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力とエネルギー

ニュートン、ジュール、カロリー、ワット、キログラム、kgfなど、力やエネルギーには様々な単位があるが、これらは一体、何物であろうか?

ニュートン

ニュートンという単位がある。1ニュートン(1N)とは、質量が1kgの物体に1m/s2の加速度を発生させる力をいう。図2のごとく、1kgの物体を押すor殴るor蹴るなどしたため、その物体が移動したとしよう。弱く力をかければ低い加速度でしか動かないし、強く力をかければ高い加速度で動くことになる。これは余談だが、2kgの物体に3m/s2の加速度を発生させる力は、2×3=6により、6Nである。正確に言えば、2kgの物体を殴って3m/s2の加速度を作りたいなら、6Nで殴れ、ということだ。

つまり、何かを殴るか蹴るなどして、その物体が1kgであり、かつ、その物体が1秒ごとに1m/sずつ速くなる加速度で移動したなら、その物体にかけた力は1Nであるとみなせる。
これは余談だが、重力加速度9.8m/s^2の星に存在する物体があると考える。このとき、その星が、加速度9.8m/s^2になるようにその物体を引っ張っているとみなせる。このときの力はいくらか?を考えることもできる。

重力加速度

いま、下図のように上記の星に存在する物体A(質量1kg)と、物体B(質量1000/9.8kg(9.8分の1000kg≒102g)の物体があるとする。その物体が存在する星は、その物体を、加速度9.8m/s^2になるように引っ張っている。

重い物も軽い物も同じ速さで落ちることは有名であるが、質量が違うにもかかわらず加速度が同じになる理由は、質量の違いに合わせて、星が引っ張る力が変わるためである。例えば、図3の例でいうと、図4に示す如く、質量1kgの物体は9.8N、質量1000/9.8kg(≒102g)の物体は1Nの力で、星がそれぞれの物体を引っ張っている。このように、質量が軽くなると、かかる重力が小さくなるため、落ちる速さが同じになるのだ。

ジュール

ジュールという単位がある。1ジュール(1J)とは、1Nの力がその力の方向に物体を1m動かすときの仕事をいう。さきほどご説明したニュートンは、ある質量の物体にある加速度を生じさせる力は何か?という観点であったが、ジュールは、ある力がある距離移動させたときの仕事は何か?という観点だ。図5に示すごとく、1Nの力がある物体を1m移動させたなら、その物体は1Jの仕事をしたといえる。これは余談だが、2Nの力で物体を3m移動させたなら、2×3=6により、6Jの仕事をしたことになる。

このジュールの定義は、物体の質量が1kgであろうが1245kgであろうが変わらない。ただし、質量が1245倍になれば、加速度は1245分の1になるであろう。しかし、それでも1m移動させることができたなら、その力がした仕事は、1Jだ。
重力加速度の話に戻るが、質量に応じてかかる力(N)が変わるために物体が落ちる速さは物体の質量にかかわらず同じになるということだったが、同じ高さから同じ高さまで落ちたとしても、その力がした仕事は違う。下図では割愛するが、星が9.8Nで引っ張った物体Aと、星が1Nで引っ張った物体B(同じ加速度で落ちる。物体Aの質量は物体Bの質量の9.8倍)は、それぞれ移動距離1m(1mの高さから地面に落下した)であるなら、その力は物体Aに9.8J、物体Bに1Jの仕事をしたことになる。

ニュートンをジュールに換算することはできないが、ジュールをカロリー(cal)に換算することはできる。日本の法令では、1cal=4.184Jとみなされている。これは余談だが、1calは、1gの水を標準大気圧(10万1325Pa)下で1℃上げる熱量が由来だ。

ワット

ワットという単位がある。1ワット(W)とは、1秒間に1Jの仕事率のことであり、数式でいうと、「ワット=ジュール÷秒」であらわされる。つまり、1秒かけて1Jの仕事をすればそれは1Wであり、100秒かけて1Jの仕事をすればそれは0.01Wである。その一方で、電気工学の世界では、「ワット=ボルト×アンペア」という数式であらわされる。例えば、100V(ボルト)の電圧で0.5A(アンペア)の電流を流して動作する電化製品は、100×0.5=50により、50Wの電力を消費しているといえる。
ボルトとアンペアからワットを計算できるということは、ワットとボルトからアンペアを計算できるということでもある。例えば、20A以上の電気が流れると落ちるブレーカー(アンペアブレーカー)で契約し100Vの電気を使っている家庭では、20A(2000W)以上の電化製品を使ったり、それ以下の電化製品であっても、複数の電化製品を使い、その合計が20A(2000W)になると、そのプレーカーは落ちることになる。

最後に、各単位の関係を図示する。

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