干し柿の収穫
つちやの創業は、宝暦5年(1755年)。以来、連綿と受け継ぐ菓子作りの歴史の中で生まれた代表銘菓「柿羊羹」は、今や岐阜を代表するお菓子に数えられるまでになりました。260余年の長きにわたり、つちやが大切にしてきたのは「自然味」を活かしたお菓子作り。それはすなわち、ごまかしのない本物の味です。
柿羊羹は天保9年(1838年)、4代目右助の時代に誕生し、伝統の味を守り続けています。どんなに時代が変わっても、本当においしいものを求める人々の心は変わらないという信念のもと、さまざまな人々のお力を借りながら、品質と伝統を守る努力を重ねています。
つちやで使用される干し柿は、自家農園と契約農家で作っています。西濃は扇状地にあたり水はけもよく味の濃い柿が出来ると言われています。太陽をたっぷりと浴び、伊吹おろしの風が吹きおろす中、日光の温かみと冷たい風が味を引き締める最適な環境にあります。
11月〜収穫された蜂屋柿は、「御前白柿」と「柿羊羹」などに使用する「原料柿」に分けられ栗原工場にある柿干し場に吊るされます。「御前白柿」は干してから40日経ったのちお客様のもとへ届けられますが、原料柿は90日経った2月から柿干し場よりおろされます。この原料柿が柿羊羹はじめ、多くの柿製品に使用されるものとなります。
柿干し場に吊るされた約20,000個の白く粉のふいた干し柿を、ヘタを残して実の部分だけをひとつひとつハサミで切り落とします。陽あたりや風にさらされる具合で色や硬さが違うものがありますが、この作業も2週間ほど行われています。
実を切り落としたあとの吊るした糸に残った撞木を外し、ひとつずつ丁寧に切り出しナイフで形を整えます。こちらは秋に発売される「宝賀来」「栗宝柿」に使用されます。これらの商品はこうして整えられた撞木を付け、可愛らしい柿の形に仕上げています。
今はこの作業の他、1年で最も大切な剪定作業も行なっています。苔を取り除き樹形を整え、収穫する実の量を調整します。今年もオレンジ色に輝く大きな柿の実がなるように、生育を見守ります。
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