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エスカレーターで考えるゼロリスク

コロナ対策もふくめ、リスクというのは、正しく測って、適切な優先順位を定める事が重要だと、改めて考えさせられる。

人命より重いものはない

これは時々見かけるパワーワードであるが、これを用いると時々バランスを欠いた、誤った対策や行動を助長してしまう。

もし本当にみんながそう考えているなら、人命(人口)に応じて、世界の資源や富は再分配し、平均寿命の長い国は、平均寿命が短い国を重点的に支援している事だろう。

食料という観点でいえば、世界の飢餓人口は最大8億人。10億人でその人々に向けて140円/日(月間なら4200円) の支援を行えば解決できるのだが、いまこの国で、どのぐらいの人が行動しているだろうか。

エスカレーター

前置きが長くなったが、エスカレータというのは100%安全な乗り物ではない。二輪とか、それ以外の乗り物と比べて別段危険性が高いという事ではないものの、死亡事故なども時折発生している。

もしここにゼロリスクという考えを持ち込むなら、そもそも危ないエスカレータは利用するべきではないのである。

例えば、運動能力が下がっている高齢の人がエスカレータの乗り降り付近で立ち往生しているケースなどからみても、エスカレータが万人向けの乗り物ではない事がわかる。

のろのろエスカレーターは誰のため?

エスカレータに乗って時々びっくりするほど遅い時がある。
階段があれば、階段を使っているだろうが、そういうところに限ってなぜか階段がなかったりする。

エスカレーターには傾斜角により安全な速度というのが、定められているので、それより遅いのは、運用者が過剰な安全性を求め意図的に遅くしているという事のようだ。

たしかに、エスカレーターの速度を遅くすると、車椅子や、ベビーカーを利用する人も、使いやすいかもしれないが、それは誤ったバリアフリーを助長していると思う。さらに、エスカレーターの歩行やスマホチェックも助長している。

少し話は逸れるが、男性用のトイレで手すりがついている所がある。複数ある場合は、一部だけついている事が多いと思う。

役に立つなら、なんで全部につけないのかというと、必要とする人が限られるという事でもあるが、あれはフレームが少し障害になって、床が汚れやすいというデメリットがある。

誰かのために必要な機能が、他の人には、ちょっとした障害になるケースと言える。
(もちろん手すりの設置に反対という意味ではなく、ユニバーサルなデザインにも発展途上な部分があるという例です。)

利便性とリスク低減の両立

例えば東海道新幹線は、技術の発展や工夫によりその移動速度を高めてきた。一方で安全性もキープもしくは、従来以上に工夫が進んでいる。

エスカレーターはどうだろうか。たしかに以前に比べると細かい点では、巻き込みを減らすような工夫だったり、安全対策も行われていると思う。

しかし、エスカレータに関してはこれだけ色々な場所で設置が進んでいるのに、もう少し工夫があって良いと思う。

今はコロナなので、多少混雑しているからといって、詰めて乗るより、他人との適切な間隔を、前後、左右(2レーンの場合は対向も)に設けたほうがよいと思う。

ただ運送効率で考えると、ある程度混雑してきた場合は、前後を詰めた方が運送効率が良いので、混雑状況に応じて、それを音声で促したり、センサーで判断して、運転速度を変える事も可能だろう。

エレベーターに関しては、利用者数に応じて速度を変えるなんていう機能付きのものがあったり、扉の開閉時間をボタンにより延長できるものも存在する。

話は戻って、エスカレーターの安全対策に関していうと、エスカレーターの事故で多いのは、転倒事故であり、手すりをしっかりつかんでいれば防げた可能性があるものも含まれている。この点エスカレーターに自動停止機能や、転倒エアーバッグ的なものがあったら良いのかもしれない。

まとめ

・「人命より重いものはない」の罠に注意
・のろのろエスカレーターは、日本のゼロリスク指向の産物なのでは?
・他の乗り物は徐々に進化しているのだから、エスカレーターももっと利便性を高めてほしい。(のろのろエスカレーターはやめて、通常の速度にして欲しい。)

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