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Gのレコンギスタ:起こり得る絶望将来

劇場版のⅣ、Ⅴを見終えた感想です。ネタバレあります。作品として本当に圧倒されるほど楽しかったし終わるのも寂しい…けれど、その後考えさせられるはえぐい現実。
長すぎたので後でどっか削ります。

争いは、同じレベルの者同士でしか発生しない

最強はロマン。ガンダムと言えば、特にファンネルは最強の象徴で、宇宙世紀以外でもよく扱われる。
もちろん、このGレコでもそのロマンはあり、自分は楽しんでしまった。特にガイトラッシュ戦は最高に好き。いちいち出力いうのも草。天才×ダハックもめちゃくちゃな動きすぎるけど好きw
けれども、その先にあったものは、えげつない惨殺兵器、フォトントルピード、ユグドラシル。
いやこれまでも大量殺戮兵器はガンダムではたくさん出てきた。コロニーレーザー、バグ、カイラスギリー、サテライトキャノン。そういうものはたしかにあったのだけれど、どことなく制御を効かせればなんとかなるのではないかという思いがあった。銃を持ったところで、それを人に向けなければ、それはあってもいいという感覚。

フォトントルピード。反物質のようななにかで、何が起こったか理解できぬまま一瞬で戦場を消し飛ばす兵器。似たものにある月光蝶は明確な描写がなく、イデオンのイデに関しては超常現象というので、現実味を感じなかった。でも今回の劇場版でのフォトントルピードは、パイロットが消えゆく様子、亡者の声までしっかり描かれてしまったため、それを見たときはとてつもなく畏怖し、これがタブーで破ってはいけないことというのを実感してしまった。

ユグドラシル。美しく光の世界樹を形成するテンダービーム。芸術的なさまには思わずきれいだぁと思ってしまったものの、それは周りのものを容赦なく見境なく破壊する兵器。
Gレコでは個人的に一番好きなキャラはバララ。なんやかんや嫉妬するあたりが女の子味あり、憎み切れないキャラ。あの耳もヘルメットに着けるくらいなんだから気に入ってるんだろうなぁとか、小さい体でミックのような大人らしさがない故のコンプレックスもありそうだからこそマスクにいたとか想像してしまう。

ギャグもあるのだが、それは同時にシリアスも引き立ててしまう

だから、ユグドラシルに乗ったときは個人的にすごくつらくなった。ユグドラシルのコックピットはザンネックのようなやべぇ雰囲気を思わせる赤い光が回り、彼女がマシーンに乗っ取られたように感じた。もちろん元よりまあまあの悪女だけど、それでもあの殺戮は本当に彼女がやったのかわからない。「メディアはメッセージである」という言葉がよぎる。
憎しみ、嫉妬を吐き出しきれば、かつてのカテジナのように、元の人に返る。だから最後の一撃で死んでほしくなかった。幸い脱出シーンが明確に追加されたので、当時のアニメと違って大分ホッとした。ありがとうスタッフ。そういえば髪型の似ているハマーン、その二の舞にはならなくて済んだことは本当に良かった…(ここまで思うのも、ひとえに声優の演技のうまさかもしれない。)

金星からもたらされた未来の技術は、決して薔薇色ロマンで済まされるものではなかった。

ロマンだけでは見つけられない、必要なもの

今回、劇場版となって大きく変わったことの一つにあげられることは、Gセルフの目が出たことだ。最初はふーんぐらいにしか思ってなかったものの、見終えればそれはV字アンテナが増えたりヒゲになったり前に伸びたりなんてもはやどうでもいいくらい、この表現はガンダム史上、本当にすごいデザインだと感じた。表現の可能性がとても広がるからである。

Gセルフの目

具体的なことに関してはもう映画を見てくれとしか言えない。その中で行われたことこそがモビルスーツ、マンマシーンという人型である理由なのだと感じれる。ザクのモノアイやザンスカールの猫目も好きだけど、このGセルフの目は人により近いところがとてもいろんな感情を表現してくれる。

