見出し画像

黄色い帽子作戦

4人の子ども(男男男女)の
母ちゃんをやっている。

ひとに言うと、
あーー
ちょっと多いねー
と言われる。

たしかに。

ひとりおんぶして
ふたり手をつないでも
ひとり野放しだからね。

人間の限界として、
両手+1の
3
までは
把握できる感じがしたが、
それ以上は把握できる気がしない。

ひとりここにいて
ひとりあっちで遊んでて
ひとりばあちゃんち行ってて
あれ?もうひとりいたっけ?
みたいになる。

能力の限界だ。
把握しようと思っても無理だ。
わたしは早々に諦めた。


子どもたちを連れて出かけると、
特に男子は
散り散りバラバラに
どこかへ走り去ってしまう。

わたしの把握可能力は
3まで。

まずい。
三男あたりがどうしても
意識からこぼれ落ちてしまう。

三男は
かわいいんだが
静かににこにこと
どこかへ行って
勝手に冒険したりする。

要領悪い長男と
喧嘩っ早い次男に
気を取られているすきに
三男は静かに逃げる。

ほんとにまずい。

そこで
わたしは
対策をたてた。



名付けて
黄色い帽子作戦。

見つけやすいように
めだつ
黄色い帽子をかぶせて、
定期的に
1.2.3.4
と人数を確認することにした。

見間違わないように、
他の子がかぶっていないような
ダサい
めだつ
黄色い帽子。

これは
ひと目で存在確認できるので
とても便利だった。

遠出するときなどは、
おそろいの帽子をかぶせて
さらに
おそろいのTシャツでも着せておくと、
周りの人にも
あ、あれは、兄弟か!
と一目で分かってもらえる。

もし
わたしの意識のおよばないところで
一匹はぐれようとしていても、
どこかの優しいどなたかが
群れに戻そうとしてくれる。

自分ひとりの能力では
ランダムに動き回る4人を
監視するのは無理。
人様の力をお借りしよう…
というところから生まれたアイデアだ。


海に行くときは
さらに危険度がアップするので、
こんどは
4人
赤い水泳帽をかぶらせた。

海辺で
そんな
学校の水泳帽みたいなのを
ぴっちりかぶってる人なんて
皆無だから、
わたしはラクラク
1.2.3.4

スムーズに確認できた。

美しい青い海に
赤い帽子が映える。
たいへん便利だった。



そのうち
少し成長した頃、
息子たちは突然賢くなり、
うわ!オレたちおそろいじゃん!だっさ!
と気付き、
ダサい黄色い帽子とお揃いTシャツを
拒否するようになった。

まぁその頃には
だいぶ
常に安全確認していなくても
大丈夫なくらいには
大きくなっていたので、
男子の頭脳の成長が遅くてよかった…

母は胸をなでおろした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?