。怖い物見たさでもう一度、と思ったものの2018年に他界されて叶わず残念なことです……それではどうぞ!

歌詞と対訳

Hoverin' by my SUITCASE
スーツケースを 引きずって
Tryin' to find a warm PLACE to spend the NIGHT
一晩を過ごせる どこか暖かい場所を探す
Heavy rain FALLIN'
激しい雨が 降りしきる中
Seems I hear your voice CALLIN', It's all RIGHT
気のせいかな 君の「大丈夫」という声が聞こえる

A rainy night in Georgia
今夜のジョージアは 雨だけど
A rainy night in Georgia
今夜のジョージアは 雨だけど
It seems like it's rainin' all over the world
まるで 世界中で雨が降っているみたいだ
I feel like it's rainin' all over the world
世界中で雨が降っているみたいだ そう思わないか

Neon signs a-FLASHIN'
ネオン・サインが 煌めいて
Taxicabs and buses PASSIN’ through the NIGHT
タクシーとバスが 通り過ぎていく夜
A distant moanin' of a TRAIN
遠くから聞こえる 列車の叫びはまるで
Seems to play a sad REFRAIN to the NIGHT
夜空に向かって奏でる 悲しみのリフレインだ

A rainy night in Georgia
今夜のジョージアは 雨だけど
Such a rainy night in Georgia
今夜のジョージアは こんな雨だけど
Lord, I believe it's rainin' all over the world
きっと 世界中で雨が降っているんだろう
I feel like it's rainin' all over the world
世界中で雨が降っているんだろう そう思わないか

How many times I wondered
何回 思案したところで
It still comes out the SAME
結局 導かれる答えは同じ
No matter how you look at it, or think of it
いくら目を凝らし どう想いを巡らせても
It's life, and you just got to play the GAME
それが人生 また次のゲームが始まる

I find me a place in a BOXCAR
貨物コンテナの中で 雨宿りすることにした
So I take my GUITAR to pass some TIME
ギターを取り出して やりすごすひと時
Late at night, when it's hard to REST
すっかり夜も更けて 身体が休まる気がしないが
I hold your picture to my CHEST and I feel FINE
君の写真を胸に抱きしめると 良い気分になる

But it's a rainy night in Georgia
今夜のジョージアは 雨だけど
Baby, it's a rainy night in Georgia
今夜のジョージアは 雨だけど
I feel it's rainin' all over the world
世界中で雨が降っているみたいだ そう思わないか
Kind of lonely now and it's rainin' all over the world
今まさに 世界中が涙雨 そんな寂しさだ
Oh, have you ever been lonely, people?
その本当の寂しさって 知ってるかい
And you feel that it was rainin' all over this man's world
そう 世界中で雨が降っている この男のことさ
You're talking 'bout a-rainin’……. over the world
そう 世界中で雨が降っている……

  • boxcar……日本語にすると「有蓋車」ですが、馴染みの無い言葉でピンとこないと思い「貨物コンテナ」としました。どっかで聞いたことのある言葉だなあと思いきや、アダム・ステフィー率いるブルーグラスバンドでThe Boxcarsというのがいますね。南部特有の言葉なのかしら?

  • A distant moanin' of a trainですが、ジョニー・キャッシュの項を参照されたし。アメリカの列車の警笛は間近で聞いたら心臓破りの爆音で、遠巻きに聞くとまさに狼の咆哮。それをイメージして頂ければ幸いです。

  • アメリカにはsongwritingの専門誌「American Songwriter」というのがあって、そのWEB版のエピソードによるとこの曲、なんとエルビス・プレスリーがカヴァーする計画があったそうです。エルビスの早逝で頓挫しましたが、聴いてみたかった!

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