楽曲について

Take It Easy / written by Jackson Browne, Glenn Frey
おなじみイーグルスのデビューシングル。主な作者は彼らの親友ジャクソン・ブラウン(以下JB)ですが、メインボーカルを取ったグレン・フライが共作者としてクレジットされており、その経緯は後述します。
リリースは1972年。シングルとしてリリースされた後、彼らのファースト・アルバム1曲目にも収録され、バンドを代表する楽曲として認知されています。JBも翌年リリースしたアルバム「フォー・エヴリマン(For Everyman, 1973)」に自身のバージョンを収録。1993年に発表されたカントリー・アーティストによるトリビュート・アルバム「Common Thread : The Songs of the Eagles」には、トラヴィス・トリットによるカヴァー・バージョンが収録されています。

曲を聴く前にイメージしたいこと

1stヴァースは心の重荷を解いて楽になろう、と友人に語りかける何となく重い内容。でも一転、2ndヴァースは軽い言葉で女の子を引っ掛けるチャラいヒッチハイカーを描写しています。変な曲!
アリゾナ州ウィンスローで車が故障して立ち往生した経験を元にこの曲を書いていたJBですが、当時彼はスランプに喘いでいて、2ndヴァースの2行目以降の歌詞をなかなか仕上げられないでいました。そこにグレン・フライがヒッチハイクに絡めて女の子をナンパするラインを書き足したら、一気に曲の雰囲気が変わったけどまあいっか!と完成に至り、JBはお礼にこの曲をイーグルスに先に提供したそうです。
そのような経緯があるので筆者は、1stと2ndはある意味別の曲で、1stと2ndでyouの対象が異なる、という仮説を立てて翻訳しました。つまり1stのyouはスランプに悩み自分自身を開放させようとするJB自身。なのでtake it easy=心の重荷を降ろしてゆっくり気楽に行こう……というニュアンス。一方、2nd以降のyouはお目当ての女の子。この場合のtake it easy=心の重荷になるような親密なお付き合いじゃなくて、深く考えずにお気楽でよろしく、みたいな感じです(笑)ま、深く考えずにお気楽に楽しんでください……それではどうぞ!

歌詞と対訳

Well, I'm running down the ROAD tryin' to loosen my LOAD
重荷から解放されたくて 旅をしている途中さ
I've got seven women on my MIND
7人の違う女と 居たようなもんだったからね
Four that wanna OWN ME, two that wanna STONE ME
4人は束縛型で 2人は酒を飲ませるし
One says she's a friend of MINE
残る1人は 俺の友人だって言う

Take It easy, take it EASY
適当で良いんだ 適当で
Don't let the sound of your own wheels drive you CRAZY
頭で軋む歯車の 雑音に振り回されないで
Lighten up while you still CAN
今のうちに 少々手を抜いて
Don't even try to UNDERSTAND
答えが出なけりゃ それでいいじゃない
Just find a place to make your stand and take it easy
やりすごす場所さえ見つかれば充分 適当に行こう

Well, I'm a standing on a CORNER in Winslow, ARIZONA
アリゾナ州ウィンスローの 交差点で立ち往生
And such a fine sight to SEE
なんて 見通しのいい光景だろう
It's a girl, my LOAD, in a flatbed FORD
ほらそこの フォードの平台トレーラーに乗った女の子
Slowin' down to take a look at ME
スピードを落として 俺をチラっと見たよ

Come on, BABY, don't say MAYBE
こっちへ乗り付けなよ 冷やかしはゴメンだよ
I gotta know if your sweet love is gonna save ME
君の愛こそが きっと俺を救ってくれる
We may lose, and we may WIN
うまくいこうが いくまいが
Though we will never be here again
所詮 この場限りの出会いだからさ
So open up, I'm climbin' IN
だからドアを開けてよ さあ乗り込むよ
So take it easy
まあ、あまり深く考えないでね

Well, I'm running down the ROAD trying to loosen my LOAD
重荷から解放されたくて 旅に出たんだ
Got a world of trouble on my MIND
この トラブルだらけの世界で
Lookin' for a LOVER who won't blow my COVER
俺を詮索しすぎない ちょうどいい恋人は
She's just to little hard to FIND
なかなかいないもんだね

Take it easy, take it EASY
あまり深く考えず 適当にね
Don't let the sound of your own wheels make you CRAZY
頭で回る歯車の 雑音に振り回されないで
Come on BABY, don't say MAYBE
こっちへ乗り付けなよ 冷やかしはゴメンだよ
I gotta know if your sweet love is gonna save ME
君の愛こそが きっと俺を救ってくれるかも?

You know we got it easy
適当が一番、そうだろう?
We oughta take it easy
まあ、あまり深く考えないでね……

  • seven women on my mind……「一週間の擬人化」という説が有力です。日本人ではコチラのブログに優れた見解があります。最初の4人はあくせく働く月~木曜日、次の2人はパーティーや街で酒を飲んで発散する金・土曜日、最後の1人は教会に行く日曜日。genius.comにも同じ見解があり、とてもしっくりきたので本稿でも採用しました。

  • Winslow, Arizonaは伝説のルート66の経由地。ちょうど先日NHKの「映像の世紀バタフライエフェクト ―ルート66 アメリカの夢と絶望を運んだ道―」を観たんですが、成功を夢見る多くの人がカリフォルニアへの移動に利用して、アメリカンドリームの象徴だったルート66が、新設の幹線道路に取って代わられてその役目を終えつつある70年代前半だからこそ、この虚無的な歌詞になったのでしょう。デビュー曲の時点でイーグルスとは終わりゆくアメリカの象徴だったんだなあと、しみじみ。

  • 追記。1stコーラスのtake it easyの訳は記事公開時は違ったものでしたが、どうもしっくりこず、記事を読み返してテキトーな曲だなあと思っているうちに閃き、この訳に至りました(笑)。最後のコーラスなんて1stコーラスと2ndコーラスをくっつけただけですもんね。実にテキトーだなあ…。

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