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あの日のこと

あの日
あのとき



うまれて数ヶ月の娘は
大きな揺れにも目を覚まさず
ベビーベッドで
すやすやと寝ていた。

おとなしく
ひとりでおもちゃで遊んでいた三男は
とても怖がり
ダイニングテーブルの下に
隠れた。

わたしは
買ったばかりの娘のお雛様を
片付けておいてよかった…
片付けてなかったら落ちていたな…
と思った。


次男は
幼稚園バスの中にいた。
バスは
しばらく停まったのち
道路の安全を確かめながら
ゆっくりと運行してくれた。
いつもより
ずいぶんと遅れて
帰宅した。

長男は
小学校から帰る途中の路上にいた。
ひとりだった。
「あれ?ぼく病気?目が回る?」
と思ったらしい。
道行く車が次々停車し、
運転手さんが
「地震だよ!ぼく!気を付けて!」
と声をかけてくれた。
見回すと
電信柱がゆらゆら揺れていた。
揺れがおさまるのを待って
家への道を進んだ。


余震もあるなかで
子どもたちが全員帰ってきたときの
ほっとした気持ちは忘れられない。

大事な子どもたちを守るには
わたしの手は
あまりにも小さく
あまりにも足りなくて
そして
届かない。

運とひとに助けられなければ
わたしには
なにも守れない。


感謝と祈りを
心に留めて
今日という日を
過ごします。

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