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母の発病から
11年前の10月末、当時67歳の母が、突然足に力が入らなくなり(最初はぎっくり腰のようになり、次第に足のしびれ)、緊急入院。
MRIで、脊椎にたまった多量の血腫が神経を圧迫していることがわかり、7時間に及ぶ緊急手術で血腫を取り除く。
手術自体は大成功。
2か月程してリハビリ専門病院に転院。
約半年に渡る長く辛い入院生活を終え、翌年5月に退院し帰宅。
手術後は自分で寝返りを打つこともできず、退院時には両杖をついて歩くのもやっとのこと。
それが、夏には家の中で杖なしで歩くことができるようになり、おしりの痺れの範囲が狭くなり、痺れはまだ強いものの、足裏かかとのほうは地についている感覚が少し出てきた。
手術から約1年ぶりに、職場仲間や活動仲間、友人と会食しに、父の付き添いのもと出かけることができるように。
脊椎損傷の中では驚異的な回復ぶり。
しかし、足先の神経は戻らず、かかとを蹴り上げることができないので、普通に歩くことも普通の靴を履くこともできない。
そして何より、常におしりと足がしびれていて、時にはビリビリっと痛む。酷いときは、電気が流れるような、剣山の上を歩くような痛み。
この痺れと痛みのために、夜も一時間おきに目が覚める。
母が出血した原因は不明。もしかしたら動脈瘤ができていて、破裂したのかもしれない。
しかし、あそこまで血腫がたまり、神経を圧迫して麻痺したのは、間違いなくワルファリンの副作用と思っている。
ワルファリンを服用していたために、すぐに手術することもできなかった。
母は発病の6年程前に、人間ドックで心房細動という不整脈であることがわかり、ワルファリンを服用するように。
心房細動は、心臓の収縮が不規則なため、心臓内で血栓ができてしまい、脳梗塞や心筋梗塞起こす恐ろしい病。
血栓ができないよう予防するために、血が固まるのを防ぐ抗血凝固薬を服用する。
もちろん血が固まるのを防ぐため、出血が止まらなくなったり、ちょっとぶつかるだけで青あざができたりする。
考えてみれば恐ろしい薬。
しかし、ワルファリンは副作用の少ない薬として、多くの心房細動患者に服用されている。
母のような脊椎硬膜外出血というのは非常にまれなケースだが、ワルファリン服用中に、脳出血や、胃や腸から出血するというケースは多々ある。
脳出血で亡くなった方、脳出血で言語障害と半身麻痺になった方が知っている人にいる。
ワルファリンを服用していたのに、脳梗塞になった方もいる。
つまり、ワルファリンによって脳梗塞を予防できないどころか、出血のあげくに麻痺という取り返しのつかない副作用がある。
ワルファリンはビタミンKによってその効用が妨げられる。そのため、ビタミンKを多く含む納豆や、クロレラ、青汁は禁じられ、ブロッコリーや春菊などの野菜も控えなくてはいけない。つまり身体を健康に保つのに有用な食品は摂れない。
血液をさらさらにすることは、薬を使わなくてもできる。食事を中心に生活を正し、心穏やかに過ごすことで薬は必要ない。
しかし、たいていのお医者さんは生活改善の話をせずに、すぐに薬を出す。そして副作用の話もしない。また、個人個人に合わせた治療をしない。
母の場合、糖尿病の気がなく、低血圧で、62歳で、自覚症状もなかった。心臓血管研究所所長・附属病院院長の山下武志先生は、「糖尿病・高血圧・75歳以上」などの梗塞のリスクがなければ、ワルファリンを服用しなくてもよいとテレビでおっしゃっていた。つまり、母はワルファリンを服用する必要はなかったのだ。
母は人間ドックを受けたことを後悔している。
私は、お医者様が何の説明もなしにすぐに薬を処方することに問題があると思う。
どの様な食事をし、どの様な生活をすれば予防できるかを患者さんに指導できるのが本物の良いお医者様だと思う。
そして、私たち患者の側も、もっと心身を健康に保つにはどの様な生き方をすれば良いのかを学ばなくてはいけない。
医学は偉大。しかし限界がある。
私たちはお医者様に教えてもらいながら、自分で判断し、選択する必要があると思う。
母は今も常に痛みと痺れで苦み続けている。
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