こういう発想は、単純に僕の考える最強ガンダムというところから湧き出るものではなく、その世界に対する想像力やもっと大きな想いから生まれるものなのかもしれない。それはカシーバミコシというとんでも神輿に、地球を運ぶためのビーナスグロゥブとかもそうだ。ロボットや宇宙船、宇宙エレベータといったSFロマンを追い求めるだけの発想では手に入れられない、生活や未来を想像するのが富野監督はよくやるなぁと常々感じる。いやむしろ本来のSF作家ならそれくらい当たり前なのかもしれないが、ここしばらくそう感じるガンダム作品ないしはフィクションに出会ってなかったと改めて感じた。(自分が見た中でよかったのは攻殻機動隊SAC2045くらいかも)

これは戦闘シーン以外での政治的な話でそうだが、下手な人がアニメ作品を面白くするための政治を入れると、すごくつまらない会話シーンになる。ご都合で戦わせるようにするために、間抜けなご都合なキャラができたり、見てる側からからしたらすごくない人をすごいとおだてたりと、ステレオタイプと化してしまう。そんな決まりきったやり取りは、どんなに高クオリティの作画や豪華声優でも、見て損した気持ちにしかならない。女の身体を永遠と見せつけてくれる水着回のほうが本当に有意義だ。雰囲気芝居なんてくそくらえだ。

きっとこれはアニメに限った話ではない。モノづくりをするにあたって、必要な能力だ。そのアプリを作ったら、生活にどういう影響を与えるか。いやそもそもモノは、金儲けや戦争に勝つためのロマンでしか生み出されないのだろうか。どうして今まで誰も、ガンダムの目に黒目を入れようと発想しなかったのだろう。現代のビーナスグロゥブとはなんなのだろうか。

ムタチオンを受け入れるか

自分がそうなったとき、どうするか。直そうと努力するか、それを受け入れるか。個人的に身近な例は、ハゲになることであるw
ハゲを受け入れる人は少ないだろう。そういうことを考えるとラ・グー総裁は本当にお強い。そしてその脅威から人類を救い出そうというのなら、GIT団やクンパ大佐になろう。
少なくとも自分は、金星にいたらGIT団に加勢している気がする。でもキア隊長は上司にしたくないなぁ…(´・ω・)

なんで穴開けてしもうたん…(´・ω・)

ノレド

よかったなぁ!w
おまえがメインヒロインだよ!

声優がうまかった

これは本当にしょうもない感想で、なんだか声優陣がとんでもなくうまかった気がする。あまりにもうますぎてキャラクターへの感情移入が半端なかった。
逆に別の作品でみた有名なアニメ映画では、リメイクゆえに大御所の声優揃いにもかかわらず、演技が下手すぎてまったく作品に集中できなかったこともあった。大御所も、やはりブランクがあるとどうしてもうまく声がだせないのか、無色透明な演技は厳しい。だからこそ、Gレコの役者には本当にすごい。
全体レベルは音響監督が一番要因として大きいのだろうけれど、とにかくこのGレコは役者陣がとても優秀だったので、本当に感謝しています。ありがとうございました。

最後に

スタッフの方々、本当にお疲れ様でした。自分は元よりアニメ放映時から悶絶するくらい好きだったのですが、今回の映画でよりいっそう悶絶しました。Gレコを見たうえでの感想なのか疑うレベルですが、戦闘シーンは本当に最高にテンション上がってしまいました!息が上がって心の底からドキドキするシーンがたくさんあり、映画館でとても感情を揺さぶられました。まだ上映中ですので、もう2回は見に行きます。
これを見終えた後、自分は天才ではないので人類に対してなにかできる大きなことはないですが、作品内のできごとを思い出して考えて生き抜きたいと思っております。ありがとうございました。
監督はもう死ぬといっているので、いつかこの作品に携わってくれたスタッフの方々の作品にとても期待しています…(´・ω・)


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