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都会に住むのコスパを考える

日本の人口は1.3億人弱、東京の人口1396万人。
東京以外にも都会はあるが、ともかく人口というのは都会に集中している。
なぜ人は都会に住むのか。

東京都と大阪府で全国の企業の約4分の1(24.1%)を占めている。(出典)

地方には仕事がないから。
というのは、大きな理由の一つだと思う。

一方で賃料はどうか?
1Kで6万円ぐらいの賃料の物件が都心に行くと12万円ぐらいになる。(出典

余談だが、都心へのアクセスがよく、それでいて、都心に比べると少し賃料が下がっているエリアとして私が思うのが、地下鉄などが地上に出てきているエリアである。

話はもどして、賃料。
家賃は収入の3割が目安だとすると、家賃と給与だけで考えると、賃料が高い分、給与が高くないと、賃料対給与の観点で、都心はコスパが悪い
ということになる。

時給などで言えば、東京の賃料は他に比べると1割程度しかあがってないので、要は都心で働いて、都心で住むというのは、平均値で考えると損である。逆に言うなら、給与を3割以上アップできると、都心で暮らしても、郊外で住むのに比べてコストの違いを、吸収できる換算となる。

というわけで、都心の地価のコスパの悪さを避けるべく、ベッドタウンなり、郊外というものが存在する。
住環境が都心よりよく、職場からもまあまあアクセスが良い。
それでいて、いくらか物価も安い。
その観点からすると、郊外での住居という選択肢はごく自然な判断である。

続いて、それなのに、「なぜ人は都心に住むのか?」。さらにそれとは別の観点、「都心に住んでもらうメリットはなにか?」について考えてみる事にする。

なぜ人は都心に住むのか?
交通の利便性。
たしかに職場に行くにせよ、どこかに出かけるにせよ、短時間で複数の交通手段があり、マイカーも不要という選択において、便利な部分はある。

とはいえ、結局のところ、普段どこにアクセスしたいか?という事が重要だと考える。スーパー、ホームセンターであれば、都心より郊外のほうが充実している。一方、美術館、劇場、コンサートホールなどに関しては都心の方が、近くて便利な部分もある。

都心に住んでもらうという観点は、個人の観点ではなく、社会という観点からの考察である。

ビルや地下の構造物が存在するというのは、その地域の地価が高いため、上とか下に空間を広げるために存在する。
高層ビルというのは、空間を縦に広げられるが、エレベーターという垂直移動のためのテクノロジーなしでは成り立たないものであり、それが正しく機能しなければ、ドアツードアで、アクセスの悪い高層マンションというのは、本末転倒な構造物となりうる。

そんなふうに人々を都心に集めて、住んでもらうメリットとして考えるのは、インフラ構築、消費、労働、適度な競争?の観点では、効率が良いと思う。

1台の電車に数人しか乗らない電車で、人を運ぶのと、100人輸送するのでは、やはり輸送効率は変わってくる。
電気、ガス、上下水道、通信などに関してもやはり、ある程度集約されていたほうが効率が良い。

雑な言い方をするならば、社畜(会社だけでなく社会を構成するエージェントとして)の住環境。人々を一箇所に集約させたほうが、社会の生産効率はアップするだろうという観点はあるだろう。
とはいえ、インフラというのが、どのレベルまで集約するのが合理的で、どのぐらい集約しすぎると逆に非効率になるのかまでは、今回調べきれなかった。

地方のコスパを考える

車で10分ぐらいの場所にイオンモールがあれば、とりあえず食料やその他買い物にはさほど、困らないような気がする。

もちろん、人はイオンのみに生きるにあらずという言葉のように、それ以外にも、健康で文化的な生活のために必要な要素は複数あるに違いない。

また、首都の食卓や生活を支える、第一次産業、製造業や鉄鋼など地方にも様々な役割が存在する。

個人の生活において、「居住」と「賃金」という観点からすると、結局のところ自分は、何に対してアクセシビリティを保ちたいか
という点に集約されるのかもしれない。

まあ、それも、住環境というのが、自由に選べるという条件で成立する話で、実際には、人それぞれやはり事情は様々、住環境というのは、みんな案外縛られていて、コスパだけでは選べないとは思う。

とはいえ、住環境というのはやはりそれなりにQOLに影響するものだと思うので、都会、田舎という二択だけにとどまらず、たまに考え直してみるのもよいかもしれない。


再度まとめると、「何に対してアクセシビリティを保ちたいか」それがどこに住むかを考える重要な要素だと思う。ただ社会として必要なのは、都心の集中をもう少し郊外に逃しつつ、地方都市にも広げていくというのが、基本的な考え方だと思っている。

政府が進めているコンセプトとして「二拠点生活」というものがある、平日は都市部で生活し、休日は郊外や地方で過ごすというものだ。たしかに地方にもなんとか生活拠点を作ってほしいという意図があるだろうが、移動効率の観点からして、実際それができるという余裕がある人は、限られてくるだろう。


注:今回のカバー画像は、石田徹の作品のモチーフと、構図を使ってます。

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