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浪漫革命・BREIMEN ~「共闘vol.2」ライブレポ~


ジョン・レノンとポール・マッカートニー
椎名林檎と宇多田ヒカル
King GnuとOfficial髭男dism

「陰陽道の陰と陽」、「ハレとケ」というほど二項対立的な概念ではないけれど、どこか相反する側面を持っていながらも、一方で相互補完的で、ニコイチな組合せが、世の中に存在する。

BREIMENと浪漫革命

筆者にとっては、この2組のバンドがそれにあたる。

BREIMENは、音楽通をうならせるメンバーの技術と独自の世界観が際立つバンド。浪漫革命は、聴く人みんなをハッピーにさせる音を奏で、ピースフルな雰囲気を醸成するバンド。初めて聴いたころはそんな印象だった。

筆者にとって、この2つのバンドに共通しているものは何か。それは、コロナ禍において彼らの音楽を知ったということ。コロナ禍で、飲食店やエンターテイメントが必要以上に規制され、多くの人がその現場から少し距離を置くようになった(今もその状況は完全に元には戻っていない)。

そんな状況下でも、自分たちの音楽を信じ、その音楽を聴いてくれる人を信じて活動していた彼らに出逢った。両バンドとも、音源も、ライブも極上の体験だった。

BREIMENは、アベンジャーズみたいな存在で、演奏技術や曲の構成を切り取っても、今までにない音楽体験を与えてくれる。歌詞も隠喩が多く、色々な含みがあるがゆえに、聴く人、聴くタイミング、聴く心境によって、解釈の余地があり、深みのある楽曲が多い。

浪漫革命は、その結成からわかるように和気あいあいとした雰囲気を感じさせ、聴く人を温かい気持ちにさせる。キャッチーなフレーズと、心に直接響く表現できれいにまとめ上げるのかと思いきや、ライブでは溢れんばかりの熱量で、一人ひとりに訴えかけてくるところが魅力。

そんな彼らが、浪漫革命の企画ライブである「共闘vol.2」として、対バンライブを渋谷クラブクワトロで行ったのだ。一見(一聴)、異なった音楽性かと思われるかもしれないが、筆者にとっては、先行きの見えないコロナ禍で、未来に希望の光をもたらしてくれたバンドであるという点では共通している。まさに、BREIMENと浪漫革命は、個人的に「ニコイチ」の関係であり、この対バンは発表からずっと楽しみにしていた。

BREIMEN

冒頭、軽いセッション風の入りから、代表曲「IWBYL」で会場のムードを一気に掴むと、最新曲「あんたがたどこさ」、「色眼鏡」、「CATWALK」で、一気に独自の世界観に引きずり込む。3曲とも、BREIMENにしか出せないグルーヴ感を持っていて、いまのBREIMENの魅力が存分に詰まっている。
MCで、浪漫革命との出逢いを振り返りつつ、新体制の初期の曲「You were my muse」をしっとりと演奏する。BREIMENを初めて観た人は、前半4曲とのギャップに萌えたのではないだろうか。バキバキの演奏をするイメージのBREIMENだが、実はバラード曲が秀逸なのだ。続く「棒人間」、「赤裸々」でグルーヴィーなムードに包み込んだ後で、極めつけの「Hip me」。冒頭のギターソロには、会場の全員が聴き入り、酔いしれた。それだけではなく、このラスト3曲では、浪漫革命の代表曲「あんなつぁ」のモチーフを、メンバーが随所に取り入れるという粋な演出が際立った。

今回のこのセットリストは、BREIMENの中でも、彼らの個性を出しつつ、メロディアスな楽曲が選曲されていて、この対バンにふさわしい内容だった。

浪漫革命

ラプソディー・イン・ブルーのSEで登場した彼らの一曲目は、疾走感あふれる「ラブストーリー」。続いて「あんなつぁ」で、さっきまでのBREIMENの余韻を、一気に浪漫革命色に塗り変えてくる。からの「ベイベ」で、彼らがBREIMENに負けず劣らず音楽性の高いバンドであること見せつける。MCで、「今日はいっぱい新曲を持ってきました!」と宣言してからの"新曲"。続いて、メンバー全員で楽器を置いて、会場一体で盛り上がる「ハイレグBIKINI」。即興ラップでは、BREIMENのあんなつぁオマージュへの返答として、棒人間のワンフレーズ「ハマりが良すぎてそろそろイっちゃいそう」を取り入れたラップを披露。両バンドの相互リスペクトに、会場のファンは一気に沸いた。そこから「キンモクセイ」、「ひとり」と歌い上げ、このバンドの楽曲の幅の広さを感じさせた。こんな世の中だけど、みんなで元気になれる曲という紹介からもう1曲"新曲"で盛り上げた後、定番の「楽しい夜ふかし」で会場のボルテージは最高潮に。本編ラストは「ふれたくて」。"ぼくの歌を聞いてくれよ この先も"のワンフレーズが、いつも以上に沁みて感じたのは、この日のライブがBREIMEN、浪漫革命ともに最高のパフォーマンスだったからだろう。心から「ずっと聞くよ、応援するよ」と思って聴き入っていた。

アンコール ~終わりに~

鳴りやまない拍手のアンコールに迎えられ「青い春」が始まった。イントロが始まった瞬間から、見ている人たちのテンションが一気に振り切れた。全力出し切って楽しもう!拳を大きく突き上げ、大いに盛り上がった。関係者席ではBREIMENとスタッフも楽しんでいたし、本当に会場全体で盛り上がっていた。オーラスは、BREIMENのメンバーをステージに上げて、「あんなつぁ」の大合唱。約2分間の大合唱は、本当に何にも代えがたい貴重な時間となった。何年後かに振り返ってもきっと、この日のことを思い出すだろう。

ツアータイトル「共闘」。MCでも、色々な意味が込められていると言っていたが、ある意味彼らは良きライバルでありながらも、良き戦友なのだと思う。そして、この数年は、コロナウィルスという未知の事象とも否応なしに戦うことになってしまった。

同じ時代を生きて、このときこの瞬間に彼らの音楽に触れられて、彼らのライブを観に行けることは、宇宙規模で考えると本当に奇跡的なのだと思う。同じ時代を生きているからこそ、似たようなことで苦しみ、悩み、それを乗り越えていくという意味では、会場にいた全員が仲間であり、この時代を「共闘」しているともいえる。

また、筆者としては、BREIMEN、浪漫革命には、この多様化した音楽業界を勝ち抜き(まあ一概に勝ち負けではないのだけれど)、両バンドとも大いに売れて、というかより多くの人に聴いてもらい、この幸せな音楽を日本中、世界中に届けてほしいなと思う。そうなるまで応援し続けようと思っているので、その意味では筆者もバンドとともに「共闘」しているのだなと思っている。