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Worldcoinの裏テーマを考える

OpenAI サム・アルトマン氏創立の「Worldcoin」をゲットすべく、World IDを登録してみた。

これは表向き、仮想通貨プロジェクトとなっており、ベーシックインカム実験のような事が行われている。

特徴としては、虹彩を利用した認証システムOrb(オーブ)を使うことで、地球上の重複しない人間であることを、担保している。

確かに、ベーシックインカムをグローバルに行いたい場合は、この方法は興味深い。
しかし継続的にサービスを提供するには、次のような課題もある。

費用をどうするか?
最初は、サム・アルトマンのポケットマネーを現資にするとか、仮想通貨的に、適当に値づけしておけば、成立すると思うが、永続的に実施したい場合は、ユーザーから資金を徴収するか、換金可能なデータを徴収する必要があると思う。

ユーザーが死亡した時にどのように確認するか。
現状だと、継続的な生存確認を行うフローはないので、今後もOrb(オーブ)で定期的にそれを行うのか、スマホなどでそれに準ずる方法を提供するのか謎である。

生体認証のセキュリティ
この辺りは、今後うまいことすれば良いだけなので、そこまで大きな問題ではないが、システム設計として考えると、現行のシステムは十分とはいえない。これは、今後アップデートが必要だと思う。

以上は私が思いつく範囲の課題。

続いて本題のWorld IDの裏テーマを勝手に考えてみる

ワールドワイドの投票システム
選挙に限らず、投票というのは、公平を期すために重複投票を避けたい場合が多々ある。
特に世界規模のアンケートをとるのに、個人がユニーク(重複がない)であることが保証されたアンケートや投票システムは、現状少ないと思う。この用途への活用も、価値が高いと思う。

AIの教師データの収集
これは、既に公知されている意図だが、AIに与える教師データの取得するのにあたり、それが人によるものなのか、AIによるものなのか、区別したいという場合がある。機械学習において、優秀な学習モデルというのは、粗悪な学習データからは生まれにくいからである。

よくある、あなたは人間ですか?というパズルみたいな質問も、ひとつのロボット避けであるが、他人ひとのIDを使ってロボットがログインしたら、なりすましできてしまう。その用途で、現状のWorld IDはそこまで役に立たないように思える。(毎回orbを使って本人確認をしているわけではないので。)
そのため、少なくとも現状は、これでロボットか人間か否かを判別するというより、そのIDを使っている人の信頼性や、有能性を採点しておき、優秀な教師データを得るためにピンポイントで、優秀な頭脳にアクセスできるようにしておく事が重要だと思う。

仮想政府
もし特定の人々から、税金を徴収し、それをAIに判断させ、再配分できれば、「既存の国という概念とは少し異なるが、仮想の政府が構築可能」である。国土と法律の適用という意味では多少工夫が必要だろうが、大使館のように治外法権的な場所は既に存在しており、それもある程度は可能だと思う。サムアルトマンのムーアの法則に関する投稿で、「土地」に関しての言及があるのも興味深い。そもそも土地というのは、誰かが独占すべきものではなく、地球上の「いきものたち」の共有財産なのだが、現状はその権利を奪い合う対象となっている。

信用指数
シビュラシステムじゃないが個人を格付けすることは、社会にとってもAIにとっても非常に有益である。
なぜなら、情報というのは、情報そのものだけで評価されるものではなく、いつどこで誰が言ったかという属人的なものである場合が多い。この時、システムからみると実名であるかどうかは重要ではなく、それが内部的に特定できている事が重要である。

また、信用というのは、その人が発言する内容や、行動を採点するだけでなく、誰にどのようなアクセス権限を付与するべきかという点でも重要である。


以上、サム・アルトマンがどこまで考えているかは不明だが、ともかく、Worldcoinが、ただの送金システム(ベーシックインカム用の仮想通貨)というのは、いささか無理があるかと思う。

ベーシックインカムとAI

今更説明するまででもないが、AIはいくつかの仕事を奪っている。
正確には、AIが仕事を奪っているのではなく、AIが多くの仕事を手伝ってくれているだけなのだが、それによる生じたゲームチェンジに人類がついていけず、混乱が生じている。

これまた、説明するまでもないが、ベーシックインカムというのは、税金の再配分を前払いしておくというだけの話である。
現状の世界は、収入が多い人、もしくは、消費やサービスを多く使う人が税を多く払うようになっており、それがぐるぐる回っているうちは、先払いか後払いかどうかは、たいした問題ではない。

社会保障はピンポイントであるべきという、話が存在する。まあたしかに従来の習慣からするとそうかもしれない。しかし、昨日金持ちだった人が、明日も金持ちかどうかはわかない。

その人の状況をいちいち確認するのは、時間もかかるし、コストもかかる。そんな無駄な査定コストを使うより、みんなに渡しておいて、払いすぎていたら、後で回収すれば良いというわけである。

お金をもらうとみんな働かなくなるという話がある。まあ中にはそういう人もいるだろうが、そもそも労働人口というのは、人口全体の一部であり、子供であれ、高齢者であれ、仕事がなくても生活費を必要とする人々は多数いる。
さらに、現代社会の仕事というのは、生存に必要なものばかりではなく、ブルシット・ジョブに溢れている。

お金を再分配するために多くの人が、働いているふりをしているだけなので、それだったら、先にお金を配っておき、プラスαのお金が欲しい人、あるいは価値ある仕事に興味がある人が、働く方が世界にとってはプラスだと思う。

まあなにはともあれ、我々の多くは今後AIのために働くというのが、主なミッションになるだろう。資本主義においては、お金のために働く事が、ある程度社会を豊かにするための導線になってきたわけだが、そこにAI(計算)というものが加わり、それがこれからの人々やロボットの暮らしの向上につながるものだと考える。

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