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2014年6月の記事一覧
「自転車乗りの王国」Chapter 02
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遅めの朝食にマフィンとスクランブルエッグを食べた。
僕は食後に運ばれてきたコーヒーの薄さに顔をしかめながら、先月まで働いていた清掃会社のことを考えた。
そこでは朝から晩までひたすらゴミを集めた。このゴミが果たして誰にとって不要で、誰にとって必要かなんてどうでもよかった。
ゴミと呼ばれれば全てゴミで、集める対象だった。ゴミ箱のなかにある空き缶はひとつ残らず集められ、
「自転車乗りの王国」Chapter 01
僕は自転車に乗って橋を渡った。
歩けばそれで散歩が済んでしまうような長い橋だ。
橋を渡るとすぐに街の中心部がみえてきた。初めて訪れる街をみるのはすごく好きだ。
それまで自分のなかにあった凝り固まったものや、不純物なんかをぜんぶ吹き飛ばしてくれる。
自分がいかにちいさな存在かというのを思い知らされる。いちどそうなってしまうと、もう何もかもがバカらしくなる。なんで自分が存在するのかもわからなく